【背伸びしたジャズ鑑賞】バラードの名曲で味わうジャズのエッセンス(3/4)
第1~2回の復習
ここまでは、比較的オーソドックスなテイクを紹介することで、いわゆるジャズの特徴をおさえてきた。残す2回はいずれもコンテンポラリーな感覚を持ったアーティスト達が登場する
3. 豪華メンバーによる愛の表現 - Nearness Of You | Michael Brecker
ドラム/ジャック・ディジョネット、ベース/チャーリー・ヘイデン、ヴォーカル/ジェームズ・テイラー、ピアノ/ハービー・ハンコック、ギター/パットメセニー、サックス/マイケル・ブレッカー、、、豪華すぎるメンバーである。
バラードにおいては、プレイヤーのテクニックなどの身体的要素が捨象され、精神的なその人のセンスが如実に現出する。
感情を込めることで結果として情熱を表現する多くのテイクが存在する一方、このアルバムでは、プレイヤーそれぞれの曲への感情移入がしつこすぎず「いき」である。それにより、情熱でなく愛とも呼ぶべき、穏やかな感情が漂うのである。
「いき」、淡白すぎず、しつこすぎず
まず、冒頭から特徴的なリフで始まるが、これがこのテイクの要の石であり、随所に挟みこまれることで、演奏全体を一つにまとめ上げている。
まずはジェームズ・テイラーがカントリー風に歌い上げる。#1のノラと比較して、かなり感情抑えめで、メセニーのボサノヴァ風伴奏もあり、全体としてあっさりした「いき」なアレンジである。アメリカの古き良き片田舎という感じの素朴な状景。
Bパート(1:02)からはピアノも入るが、このハービーのセンス!。このかなり"イケてる"伴奏パターンを繰り返さないところ、「いき」である。自分がカッコいいと思ったフレーズは繰り返し、野暮ったくなるのが人間の常である。
そして、主役ブレッカーのソロ、ここでも転調しているが、#2のアレンジと比較して、テンポは変更していない。そこでディジョネットはシンバルでビートをはっきりと示すことで、さりげなく「いき」に盛り上げる。
2:17~ではブレッカーの特徴的なフレーズ。モダンジャズには無い「アウト」(調和しづらい音を出す)感をだしている。
そして、短くまとまったソロ、後テーマと続き、まるでもともと楽曲に存在していたかのような例のリフに回帰する。それぞれが個性を主張しすぎないことで、全体のストーリーが感じられる。ジェームズテイラーのように、冒頭のリフを鼻歌で歌いたくなるのではないであろうか。
【付録】明日自慢できる「コンサル」用語集
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