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「宿るための造形」Life in the Fab village #02

このnoteはFab villageという京都工芸繊維大学D-Labのプロジェクトの一環として行う、Fab-practiceの制作日誌です。今回の課題は、3DCADと3Dプリンターを使用した制作物のデザインでした。

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ここから実際に作ったものについて書いていきます。

自然に宿る3D-Printing

このプロジェクトでの自分のテーマはFab村民の暮らしを思い描く先に現れる、新しい日用品の美を探索することです。3Dプリントは出力した段階ですでに、ある程度完成度が高いものができることがその良さの一つとして挙げられると思います。しかし自然と共生するためのFab villageではそのような使い方ではなく、そこにある自然物に出力したものが宿ることで新しい人工物にさせるようなデザインを考えていきました。

Prototype#1_Fo(r/l)k

一つ目に考えたものは、木の棒の先端にスプーンやフォークの形状をくっつけることでできるカトラリーです。まずは学校に落ちているカトラリーに使えそうな太さの木の棒を拾ってきました。

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木の棒を写真で撮影し、イラストレーターに取り組んだ後木の先端の形状をフォークの先の形に使います。3Dプリントの特徴に少量でオリジナルのものを低コストに作れると言う点がありますが、このような自然物の形状を踏襲した形はまさにその点が活かせたやり方です。

スケッチ-04

細かな立体形状はライノセラスで調整していきます。

スクリーンショット 2021-07-28 10.33.15

木の棒にパーツが刺さるように加工し、一緒に出力した丸い筒でかしめ

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PLAのフィラメントでFDM方式の3Dプリンターで作成しました。かしめの構造もうまく機能し、なんとか使用できるようにはなりました。ただ、乾燥していない細い木材であることと、ノギスと目分量での調整だけでは完成度があまりに低いと感じたため、もう一つ別のプロトタイプを作成することにしました。

Prototype#2_JIZO

木の棒の次に着目したのは石です。ただ石と3Dプリントで作る日用品というところでは、すでに新工芸舎が寄生する道具シリーズでやられているところでもあります。

このような手法を意識しながら、今回のプロジェクトの文脈では、その人工物が持ちえる意味や文脈に注目して制作しようと考えました。そこで対象として地域信仰の代名詞とも言えるお地蔵さんを設定しました。地蔵の細かな文脈に関しては今回は割愛します。

3Dプリントで体の方を作り、顔の部分を自分で石を見つけてきて補完するという設計にしました。例によって石は学校で手頃なサイズを拾ってきました。

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石の形状自体をスキャンするのが一番綺麗にできるのですが、3Dスキャニングは次の課題でもあるので今回は汎用的なサイズをCADで設計してプリントするに留めました。

pinterestでお地蔵さんを探してみると基本的に丸みを帯びた釣鐘型に近い形状が多いので、その形をデフォルメしました。

スクリーンショット 2021-07-29 11.00.48

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形状検討、大きかったり手がついてたりなかったり。

作り方は非常にシンプルで、正円に面を貼るための曲線を作りそれを1レールスィープで面を作成。上の凹みは曲線をRevolveして作成したものをジョイント。

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ただ、正円だと石の収まりが悪かったため幾つかスタディしたのち楕円に変更しました。

スクリーンショット 2021-07-29 11.12.22

仕上げに袈裟の表現は曲線をProjectionしたラインでSplitして前の面だけを凹ませました。

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最終的にはかなり抽象化したお地蔵さんの体にしました。サイズは石にもよりますが、お地蔵さんは民族信仰としては子どもの形をしているという言い伝えもあったりするので頭が大きいものでもそこまで違和感ない気もします。

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こちらもPLAをFDMで出力したものを無塗装の状態です。

もうちょっとやらないといけないこと

今回試作してみた所感としては、3Dプリントで手早く成果物を作ろうとすると、形状のチープさがどうしても隠せないこと。そして素材の組み合わせとして色や質感がどうしてもハレーションになってしまうという2点が大きく課題として残っています。

お地蔵さんの方はもう少しブラッシュアップもできる気がしており、ファクトリーにある陶器3Dプリンターと組み合わせて出力した粘土にそのまま石をおいて焼くとぴったりの形状になるのではなどを検討しており、もう1段階は仕上げて終わらせたいなと思っています。

それではまた次回。


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Hiroto Okuda
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