私のダンナが辞めるまで②
捜査網
さて、自称名探偵は得意のコネを駆使し、業務部、人事部、経理部、総務部、あらゆる部署の社員の休暇状況を調べた。
しかし、不思議なことに捜査線上に該当者が上がってこない。
実は自称名探偵、自分が所属している営業部の人間の恋愛事情は全て把握していると自負しており、営業部だけは捜査網から外れていたのだ。
天国から地獄
捜査の目をかいくぐり、私たちは無事、夫の両親への挨拶に向かった。夫の実家までは高速バスで6時間。
緊張の初対面。この親にしてこの子あり。とても穏やかな方々で、温かく迎えてくれた。
挨拶を終え、会社へ報告する段取りを決めた。
休み明け早々に、私を入社時から目に掛けて昇格させてくれた役員に、一番に報告することになった。
翌朝、幸せな気持ちで実家を後にした私たち。
帰りのバスに乗ろうとしたその時、携帯が鳴った。
唯一私たちの交際を知る同僚からだった。
「おい!大変や!名探偵野郎がお前ら2人が結婚するって言って回ってるぞ!」
頭が真っ白になった。
つづく…
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