母は強い

今日からnoteを暇な時に書いていきたいと思います。

文章を書くと自己肯定感が上がると聞いたことがあるので、いい機会だと思いチャレンジしてみようかなと。

いきなり本気で興味ねぇよって話で申し訳ないんですが、僕は自己肯定感が異常なほど低いんです。日本人はみんな低いと言われがちですがその中でもかなり低い自信があります。自慢に聞こえちゃったならすいません。
なにかが少し上手くいっても自分の力では一切なく全部運だと思うタイプだし自分の配信とか動画は極力見たくないんです。何かに映る自分がキモ過ぎてSNSに自撮りをアップする勇気も無い。映えスポットで自分を被写体にして写真を撮るなんてもう身の毛もよだつ所業です。

何でこんなに自分に自信が無いんだろうとふと考えた時に、親の影響が大きかったのでは無いかと最近よく考えるようになりました。

子供の時に褒められたことが無い子は大人になっても自分のやることに自信が持てないと言う話は聞いたことがありますが、むしろ僕はその逆で親に褒められすぎて自信を失ったタイプなのかもしれません。

自分で言うことでは無いですが、僕は赤ん坊の頃から母親にとんでもなく溺愛されて育ってきました。

欲しいものは何でも買ってもらえるし、毎日頭の感覚が無くなるほど頭をナデナデされるし、料理も超がつく野菜嫌いの僕の為に大量の肉とジャガイモとローリエしか入ってない野菜の旨味一切無しのストロングスタイル僕専用カレーを作ってくれたりするほどでした。他の家族は普通のカレーなのに僕の為にもう1個別の鍋を用意してストロングスタイル僕専用カレーを母が仕込んでくれるのです。もう愛を超えてちょっと常軌を逸しています。4歳上の姉は毎回かなり引いてました。父は何も言わずに黙って見守っていました。昭和の男ななので。

そんな何不自由なさすぎる環境で育った僕は幼稚園の年長さんくらいまではとんでもない自信に満ち溢れていた記憶があります。自分は特別な存在なんだ。自分は王様だ。もう自己肯定感の塊です。後にも先にも自己肯定感のピークを6歳で迎えたのは人類で僕だけでしょう。

幼稚園の友達にもやりたい放題。おもちゃを投げて友達に当ててしまい泣かせてしまっても何一つ謝らない。人との会話をほぼすいません始まりでで構成する現在の僕からは考えられないマリオでずっとスター取ってる状態な幼少期を送ってきました。

そうして自信満々で他の子よりも4、5倍腕を振りながら堂々と歩く6歳の矢野君は小学生になりました。

小学校に入学する際、受けた面接の事を今でも昨日のことのように思い出します。

先生が簡単な質問(年齢、好きな食べ物など)を僕と母親にしていきそれに答えていくだけのごくごく普通の面接。

この時の母は正直かなりフルスロットルでした。

先生 矢野くんは何歳ですか?(僕の目を見て)

僕 7歳です!

母 誕生日は6月だから厳密に言うとまだ6歳です。

先生 矢野くんの好きな食べ物は何かな?(僕の目を見て)

僕 ハンバーグです!

母 あ、ハンバーグって言ってもこの子野菜が苦手なので玉ねぎがたくさん入ってるタイプのハンバーグは食べれないんです。私が作ってあげたやつじゃないと。あとはロイヤルホストのハンバーグだったら割とパクパク食べるんです。アレは何でかしらね。玉ねぎ多いのに。

このように全部の質問に絶妙なタイミングで母の合いの手が入るのです。母親と漫才のコンビを組んだら気持ち良くノビノビと漫才出来たことでしょう。

今でも目を閉じるとあの時の困惑しきった先生の顔が蘇ってきます。大人特有のイラついてる時の唇のプルつき。どんどん笑わなくなる目。たまらなかったなぁ。

途中で先生が矢野君に聞いてるんですと母を制しても母はアクセル全開。攻撃の手をゆるめません。全盛期のボブサップよろしくラウンドが終わってるのに殴り続けます。

先生 矢野君はいつも何時に寝るのかな?(僕の目を見て)

僕 うーん、21時くらいかな?

母 うそよー、いっつもとんねるずだかダウンタウンだかのテレビ見て夜ふかしばっかりしてるじゃないー、興奮して全然寝ないんだから。この子ほんとうに変なものが好きでなんかお笑いの番組ばっかり見るんです、そうこの間も…

先生 はい、もう大丈夫です。

地獄の面接も佳境を迎え、いよいよ最後の質問になりました。

先生 矢野君の自分の手の指の本数は何本かわかるかな?

僕 うーんと…(手と足の指を必死に目で追いながらじっくり数える僕)

母 ゆっくりでいいわよ。

僕 えーと…22本です!

先生 えー本当かなー…?

足の指も勝手に数えてさらに2本プラスするという致命的なミス。この時の母の言葉を僕は忘れません。

母 手の指の本数っていう質問が悪いわ。指って言葉を聞いたらこの子足の指のことも考えるんです。賢いから。

力技を超えた超力技。しかも数え間違いは無かったことにする都合の良さ。言葉のフライパン曲げを僕はこの時初めて目撃したのです。

こうして面接は終了し母親によく出来ましたと褒められながら帰りにご褒美のポケモンの青のカセットを買ってもらいロイヤルホストのハンバーグを食べてホクホク赤ら顔で僕は帰宅するのでした。

この時はまだ僕は気づいてなかったのです。自分が全裸の王様だということに…


つづく




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