私のダンナが辞めるまで(13)
単刀直入
翌日の日曜日。私は昨日ジュニアから電話があったことを夫に伝え、会うことにした。
私たちが悪いと思うなと言われたこと、転勤を受け入れない限り、どちらかが会社を辞めなければならない状況は変わっていないことを話すと、夫は私に「お客さんの会社に入れないのか?」と聞いてきた。
やはり夫も、女が辞めるという固定概念を持っている。分かってはいたが、何とも悲しい気分だ。
私は尋ねた。
貴方が転職するのはどう思う?
予想通り「は?俺に辞めろっての?本気で言ってる?」と夫は怒り口調で返してきた。
貴方は私に辞めろと言うくせに、と言いたい衝動を押さえ込んで「あくまで選択肢のひとつだよ」と笑顔で言い、話題を変えた。
一筋の光
しばらく忙しい日々が続いた。
夫とはあれ以来、転職の話はしていない。もしかすると、お互いに避けていたのかもしれない。
会社では、当たり前のように私が辞める前提で話が進んでいた。
ある日、協力会社へ転職した先輩から電話が掛かってきた。
「久しぶり!社長に結婚の話したらお祝いしようって。金曜、夜空いてる?」
私の会社は先輩の会社に現場作業を委託しており、社長は入社当初から私を可愛がってくれていた。
先輩!話があります!
私は思わず立ち上がっていた。
つづく…
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