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マイホーム

現状から遠く離れて、人生をイチからやり直そうと思った私は

妻がパートから帰ってくると胸の内を伝えました。

晩ごはんを食べながら家族で新しい土地で再出発しようと妻に話したところ明るい性格の妻はニコニコしながら

「それはそれで楽しそうね!」

美味しそうにオムライスをほおばっている娘に顔を向けながら答えてくれたんです。

「ところで、引っ越しするのはいいけど建てたばかりのこのお家はどうすんの?」

・・・

そうだった。

念願だったマイホームを三ヶ月前に建てたところだったんだ

妻と娘、これから生まれてくる子供と4人

その瞬間、環境の良いこの住宅地で楽しく生活できることを誰より喜んでいた妻の顔を思い出しました。

従業員や資金繰りのことで頭がいっぱいで、家族のことをさっぱり置き去りにしていたのです。

つい三ヶ月前は新居に移って、これからこの街で生活していくことを皆で楽しみにしていたのです。

妻の一言でどんどん走馬灯のように忘れていた記憶があふれてきました。

ひとりで細々と飲食店をやっていたころ、とある方との出会いでスポーツ用品の小売店を始め

それがうまくいって事業を法人化してどんどん従業員が増えて行きました。

そんな中で妻と出会い、結婚。妻に似て明るい娘に恵まれてすべて順調だった1年前。

ただ、気づかないうちに事業がかたむき始めていたのです。

・・・つづく。

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