たっくん
1年前の夏、初めてクラブにいった
友達が渋谷にある某クラブの常連で、
「あたしのゲストって言えば安く入れるから!」
と、
あまり乗り気じゃなかったけど終電も逃し行くところもないし人生経験として行くことにした
案の定、あまり興味のないEDMを聞くのも、腰振って踊りまくるオンナたちを見るのも、持ち帰りを試みるオトコを見るのも退屈で、つまらなかった(私には合わなかった、楽しい場所なのは知ってますごめんなさい)
でも、ずっと隣にいる男性が気になった
彼は1人だった
私より10センチ以上背が高く、黒髪で、おしゃれな人しか似合わない柄物のシャツを着ていた
「ひとりなん?」
楽しそうに踊る友達と気づいたら距離ができていた私に最初に声をかけてきたのは彼だった
クラブってほんとうるさい、普通の話し声じゃ伝わらない
耳元で話しかけられた私はジェスチャーで
(ううん、友達があそこにいる)
と答えた
どうやら彼も友達と来たけど逸れたらしい
「飲み物のまん?」
手を引かれ、バーカウンターに連れていかれた
彼の顔がどタイプだった私はそれだけでキュンとして(チョロい)お酒を奢ってもらった
話していくうちに、彼は関西出身で、仕事でこっちに上京したらしい
歳は25さい、友達に連れてこられただけでつまらないから早く帰りたいと言っていた
音楽の趣味があった私たちは会話が弾んだ
もういっそのことここから彼と2人で抜け出したいとも思った
でも生憎次の日は朝から予定があってインスタだけ交換し、その日は帰ることに
(今思うとほんとえらい、ワンナイトしたかった)
でもね、別日に彼と仕事終わり飲みに行ってホテル行ったんだ、その後も何回か会ってくれたね、お家にも呼んでくれて彼氏と別れた時は「慰め会」って言ってご飯奢ってくれたね、でもそれ以上でも以下でもなかった、典型的なヌマ男だった、書きながら思い出しちゃうからたっくんの話はここまでにする、ありがとたっくん、たまに連絡しちゃってごめんね、沼ってたよわたし、付き合いたかったよ、都合よく使ってくれてありがとうね、そういえば経営者になって、もうすぐ会社ができるらしいね、働かせてねって言ったの覚えてるかな?でももう会うことはないね