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アメリカで喋らず笑いを取る

 アメリカに駐在してから、どうしても理解できないことが有りました。
TVで「コメディチャンネル」という四六時中コメディを放映しているチャンネルがあるのですが、どうして観客が笑っているのか理解できませんでした。

もちろん、同僚たちが話をしている内容を聞いていても
みんなが笑い出した時に、何で笑ったのか全くわかりませんでした。

雰囲気は楽しいというのはわかるのです。
スタンダップコメディを見ていても
知らない単語ばかり並ぶので、話をしている内容はよく聞き取れません。
でも、間などをみると楽しいんだろうな位は感じます。

私のアメリカでの目標に
「アメリカ人の笑いをとること」
ということを掲げていました。

もちろん、私が話をしている内容で笑いを取ることです。

その為、意識して色々と見ていたのですが、全く無理でした。
本当に何が面白いかがわからないんです。

ということで、アメリカに住み始めて数ヶ月の私には
「アメリカ人の笑いをとること」という目標を達成するのは当分無理だなと
諦めておりました。

とある日。

50人くらいのアメリカの営業の皆さんが集まるイベントに参加することになりました。
その場はMikeがプレゼンをして、
もしも回答に難しい質問が来たら私がサポートするという位置付けでした。
多分難しい質問なんて来ないし、私には英語でプレゼンなんて出来ないので、
見て勉強しててねという位置付けです。

私にはプレゼン会場の展示に製品を並べるくらいしか仕事がありませんでした。

いざ、イベントが始まり参加者の自己紹介から始まりました。
私は裏方なので特に自己紹介もせずに隅の方で座ってました。
そんな中、Mikeのプレゼンが始まりました。

製品紹介になり、私の近くのテーブルに展示されている
10個くらいの製品について一つ一つ説明が開始しました。

多分プレゼンを聞いている人は、
目の前に置かれている製品のどれが説明されるかわかりにくいだろうな
私も特に仕事がなく暇なので展示している机の所に行きまして
Mikeが説明している製品を一つ一つ持ち上げて皆さんに見せていきました。

参加者の皆さんは私が持ち上げる製品を見ています。
私も会場の皆さんが見えやすいように紹介されている製品を動かします
進むにつれて、少しずつクスクス笑いが起き始めました。

なぜなら、次に紹介される製品が30kgくらいの最も重いものだったからです。

そのページになった時に、私は最も重い製品を持ち上げて他の製品の様に
参加者の皆さんが見える様に動かしました。
満面の笑顔で。

物凄い笑いが取れました。
拍手まで起きました。
私は、一言も喋らず。

動きと顔だけで笑いは取れるんですね。
英語力なんて必要ないんです。

プレゼンの後に、参加者の何人かが「おまえ面白いな」くらいの感じで
話しかけに来てくれました。

もちろん、相手の話すこともそこそこしか聞き取れず
私の話す英語もそこそこしか伝わらず・・・。

機会を活用できず、少し話をしただけで皆さん去って行きました。

この時も自分の英語力に凹みました。
まだまだ英語力に課題は山積みでした。

ただ、英語話せなくても笑いを取れることを学ぶことができました。

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