私のダンナが辞めるまで(27)
他人事
その週、私は木曜、金曜と泊まりで出張で、土曜は結婚式の打ち合わせだった。式場へ提出する資料に手をつける暇がなく、金曜の夜は徹夜して打ち合わせに臨むことになった。
打ち合わせ当日、早めに着いた私たちは近くのカフェで、招待客の確認をすることにした。
そこで夫がその日までに確認すべきことを忘れていたことが発覚した。
「後で確認するよ。」
-今確認出来ないの?
「大丈夫だよ。」
-それは貴方が決めることじゃないよね。
「………。」
-連絡して。今。
夫は私をじっと見て、言った。
「お前、顔が恐くなった。鏡見てきたら?
前はもっと笑ってた。俺、前のお前と結婚したいな。」
その一言に私は立ち上がり、叫んだ。
-今それ関係ある?
楽しくもないのに笑えって?
やかましいわ!!!
自分はやるべきことやらずに人に求めるばっかりじゃない!!!ふざけないで!!!
笑ってほしいなら笑わせる努力したら?
もう、やめる。やってられない。
永遠にさようなら。
私は夫に背を向けて、店を出た。
(なんであんな人の為に一生懸命になってたんだろう。帰ってゆっくり寝よう。)
その日私は携帯の電源を切り、
8時間一度も目覚めずに眠った。
自分事
起きると外は暗かった。
携帯の電源を入れると、たくさんの不在通知とメールが届いた。
「ごめん。笑ってくれると思って言ったつもりだった。間違ってたな。
あの後、確認取れて、式場の担当さんに伝えました。音響も席次も提出してくれた通りに決まりました。写真だけ分からなかったから、後日連絡で了承もらいました。
担当さんには今日は体調崩してるって言ったから、連絡あるかも。
次はドレスの最終フィッティングだよ。
忙しい中準備してくれてありがとう。俺も頑張るから、何をしたらいいか教えて欲しい。」
夫は何もしないのではなく、何をしたらいいか分からなかったのだ。
私は夫のやることリストを作ることにした。
つづく…