「Fab村民を目指して」Life in the Fab Village #00
今年の春から京都工芸繊維大学に進学しそこで行われているプロジェクトの一つである「Fab village」というプロジェクトに参加しています。
Fab villageの概要はこちらから見ることができます。
このnoteではまずその一環として行う「Fab-Practice」という取り組みについて記録を公開して行くことが目的になります。
Fabで何を作るか
Fabという概念はMITのニール・ガーシェンフィールドが開講していた「How to make (almost) everything」の授業から生まれた、電子機器を通じて個人が自分の欲しいものを自分の手で作るいわゆるDIY的な行為の延長にあるものです。主に用いられるのは3Dプリンターや、レーザーカッター、CNCルーターなど素材を加工し入力された情報を物質に変換するというのがこれらのツール(デジタルファブリケーション)の特性と言えます。この情報(bits)と物質(atoms)のやりとりの広がりがFabの興味深いポイントではあると僕は考えています。この際の情報というのは多くは電子端末上で作成される2Dや3Dのデータであり、この情報をデザインすることで実質的に物質の形状を決めるというのが主たるやり方になるでしょう。
またこのFabの授業はのちにFab academyとしてオンライン授業という形で全世界から参加者が集まるものとなっており、そのプロセスや成果も公表されています。2021年度の講義はこのリンクから見ることができます。
(↓は田中浩也先生の授業体験記)
Fab-practiceもこの姿勢に倣いプロジェクトの進捗を何かしらの媒体で公開するということがワークの一環となっています。僕はnoteを用いて徐々に蓄積するマガジンという形にまとめようと思います。
Fab村民を目指して
Fab villageというプロジェクトはFabの研究室ではなくFabの村というタイトルを示してます。村は自然の中にある人々の生活共同体であり、村という漢字は木の中に人が集まった様であるという説もあるようです。自然という大きな存在に対して群れ(村の語源)で連帯することで生活を乗り越えようとした人のあり方を尊重するならば、情報を物質に変換する以上のこと、例えば儀式的な行為や自然への畏敬と奉納も村人は行うのではないでしょうか。
つまりこのプロジェクトでは、情報と物質の行き来の中に自然という存在を重要な存在として位置づけることをFab village村民の暮らしと捉えてみます。
そのような暮らしをイメージした上で、自然を情報に変えて物質化したり、情報を物質に変換した後自然に帰してみたり、情報と自然を組み合わせることで完成する物質を文化的慣習を思索しながら作ってみたりするようなプロセスを行うことで何か面白いファブリケーションのしかたを見出すことがこのFab-practiceで僕がやってみたいことです。
これに近しいプロジェクトとして、例えばMoMaで行われたBroken Nature展では海の中に珊瑚礁の代替となる人工物を設置したり、都市の中でミツバチが蜜を獲得するための造花などが示されています。
他にもSPACE 10のBee Homeなどもこれに近いコンセプトと言えるかもしれません。(特に設計手順がオープンにされているあたりなども興味深いです)
自然と人工物の関係は主に環境問題・持続可能性の側面からデザインの中でも度々批判されるトピックスではありますが、しかしながら今回はより短期的なアイディアのスプリントを繰り返すためにもう少し気楽に生活の中で扱うことができるようなものを作ってみます。暮らしというスケールの中で情報・自然・物質が混ざったようなオブジェクトを作り出すFabの実験からは「新しい日用品の美」のようなものも出てくるかもしれません。
最終的に制作したいもの
例えば今考えている最終制作物のアイディアでは、生木で茶碗を削り出しその完成した状態の3Dスキャニングを行い、乾燥させることで日毎に変化する様子を継続的に3Dスキャンし続け、最終的には歪な形に変化した木の茶碗(オリジナル)と3Dスキャンから出力した様々な形の樹脂の茶碗(コピー)が生まれるという生木を造形のジェネレーターとして扱うというものです。
この場合、より日用品の美として価値を持つのはどちらかなのでしょうか。均整の取れたオリジナルは存在せず、あるのは整ったコピーと歪んだオリジナルのみです。このような制作方法は従来の工業生産では見落とされていた美しさも作り出すかもしれません。
そのような自然・情報・物質を混ざり合う先に現れる日用品の美しさをこのプロジェクトでは探索してみたいと思います。
課題 #0
Feb 03: computer-aided designのレクチャー動画を見てくる
自己紹介のプレイリストを作る。
オリエン的な課題としてSpotifyで自分の紹介となるプレイリストを作るというものが出たのでここに載せておきます。