惑星ホンニ直角商店

店主「いらっしゃい!」

客「あのう、これ下さい」

店主「うん? あんたどこの星の人?」

客「・・・実は惑星オロシャです」

店主「惑星ライナに侵攻して虐殺を続けているあのオロシャ?」

客「はい。でも私は戦争には反対なんです。だから反戦デモにも参加しています」

店主「こんな遠くの星でデモに参加したって何にもならないよ。反戦を叫ぶんだったら自分の星に帰ってからやるんだな」

客「そんな事したら拘束されてしまいますよ。とにかくこれ下さい」

店主「駄目だ駄目だ。オロシャの人間には物は売らない」

客「そんな、本当に売ってくれないんですか?」

店主「うちの店にはオロシャの人間に売る商品はガム1個だってないんだ。恨むんだったら自分の星の大統領を恨むんだな。商売の邪魔だからとっとと帰りな。おい、誰か塩撒いとけ」

客「どこの店も物を売ってくれない。これじゃ飢え死にしてしまう」

店主「ライナの人たちはもっと酷い目にあってるんだ。この星で生きていけないなら自分の星に帰んな」

客「分かりました。惑星ライナへ行って義勇兵に志願します」

店主「自分の星の軍隊と戦おうってのか?」

客「はい。辛い選択ですが、これしかありません」

店主「待ちな。あんた一人がライナ軍に加わっても戦況は変わらんさ。何が欲しいんだ? 売ってやるから持って来な」

客「ありがとうございます。それじゃあこの食パンと牛乳をお願いします」

店主「惑星オロシャもあんたのような人ばかりだといいんだがな。とにかく俺は曲がった事が大嫌いなんだ」

客「この店の名前?」

店主「そうさ、曲がった事が大嫌いだから直角商店さ」

客「直角って曲がってるんじゃ?」

店主「そう言われりゃそうだな。よし、きょうから店の名前は直線商店だ。誰か看板屋に行って店の看板作り直してこい!」

ここは惑星ホンニ

世界平和を願う

曲がった事が大嫌いな親父が

たくさんいる小さな星だ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?