夢の欠片 物語です
時々空を飛ぶ夢を見る
そして目覚めた時
この人生が
自分のものではないような
感覚に囚われる
幼い頃に両親を亡くし
兄弟もなく
唯一の身内である
叔父の所に引き取られ
高校を卒業し東京で暮らし始めた
その叔父も今はなく
天涯孤独となった私は
空だけを見上げて生きてきた
白い雲が青い空に浮かんでいる
私は何か大切なものを
忘れている気がして立ち止まる
でもそれが何かを
思い出す事は出来ない
そこにはどこか懐かしい
青い空が広がるだけ
遠くから私を呼ぶ声が聞こえる
振り向くとそこにあなたの笑顔
そう、私にはあなたがいる
あなたを愛するために
この空の下に生まれてきた
大きなあなたの手が
私の心に刺さった夢の欠片を
少しずつ抜いてゆく