「品質は誰かにとっての価値」における「誰か」とは?


はじめに

ソフトウェアテスト Advent Calendar 2023 の23日目の記事です。

品質とは誰のためであるべきか?

そんなことをテーマに、実体験を交えながら語ります。
ちょっとしたポエムだと思って読んでいただければ!

自己紹介

  • 職務

    • QA15年以上

    • 直近の3年くらいはQA兼スクラムマスター

    • 一時的にPOだった時期もり

  • 所属

    • 4回ほど転職

    • 1社目は独立系SIerで、以降はほぼベンチャー。

    • 現在はサイボウズ株式会社に所属

もし興味あれば、以下もどうぞ!

本記事で伝えたい内容

  • 誰に価値を届けようとするかで、全然違うものが生み出されてしまうかも

品質は誰かにとっての価値

ソフトウェア開発の人類学者 ジェラルド・ワインバーグ は、品質を以下のように述べています。

品質は誰かにとっての価値である

この定義をとても気に入っていますが、「誰か」というのが履き違えると、おおよそ価値とは呼べない産物を生み出してしまうのではと思います。

その産物とは何かを、実体験で得られた知見をお伝えします。

過去に経験した実体験

過去のプロジェクトで経験した実体験を2つ紹介します。

エピソード1:顧客との不協調

SIerの多重下請け構造における、n次受けの下っ端QAとしての経験です。

そのプロジェクトとしては多数の障害報告およびスケジュール延期により大いに炎上していました。いよいよ堪忍袋の尾が切れたのか、顧客から障害分析を行えという強い要望がきました。

開発の手を止めて、今までに作成した膨大な設計書(しかも紙!)をダンボールから引っ張り出し再チェックを行うことになりました。

一見すると障害を分析して、再発防止をしている建設的な活動に見えるかもしれません。

しかし現場の人間からすると過去の設計書を引っ張り出してチェクするよりも、現物をテストするなりして現状把握&品質向上に務めるのが、良いように思えました。

発注元である顧客からの要望に応えることで、開発ベンダーとしての誠意を示すための儀式だったように思えます。(個人の感想)

これは「誰」のための活動だったのでしょうか。

もしかしたら開発中のプロダクトを使う、本当の顧客のためにできることが他にあったのかもしれません。

マネージャー目線

とある開発ベンダーでの話。

その当時のマネージャーはとてもスキルがあり論理的に物事を進める人で、モチベーションも非常に高い方でした。

そして、部下に対してもとても厳しい人でもあったため、マネージャーが求めているものと異なる際には、どんなに小さいことでも見逃しませんでした。(そしてフィードバックの仕方も、日本刀のような鋭さがありました^^;)

そんな中、次第に以下のような考えになっていきました。

マネージャーに怒らたくない → マネージャーの意向に従う

とても優秀なマネージャーなのは間違いないので、指示に従うこと自体はユーザーに寄与している可能性は高いかもしれません。

しかし、マネージャーが間違った場合にはユーザーの寄与に繋がらない危険性があります。

マネージャーに意見せず、指示に身を任せる状態はユーザー目線と言えるのでしょうか?

それはマネージャー目線なのでは?と思ったりするわけです。

まとめ

誰に届けるべきかということを常に意識し、届けるべき人に届け続けることは難しいです。

身近だからという理由だけでその人のために行動したり、大きな力によって歪められてしまうこともあるかもしれません。

が、ときには立ち止まって、届けるべき「誰か」ということに意識を向けることは有意義なことかもしれません。

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