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CHASE Inkカード、クレカポイ活のひとつの終着点
アメリカでのクレカポイ活がおすすめ!という趣旨の記事を以前に書いたことがある。
今回の記事では、米国クレカポイ活の一つの終着点の話をしたい。そこそこポイ活好き民は、とりあえずこの地点を目標にする人が多いような気がする。それが、CHASE Ink Business Cards(チェイス・インク・ビジネスカード、Inkカードと呼ぶ)を作るということだ。CHASE銀行が発行するビジネスカードシリーズのことを指し、高い入会特典と低い年会費が特徴である。
名前にBusinessと付くことからわかるように、これはビジネス・クレジットカード(以下、ビジネスカード)に該当する。発行対象は法人や個人事業主で、ビジネスに特化した特典が付帯することが多い。一方でパーソナル・クレジットカード(以下、パーソナルカード)があり、これは個人向けに発行されるものになる。日常の買い物など、普段使いに特化した特典が付帯されることが多い。
日本に在住していた時はビジネスカードを作ろうなどという発想がそもそもなかった。こちらに来てから色々と調べたので日本での事情はよくわかっていないのだが、アメリカでは個人事業主でも比較的簡単に作れることを知った。また、個人事業主の定義も甘く、YouTube、ブログ、アフィリエイト、フリマ、ライドシェアなどでお小遣い程度を稼いでいるだけでも、スモールビジネスをしている個人事業主として認めてくれる。
ビジネスカードの審査は、事業の財務状況ではなく、個人の信用とクレジットスコアに基づいて行われるので、財務状況が悪かろうが、収益が小さかろうが、これから新規事業を始めようとしている段階であろうが、他に安定した収入があれば問題なく作れる。つまり、ビジネスカードには個人保証が求められており、未払い残高の最終的な責任は、ビジネスではなくカード所有者にあるということだ。
従って、駐在員として派遣され、安定収入があり、ビジネスを志す気持ちさえあれば、堂々とビジネスカードの申し込みに踏み切ってよい。この記事では、なぜInk Business Cardsを推すのか、実際に作るにはどうすればいいかを書いていきたい。
Inkカードの特徴
Inkカードには4種類のラインナップがある。Ink Business Unlimited, Ink Business Cash, Ink Business Preferred, 及び Ink Business Premier だ。似たような見た目で似たような名前だが、それぞれ特徴が異なる。特に個人的に優秀だと思っているのが、年会費無料のUnlimitedとCashだ。
Unlimited
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年会費:無料
入会特典:3ヵ月以内に6,000ドル決済で75,000 URポイント
還元率:全ての購入に対してx1.5ポイント
Cash
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年会費:無料
入会特典:3ヵ月以内に3,000ドル決済で35,000 URポイント、6ヵ月以内に6,000ドル決済でさらに40,000 URポイント
還元率:事務用品店や通信費など特定の購入に対してx5ポイント、他はx1ポイント
入会特典が$750と書かれている部分は75,000 URポイントと等価である。
URはUltimate Rewardsの略で、Chase銀行のロイヤリティ・プログラムである。100 URポイント = $1.00で現金化できるが、サウスウェスト航空やハイアットホテルのポイントに1:1で交換した方が現金化より得をする場合が多い。Chase Sapphire preferred、又は Ink Business Preferredを持っていれば100 URポイント = $1.25、Chase Sapphire Reserveを持っていれば、100 URポイント = $1.50として、Chase Travel経由の旅行で利用する方法もある。
それぞれ「大きな入会特典」、「年会費無料」というふたつの好条件を満たしているのが素晴らしいと思う。もちろんPreferredとPremierも良いカードなのだが、年会費がかかるのと、入会特典の達成条件が上記二つよりも厳しい。なるべく支出を少なく利益を最大限に得たいという僕の思想からいえば、UnlimitedとCashの方が優先度が高いため、本記事での紹介は省略する。
Inkカードのもうひとつの特徴として、紹介特典の高さがあげられる。紹介リンクから申請されたInkカードが承認されると、紹介者に20,000 URポイントが入る。40,000 URポイントの時期もあったが、残念ながらそのキャンペーンは終了してしまった。
申請に至るまでの準備
①CHASE 5/24ルール
CHASEのクレジットカードを語るうえで、避けては通れないのが5/24ルールというやつだ。直近の24ヵ月以内に5枚以上のパーソナルカードを作った人の申請は絶対に承認されない、というものだ。5枚以上には、CHASE以外が発行したパーソナルカードも含まれる。例えば、ANA/JAL USA CARDも含まれる。
ビジネスカードは枚数にカウントされないので、4/24の状態でInkカードを作ってもカウントは増ず、引き続き4/24で次のInkカードを狙える。
ビジネスカードはカウントされない言ったが、5/24になった状態でInkを申請しても承認されない。超えてしまった場合は4/24になるまで待つ必要がある。そのため、Inkカードが作れるようになるまで、如何にパーソナルカードを4枚以下に抑えるかを考えておかなければならない。
②クレジットスコア
必要なクレジットスコアは諸説あるが、700以上あればOKとよく聞く。AMEXのカードは670あればOKと言われているので、それよりはCHASEは厳しめと言える。
クレジットスコアは、個人の信用度を数値化したもので、300~850の範囲で評価される。スコアの評価基準は、一般的に以下のように分類される。
300-579: Poor(低い)
580-669: Fair(普通)
670-739: Good(良い)
740-799: Very Good(非常に良い)
800-850: Excellent(優れた)
このスコア範囲に基づいて、金融機関やクレジットカード会社は信用力を評価し、ローンやクレジットカードの審査が行われる。スコアが高いほど、より良い条件での借り入れやクレジットカードの利用が可能になる。
Equifax,、Experian、TransUnion の3つの信用情報機関がそれぞれ独自の計算方法でスコアを決めている。審査の際には、金融機関やクレジットカード会社がどれかひとつの機関に情報を問い合わせる。
③クレジットカードの所持期間
クレジットカードを所持している期間が長ければ長い程よい。長い間破綻することなく取引を続けられていることを意味し、信頼性が増すということだろう。米国でクレジットカードにSSNを紐づけてから1年が目安と言われている。アメリカでの生活基盤の整え方の記事でも書いたが、早くANA/JAL USA CARDとSSNを手に入れて、早く紐づけた方が良い。
ちなみにAMEXの場合の目安が6ヵ月なので、ここでもCHASEの方が厳しめだ。AMEXのカードを先に作る人が多いのもこれが理由になる。
④CHASE銀行のアカウント
これはマストではないのだが、CHASE銀行のアカウントを作っておいた方が、承認率があがるらしい。何も知らない人よりも自分の銀行を使ってくれている顧客にちょっと甘くなる、というのも頷ける話だ。給与支払い口座に指定したり、ある程度の預金をしておけば、固定収入と貯金があることをアピールできるので、クレジットスコア以外の判断材料になったりもするのであろう。たぶん。
申請時のステータス
さて、実際にInkカードを申請した訳だが、そのときの僕のステータスは以下のようなものだった。準備万端整った、という感じだと思う。
①5/24ルール
3/24
②クレジットスコア
743 (Experian)、741 (TransUnion)
③クレジットカードの所持期間
1年4ヵ月
④CHASE銀行のアカウント
開設後1年2ヵ月
個人事業主としての申請方法
実際に、僕のような駐在員が、個人事業主として申請する場合を見ていきたいと思う。
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入力が終わったら、提出ボタンを押せば完了だ。即承認される場合もあるし、レビューするから待てと言われる場合もある。僕が申請したときは即承認とはならなかった。
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クレジットスコアも十分だし、カード保持期間も十分で、CHASE銀行とも信頼関係を築けているから、即承認されるかと思っていたが、そうはならなかった。大人しく待っていると、追加の情報を提出せよというメールを受け取った。
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以下の要求された文書を送付してください
親愛なる xx
新しいビジネス・クレジットカードのアカウントに申請して頂きありがとうございます。申請を完了するために、いつくかの情報を検証する必要があります。
以下が、あなたの申請のレビューを続けるために必要なものです。
明瞭な書類のコピーをアップロードしてください。
・ビジネスの名前と住所が証明できるもの
・ビジネスの federal tax id が証明できるもの
どのようにアップロードするか
下のUpload Documentsをクリックして、私たちのsecure upload channelを通して情報を提出できます。
ビジネス名と住所、あとTIN (Tax ID Number)のエビデンスを出せと言ってきた。いや、TINなんて持ってないんですけど?ということでメールに記載されていた電話番号に電話をかけてみる。自動音声に従って入力を進める。最終的に自動音声で、「申請を受け付けたが、情報に不足がある。メール、もしくは手紙の指示に従ってエビデンスを提出せよ。」と指示された。オペレータと話すこともできず、情報量ゼロの情報を伝えられた。こんなことなら、電話番号など書かないでほしい。
さてどうしようか。先人たちの情報を参照しても、このようなエビデンスを求められたという話は出てこない。何か申請時に変なことを書いたのだろうかと、撮影してあったスクショを眺めていると。
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これが原因かもしれない。自分が唯一の従業員の場合は"0"、と御丁寧に指示があるのに、"1"と記入している。間抜けにも程があるが、おそらくこれのせいで即承認されず、追加のエビデンスを求められたと推測できる。
電話は無意味だったし、エビデンスを求められても無いものは無いので、手紙を書いてエビデンスの代わりに提出してみた。
To Whom It May Concern,
I called the phone number listed in the email, 888-xxx-xxx, but was unable to speak to an operator, only an automated voice, so I am writing this letter to inform you of my situation.
I do not have "Proof of legal name and physical address for business" and "Proof of federal tax id for business" as I am a sole proprietor. When I applied for the card, I entered the number of employees as one (1), but that is incorrect, zero (0) is correct. Sorry for the confusion, that was my mistake.
I would appreciate it if Chase could consider this application, but if I have t o reapply for the card from scratch, please deny this application.
Reference number: xxxxxxxxxxxx
Thank you,
ご担当者様
電子メールに記載されていた電話番号(888-xxx-xxx)に電話したけど、オペレーターとは話すことができず、自動音声(により無意味な情報を伝えられただけ)でした。そのため、私の現在の状況をお伝えするためにこのレターを書いています。
私は個人事業主なので、「Proof of legal name and physical address for business」と「Proof of federal tax id for business」を持っていません。カードを申請する際、従業員数を1と記入したのですが、これは誤りで0が正しいです。私のミスで混乱させてしまい申し訳ありません。
申請を検討してもらえると有難いのですが、もし最初からカードを申請し直さなければならないのであれば、この申請を却下してください。
参考番号: xxxxxxxxxxxx
てな感じで、最悪却下されてもやり直せばいいや、それ位の軽い感じで言い訳を提出した。すると翌日には電話がかかってきて、口頭での本人確認が済んだらすぐに承認された。
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おめでとう!あなたの新しいクレジットカードが承認されました。
あなたの新しいChase Ink Business Unlimited credit cardとウェルカムキットは準備中で、5~7営業日以内に到着する予定です。
ひと手間かかったが、無事に承認されてよかった。このように、クレジットカードの申請は思うように事が運ばないことが結構ある。ここにひとつ、新たな(間抜けな)先人の知恵が加わった。
パーソナルアカウントとの統合
ビジネスカードを作ると、CHASEのビジネス用のアカウントができる。これをパーソナルのアカウントと統合することによって、かなり使い勝手がよくなる。アプリ上で簡単にできるので、そのやり方を記録する。
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ちなみに、ビジネスのアカウントにパーソナルのアカウントを紐づけることはできるが、逆はできない。統合の作業をするときはビジネスのアカウントにログインするよう気を付けてほしい。
URポイントの移行
ビジネスとパーソナルでアカウントが分かれており、付与されるUR ポイントもアカウントごとに分かれる。Chase Sapphire Preferred、又は Ink Business Preferredのアカウントに移行すれば100 URポイント = $1.25、Chase Sapphire Reserveのアカウントに移行すれば、100 URポイント = $1.50として、Chase Travel経由の旅行で利用することができる。また、URポイントを他のポイントに交換する場合も上記の上級カード(Chase Sapphire preferred、Ink Business Preferred、又はChase Sapphire Reserve)のアカウントに移行してからでないと交換ができない。URポイントの移行作業はアプリで簡単に済ませることができる。
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やってみればわかるが、インターフェースは非常に親切なので、やってみれば悩むことなく簡単に、一瞬で作業は完了する。上級カード(Chase Sapphire Preferred、Ink Business Preferred、又はChase Sapphire Reserve)を持っていないと、100 URポイント = $1.00のキャッシュバックしか選択肢がないので、上級カードを作ってそのアカウントにポイントを移行してから使った方がお得感が増すのでオススメだ。
承認が厳しくなった?
米国ポイ活先駆者の方々の様子を見ていると、Inkカードは2~3枚持っていても3ヵ月期間を開ければ普通に承認される、といったことが投稿されているのを目にする。4種類のInkカードを作り終えて、一区切り。そのような雰囲気であり、僕もそれに追従していた。
しかし、Redditというインターネット掲示板で2024年10月以降、Inkカードが承認されにくくなったのでは?という内容が議論されていた。2024年10月と11月の申請データが以下となる。サンプル数は194と大きくないが、とても興味深い内容だ。
2024年11月21日時点、 2024年10月と11月の申請データ
0 inks - 19/21 (90%)
1 ink - 26/35 (74%)
2 inks - 24/48 (50%)
3 inks - 11/59 (19%)
4 inks - 4/23 (17%)
5+ inks - 2/8 (25%)
Inkシリーズの所持数が少ないほど承認率が高く、1枚目は90%承認され、2枚目を作ろうとすると74%、3枚目は50%、4枚目は19%まで承認率が落ちる。これが事実だとすると、2枚、UnlimitedとCashまではトライするとして、残りのPreferredとPremierは作らずじまいになるかもしれない。
これはアメリカ駐在員でのクレジットカード戦略を大きく変えることになるかもしれないデータである。ぶっちゃけ、Inkカードを複数枚作るために、5/24ルールを超えないようにクレジットカードを作る順番を考えている、と言っても過言ではない。今から新たに駐在予定の人は、自分なりの戦略を考えてみてもいいかもしれない。
ビジネスカードを私的に利用しても良いのか?
何を今さらという感じだが、入会特典を得るためとはいえ、ビジネスカードを個人的な支出に使ってよいのか?と疑問に思うかもしれない。実際、ほとんどの発行会社は、ビジネスカードはビジネス目的にのみ使用するよう利用規約に明記していることは理解しておくべきだと思う。しかし、事実上全ての支出は事業経費になり得るので、カード発行者が私的利用かビジネス利用かを切り分けることは事実上不可能である。つまり、一応注意書きは書かれているが、まず咎められることは無い。
また、ビジネスカードを私用に使うことを禁止する法律はなく、パーソナルカードで事業経費を払う場合も同様である。
ただし、クレジットカード発行会社は、その判断によりアカウントを凍結することができる。僕の周りにそのような人は居ないし、ネット上でも聞いたことがないのだが、そのリスクがゼロではないということは認識しておくべきであろう。
まとめ
CHASE Ink Business Cards(Inkカード)は高い入会特典と低い年会費を両立する、とてもポイ活が捗るビジネスカードである。
承認難度が上がっている雰囲気だが、2枚くらいは作れそうなので、夫婦でUnlimitedとCashを1枚ずつ、それをお互い紹介しあえば、4枚で400,000 URポイント近くを年会費無料のカードで稼げることになる。ビジネスカードにトライするかどうかは、個々の判断に委ねたいが、面白い選択肢もあるもんだ、と思ってもらえれば幸いである。
ひとつの終着点とタイトルに書いたが、ある程度満足するまで Inkカードを作って、他のCHASE発行の魅力的なカードを作り終えてから、他のパーソナルカードに手を出そうかなと思っている。
紹介リンクを置いておくので、Inkカードを作る決意をした人は、応援がてら使ってもらえると大変ありがたい。もし夫婦やカップル、友達などの紹介リンクが使えるなら、是非ともそちらを優先して使って頂きたい。
裏話はこちら。Bank of Americaのビジネスカードを作るのはCHASEよりも難しいかもしれない。
Inkカード、2枚目承認時の記事はこちら。
本記事の情報は2024年12月時点のものです。
クレジットカードの作成は、ご自身の判断に基づいて行なってください。