糸車の刑

男は金に困り

民家に押し入った

そして

幼い女の子とその母親を手にかけた

女の子の父親は

仕事で出掛けており留守だった

凶器のナイフに残された

指紋が決め手となり

男は逮捕され裁判にかけられた

裁判長「主文、被告を糸車の刑に処す」

極刑を覚悟していた男は

聞きなれぬ刑に首を傾げた

刑はすぐに執行された

大きな糸車に男は縛り付けられた

そして糸車はぐるぐると

三度回転し止まった

そして男は鞭で百回叩かれた

執行官「これにて刑の執行は完了した」

男は縄を解かれ放免された

自分の犯した大罪が

あれしきの事で赦されるとは

男は裁判官の気が変わらぬうちにと

遠くの町へと逃げ出した

そして男はその女と出会った

若く美しく心の清らかな女であった

男はすぐにその女を愛するようになり

やがてその女と結ばれた

男は心を入れかえて働いた

その女と

やがて生まれ来る我が子のために

そして月日は流れ

男とその女の間に

生まれた女の子は三つになっていた

男はひとり娘を可愛がり

女の子もよく父親になついていた

そんな時

あの日の執行官が

男の目の前に現れた

執行官「糸車の刑を執行する時が来た」

男「俺はすでに糸車の刑を受けた。今さら何だと言うんだ」

執行官「あれはただの始まりに過ぎない」

男「何をする、やめろ!」

取り押さえられた男の目の前に男の妻と子が引き立てられた

執行官「これからお前の妻と子を永遠にお前の手の届かない所へと送ってやる」

男「頼むからやめてくれ!」

男は懇願した

執行官「この女と子供はお前を惑わすための仕掛けに過ぎない。こいつらはただの泥人形だ。まさかお前、この泥人形たちを愛していたのか? お前に人を愛する資格などあるわけが無かろう」

そう言うなり執行官は女と子供の胸を抜き放った剣で貫いた

美しかった女と愛くるしかった女の子は一瞬だけ男を見てそして元の土くれに還った。

男「ああ、何て事を・・・」

男は泣き崩れ血の涙を流した

執行官「これが糸車の刑だ。これよりお前は投獄され暗闇の中で自分の犯した罪を償うのだ。あの日お前が手にかけた女の夫であり女の子の父親であった男は今のお前のように血の涙を流しながら失意の中で死んでいったのだ。自分の犯した罪の重さを思い知るがよい」

男はたった今までおのが妻と子であった土くれを握りしめ泣き崩れた

これが死刑よりも重いとされるtomado星の糸車の刑である

因果は廻る糸車

地球の皆さんはどうお考えか?

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