殺しの掟

パトカーが私の車の後ろについた

赤く明滅する回転灯が目障りだ

俺は車を端に寄せ停止させた

運転席の窓を開け

パトカーから降りてきた警察官を見る

「ずいぶんお急ぎのご様子でしたね」

警察官の言葉に小さく舌打ち

「トランクの中を見せてもらえますか?」

俺は無言でトランクを開いた

トランクにはたった今殺したばかりの

商売敵の死体が入っている

警察官がトランクの中を見て

あわてて拳銃を抜いた

「これはどういう事ですか?」

私を狙った銃口の震えが

警察官の動揺を物語っている

「こういう事です」

俺は小さなカードを差し出した

「あー、そうだったんですか。それではお気をつけて」

警察官の言葉に

俺はゆっくりと車を発進させた

殺人許可証を

グローブボックスに無造作に投げ込み

ルームミラーの赤い明滅を

視界の端に捉えながら

俺はアクセルを踏み込んだ


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