日曜美術館「雄々しき日本画〜横山操、伝統への挑戦〜」
戦後の日本画の風雲児と言われるくらい、独特の個性を発揮した画家。なかなか日本画はとっつきにくいわけだが、横山操(みさお)は是非とも見たいと感じさせるパワーを感じた。
出征、シベリア抑留という地獄を経て描く世界は怒りに満ちている。
現代の我々はそんな経験をすることもそうない故に、そのような痛みを伴う創作ができるのだろうか。
黒と赤を基調として描く、炭鉱的などろくささの迫力は鬼気迫る躍動感。消失してしまった五重塔の焼け跡や、9メートルにも及ぶ火山噴火の画や「赤富士」で有名な赤く描かれた富士山のような、ダイナミズムを突きつける画風。
中でも晩年の水墨画は興味深かった。水の浸透を抑えた紙に下塗りで水を伸ばす。そして、そこに炭の筆をおろすわけだが、当然滲むから思い通りにいかない。しかし逆にそれを利用することで独特のタッチを生み出す手法。
自然の災害や戦争や自分の思い通りにならない圧倒的な力が遍く中で、筆をおろしてそれを形にしてみる。アートの真髄を感じました。
新潟で展覧会を行っているらしいが、緊急事態宣言の中、県またぎで見に行けないのが悔まれる2021年1月。ちょっとは収まってくれないかな。
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