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世界で注目される「ゼブラ」とは 〜アンチ・ユニコーンから生まれた経営スタイル〜

「ゼブラ(しまうま)」と呼ばれる企業について聞いたことがありますか。

「ゼブラ企業」とは、自社の成長を第一の優先順位とするのではなく、
より良い社会の形成に寄与することを第一とし、持続可能な範囲での成長を追求している企業の総称です。

本記事では、ゼブラ企業をめぐるグローバルなトレンドと、その経営スタイル・在り方について紹介したいと思います。
(文責:陶山 祐司(Tokyo Zebras Unite Co-Leader))

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「ゼブラ企業:Zebras」の提唱

今、社会において「ユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場企業)」を 賞讃する風潮が強くなってきています。

資金調達を繰り返して急拡大していく「ユニコーン」を目指す起業家が増えるとともに、
既存企業も、ユニコーンへの投資や、ユニコーンとの協業を追い求めるようになっています。

しかし、短期間で急成長したユニコーンの中には、既存の社会のルールを無視し、社会的な責任よりも自社の成長を優先することもあります。

そうした、無条件にユニコーンを賞讃する潮流に危機感を覚えた人々が提唱したのが「ゼブラ企業:Zebras」という概念です。

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出所:Zebras Unite 資料をTokyo Zebras Uniteにて翻訳・整理

ユニコーンは上場、事業売却を目指して事業価値を10倍にすることを目指しますが、
ゼブラ企業は自社の成長を最優先とするのではなく、
より良い社会の形成に寄与することを第一とし、持続可能な範囲での成長を目指します。
(場合によっては、永遠に成長し続けるのではなく、一定規模で成長が止まって良いと考えています)

ユニコーンが独占・寡占を目指すのに対し、ゼブラ企業は他社を排除せず、独占を目指しません。

ユニコーンでは、得てして、成長・利益が目的とされるのに対して、ゼブラ企業は、社会的な使命や、在るべき社会像の追求が目的であり、それに必要な範囲で(目的ではなく手段として)利益の創出と成長を目指すのです。

ユニコーンを目指す企業の経営スタイル

ユニコーンとゼブラ企業では、経営の仕方が全く異なります。

ユニコーンにおいては、上場・急成長を目指し、事業規模を急拡大するためにあらゆる施策を打ちます。

社会的なトレンドや事業提携など、事業拡大に資するあらゆる機会を活用し、リスクをとって投資を行なっていきます。

投資家は、リスクをとってでも事業規模を成長させることを求め、
赤字になっても投資を拡大させ、さらなる資金調達を行うことを求めます。

"Winner takes all”(勝者が全てを得る) という市場環境の中で、
ベンチャー企業は、他者よりも一秒も早く市場のパイを奪うことに心血を注ぎます。

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ゼブラ企業の経営スタイル

それに比べて、ゼブラ企業は、他者と協調して持続可能な成長を求めます。
社会的なトレンドや大企業からの提携話などに安易に乗ることがありません。

そうした動きは、一時的には売上を伸ばすことになりますが、
中長期的に見れば、固定費が増大したり、ブランドを毀損することになり、企業体力を奪うことになります。

自分たちの事業が目指しているものは何なのか。
自分たちが担う社会的な使命や、自分たちが社会に与えたい影響は何なのか。

事業規模の拡大や、経済的なリターンではなく、
そうした観点に照らして、一つ一つの意思決定・経営判断が妥当なものなのかを問うていく。

それがゼブラ企業の特徴です。

ゼブラ企業の支援のために

私は、経済産業省の官僚を経てベンチャーキャピタリストになり、
宇宙開発ベンチャーやIoTベンチャーへの投資に従事し事業開発に携わってきました。

この10年間においてもベンチャー企業をめぐる環境は大きく変わってきました。

金融緩和や、事業会社がベンチャー企業への投資・協業に積極的になってきた影響もあり、ベンチャー企業に流入する資金は拡大してきています。
急速な成長・上場を目指すベンチャー企業にとって、以前と比べて、非常に資金が集まりやすくなったと言えるでしょう。

ただし、私が様々な企業の事業開発や資金調達に携わって目の当たりにしたことは、
社会的に非常に意義があることをしている企業や組織でも、上場を目指すと言わなければ、資金も人も集まりづらいという現状でした。

そうした人の中では、自身がやりたいことを曲げたり、流行りのバズワード(AI, Fintechなど)を使って、資金と人を必死に集めようとしている人もいました。

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私自身、経済産業省においてベンチャー政策に携わり、ベンチャーキャピタルにおいてベンチャー企業の創出・加速に携わってきて、ユニコーンのような企業を生み出すことの重要性を痛感しています。

一方、今後の日本では、ユニコーンを生み出す活動に加え、より良い社会を作り、維持していくために、ゼブラ企業の創出・拡大も必須だと考えています。

「ゼブラ企業」という概念を提唱した人々が立ち上げたZebras Uniteというコミュニティは、瞬く間に世界に広がりました。

私たちも、Tokyo Zebras Uniteを立ち上げ、ゼブラ企業の創業・成長支援の方法論を模索しています。

今後、
1. 投資や協業の機会の創出
2. 知見の交換
3. Zebras Uniteや世界のゼブラ企業に関係するナレッジの共有
といった活動を行なっていきます。

ご関心をお持ち頂けた方は、ぜひ、ご連絡ください。

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