男らしさ女らしさって文化によって全然違うって話(大学講義抜粋)
男女のイメージは社会によって異なる
今日大学の授業で習ったことをまとめておこう。
われわれにとって男らしさ、女らしさとはどういうことを指すだろうか。
例えばアメリカ社会における男らしさとは強く、何事にも積極的果敢なものを指す。女らしさとは依存的、受身的で家事に係わるものを指す。
日本人がイメージする男らしさや女らしさもおおむねこんな感じだろう。だがこのアメリカ流の男女の性差イメージは世界共通の価値観ではない。それぞれの文化によって多種多様だ。この記事ではアメリカ流ではない男女のイメージをもつ民族を紹介する。
アラペシュ族
アラペシュ族はパプアニューギニアの少数民族だ。農業を主たる生業としている。この民族は子どもは男女とも、大切に庇護されて育てられ、他人と争わず、互いに協力して働くことを強調される。つまり男女の気質の差異はほとんどないものだと思われている。アメリカ式みたいに男=強い、女=受身、家事というイメージがそもそもないということだ。
両性ともに女性的な気質をもち、 感情的に温和で、こまやかな 心遣いがあふれ、平和を好む性格だ。
ムンドゥグモール族
ムンドゥグモール族もパプアニューギニアに住む少数民族だ。彼らは農耕と漁業を生業としている。
この民族では、女性はよく働き、男は首狩りに価値をおいて戦いに従事する 。彼らは「全世界に敵意をもって」日々を送っており、子どもに対しては冷淡で邪険 に扱う。彼らは男も女も攻撃的な激しい気質である。その点で男女の気質の差異はほとんど認められず、ともに男性的である。性別によるイメージの差はもっていなくて両性ともアメリカ社会でいう男性的な性格をしているということだ。
チャンブリ族
チャンブリ族もパプアニューギニアに住む少数民族だ。漁業を生業としている。彼らは漁業は主に女性が行うもので女性の方が 積極的でエネルギッシュで自己主張が強いという価値観を持っている。そしてこの社会では男性と子どもが飾りものを好むのに対して、 女性は頭を剃って、飾りものも好まない。男性は、物おじしやすく、お互いに警戒心が強く、いつも家にい て家事やうわさ話に興じ、工芸品を作ったりしている 。つまり男らしさと女らしさがアメリカの通念とは全く逆転しているのだ。アメリカ流の性イメージをもつ我々にとってはかなり衝撃的に思える。だが現実にチャンブリ族はアメリカ式とは真逆の性イメージをもっている。しかし奇妙なことに社会の規範としては夫は妻を服従させ支配すべきとされており 社会全体として、男の役目である儀礼活動が何より尊重されている。 つまり社会的な威信の部分に関しては儀礼を通して男性の優越が確保されており、男性優位社会なのだ。これは我々からすると理解が難しい。女性の方が積極的でエネルギッシュで男性の方がおとなしく、物おじするという考え方をもっているのにもかかわらず社会的には男性の方が尊重されるのだ。男の方がか弱い性格なのに男性優位社会というなんともよくわからない社会がチャンブリ族の社会なのだ。
まとめ
いかがだっただろうか。男らしさ、女らしさというものは実は社会によって全然異なるということがわかっていただけただろうか。男と女はもちろん生物学的な部分での差は先天的にあるが役割的な部分での差は先天的なものではなく社会によって異なるものなのだ。男と女は生物学的な違い以外に差はない。