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障害者とV、そしてVChallengedのこと
障害者がバーチャルな存在として活動することや、障害/難病持ちVTuberプロダクションのVChallengedについて、1級の身体障害者でバーチャル美少女なボクの考えをまとめてみる。
きっかけ。意外と障害持ちのVって多い?
きっかけは、ねむさんのこのツイート。
障害や難病を抱える方のVtuber事務所
— バーチャル美少女ねむ⚡公式VIVEアンバサダー【人類美少女計画】 (@nemchan_nel) March 17, 2021
「VChallenged」が発足・所属VTuber募集開始だそうです! 所属Vの方々のChallangedが公開されてるのに覚悟を感じる… Vの技術により、誰もがアイドル・表現者となれる可能性が広がるといいですね!#vチャレ https://t.co/XlwKKbU7mV pic.twitter.com/PFSpSVDtsz
このツイートに対して、「実は自分も障害/難病もちで…」という反応をする個人Vが多かったんだよね。
でも、そういう人たちが全員、プロフィールなんかで積極的に自分の障害を公表してるかというと、そうでもない。かといって、このツイートに対して反応するくらいだから、とにかく知られたくない、というわけでもない。
ボクもそうなんだけれど、自分の障害について、「積極的に主張はしないけれど、特に隠すわけでもない」というスタンスの人は多いんだと思う。
「何で主張しないの? 売りになるんじゃない?」
障害を主張すれば人気が出る? Vの世界はそんなに甘くない、ってみんな気付いてるんだよ。
バーチャルな存在を応援する人たちは、魂の年齢、性別に囚われずに応援している。同じように、魂が何らかのハンディキャップを持っているかなんてのもそれほど気にしない。
だから、普段の活動の中で自分の障害を前面に押し出して啓発するとか、ネタにするとかそういった行動をするのでなければ、「障害があるんです」なんていう主張はなんの売りにもならない。
みんな、そんなことより主張したいことがあるんだ。
永遠の12歳です、とか、清楚な美少女です、とか、ボクって可愛いでしょ? とか、そういう主張の方が重要なんだ。
だから、障害がありますなんて些細なことを主張する余裕はないんだよ。
「でも、あの人は障害を主張してるよ?」
もちろん、自身の障害についてもっと知ってもらいたい、多くの人にこの病気の存在を啓発したい。そういう思いで活動しているVも居るよ。
そういう人たちの志は、応援したいと思う。
でも、ボクにとっては、自分の性別、自分の年齢と同じくらい、自分の障害というのも些細なこと。性別、年齢と同じように、積極的に公表はしないけれど、話の流れで触れられれば、何となくそういうものだと仄めかす。そういう「リアル側の属性」の一部なんだ。
きっと、障害を主張もしない、隠しもしないVの人たちは、同じような考えなんだと思う。
「で、VChallengedってどうなの?」
この記事のきっかけとなった、ねむさんのツイートで紹介されているVChallenged。
障害、難病を持つ人向けのVTuberプロダクション、とのことだけれど、応募要件を見ると、先行きに不安を感じるんだ。
別に、障害者を食い物にしようとしている、とは思わないけれど、障害者で可愛いガワの女性VTuberなら人気が出ると、甘く考えている気がするんだよね。
最初に言ったけれど、「障害者だけど頑張ってVTuberやってます!」だけじゃ、何の売りにもならない。
障害がある事を前面に売り出して、持っている障害自体をコンテンツにしてしまうのであれば一定の人気は出ると思うけど、それにはVTuber側にも覚悟が必要だし、応募要件ではそんな覚悟は求めているようには見えない。
だからといって、「障害者だけど頑張ってVTuberやってます」路線だと、障害の有無など無関係に、大手の企業系VTuberと競い合うことになるよね。この路線では事務所のプロデュース能力が非常に重要になるけれど、それだけの力があるのか分からない。
他にも、配信機材を配信者側に用意させたり、都内での打ち合わせを求めているのもどうかと思う。障害によっては、機材のセットアップが難しかったり、外出が困難だったりする人もいるはずだよね。
そういった人たちへのサポート体制を考えてこそ、障害者のためのVTuberプロダクション、と言えるんじゃないかな?
でも、VChallengedの理念は素晴らしいと思う。
だからこそ、甘い見通しで突き進むのではなく、しっかりと戦略を練って、多くの人気VTuberをデビューさせてほしいと思うんだ。
(その前に、権利処理の甘さはしっかり謝罪と反省のお知らせ出した方が良いと思うけど)
おわりに
最初にも書いたけど、この記事はボクの個人的な考えだよ。
特に、障害への考え方については個人差が大きいので、全ての障害者が同じような考えだとは思わないでね。
ボクなんか、障害者と言っても障害受容のプロセスを四段階くらいすっ飛ばしていきなり「受容」に辿りついちゃったおかしなやつだから。
でも、障害の有無にかかわらず、いろいろな自由があって、いろいろな人と交流できるバーチャル世界って本当に素晴らしいと思う。
だからボクは、これからもバーチャルな世界の発展を追いかけていくよ。
追記・ねむさんとの対話
>障害者で可愛いガワの女性VTuberなら人気が出ると、甘く考えている気がするんだよね。
— バーチャル美少女ねむ⚡公式VIVEアンバサダー【人類美少女計画】 (@nemchan_nel) March 17, 2021
>障害がある事を前面に売り出して、持っている障害自体をコンテンツにしてしまうのであればVTuber側にも覚悟が必要
たしかに、これだけ話題になったからには、これに対して運営からアンサーは欲しいですね!
結局、一番気になるのはプロダクションといして所属VTuberをどう売り出していくのか? なんですよね。
— 兎摩@バーチャル猫耳メスガキ美少女VTuberおじさん (@toma8086) March 17, 2021
個人Vなら好きにやれば良いんですが、企業である以上はある程度の収益が見込めなければ活動を継続できないでしょうから…そのためにどういう路線を取るのか、ですね
収益性よりも表現できる環境サポートがだいじ! みたいなNGO的な方向性も個人的には全然アリだと思うけど、その場合は中身女の子でうまく言ったら間口を広げるとか、配慮は明言してほしいですよね
— バーチャル美少女ねむ⚡公式VIVEアンバサダー【人類美少女計画】 (@nemchan_nel) March 17, 2021
兎摩ちゃんの言うように障害そのものをコンテンツにするなら確かに演者側に相当の覚悟が問われそう…
そうなんですよね。
— 兎摩@バーチャル猫耳メスガキ美少女VTuberおじさん (@toma8086) March 17, 2021
Vでの収益度外視で表現環境をサポートするので、理念に賛同する人からのクラファンで運営します。っていうならそれも有りだと思うのですが、その方向で行くなら募集の間口狭めすぎですし、せめて今後のロードマップくらいは示してほしいものです
結局、VChallengedについて一番心配なのは、「で、どうやって稼ぐの?」って話だよね。理念は良いのに甘い見通しで突っ走って、早々に「【解散のお知らせ】お金ありません」となるのはあまりにも悲しいので、そうならないように運営はしっかりと戦略を立ててほしい。
2021/3/18の追記
VChallenged、権利的に問題のある画像の利用については、サイトでもきちんと謝罪文が出たみたい。
代表者の方とTwitterで少しやり取りもしたけれど、とても真摯な姿勢で取り組んでいる方なので、これからもVChallengedは見守っていきたいな。