田舎の話
少し前田舎に帰った。
僕の、ではなく親の田舎。
のどかで、海が綺麗で心が洗われるようなそんな帰省だった。
この時は母親と一緒に行ったんだけどみんな口を揃えて言う。
「次は彼女と一緒に来てね」
という言葉。
無論、向こうに悪気はない。
それが当然という考えだし、田舎の中でゲイなんて概念はほぼ存在してない。
そもそも僕がカミングアウトしてない時点でみんなが気遣うはずもない。
何も言ってないのだから、そのような発言をされるのは当然と言えば当然である。
何も言わずしてわかって欲しいなんてただのわがままなんだから、、
ただ普段の仕事ではそのような発言を久しく聞いていないのである意味新鮮だった。
最近はコンプライアンスやハラスメントなどを取り締まる体制が強く、そのようなプライベートの話は振られることが少ない。
田舎ではみんな結婚して、子供を生むのが当然と考えられている。
きっとその中に僕と同じようなゲイの人もいただろう。
レズの人もいただろう。
彼ら、彼女らはきっと田舎を出たか田舎で嘘をつきながら生きているのかな
ふとそう思った。
彼氏と将来的には田舎に住んでもいいねなんて話をする時がある。
ゆっくりとしたスローライフ。
きっといいとこも悪いとこもあるし、楽しいだろう。
ただ今回のように男女交際のみの概念しか無い場所、地域に同性カップルはなかなかハードルは高いのかもしれない。
普通に接してくれる、あまり触れてこない人ばかりだといいがきっと田舎はそうではない。
今回帰って思ったことは田舎は話題が少ない分、1つでも何か話題に上るとたちまち全ての人の耳に入る。
都会のように他人の暮らしに干渉しないスタイルは通用しないのが田舎である。
近所の揉め事、結婚や進学先、出産は全て新聞に載る。
うちわだけの話を次の日になるとみんな知っているのが田舎である。
干渉し、噂話大好きで、小さな世界がそこに広がっていた。
ただ、誤解しないでほしいのは僕は田舎の感じも大好きだ。
のどかで、静かで、忙しなく過ぎていく毎日とはまた違った良さがある。
過干渉な分、みんながみんな繋がっているのが田舎の良さだと思う。
好き嫌いはあるだろうがみんな関わり合って生きているのが田舎のいいところでもあると感じた。
個人的に僕の母の実家近くは東京や大阪に比べて10〜20年ほど価値観が遅れているというイメージだった。
あと10〜20年経ったら田舎にゲイカップルが来ても不思議がられない世の中になればいいなと思う。
待ってろスローライフ。