ロサンゼルスで出会った奇跡
僕は、学生時代はそれほど友達付き合いが上手な方ではなかった。むしろ、苦手だったと言ってよい。アート学部の教室で、課題の制作をしている時間が幸せで満ち足りていた。暗室で写真を焼いたり、ろくろに向かって器をつくったり、油絵のキャンバスに向かったり、版画を刷ったり、ガス溶接で鉄を溶かしたり、木工機械を使って額縁をつくったり。よく、明け方までアート学部のビルにこもっていた。そこが、アメリカ留学中の自分の居場所だった。
それでも、時々とある友人の家にふらりと遊びに行くことがあった。1