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「ハッピー・オブ・ジ・エンド」ドラマCD ep.01-08 感想


BLドラマCD怖い病を克服


「囀る鳥は羽ばたかない(以下囀る)」のドラマCDがあまりにも素晴らしかったので、私のBLドラマCD怖い病はすっかり治り、気に入った作品のドラマCDは恐れず積極的に買おうと思うようになった。

(実写化怖い病はまだ続いている。「囀る」はアニメもよかったけれど、実写は心配…)

 ドラマCDを聞くことで新たな発見があり、原作とドラマシナリオの差異の中に、自分の解釈とのずれが浮かび上がってきて、より深く原作を味わえるのだと知った。
 

「ハッピー・オブ・ジ・エンド」のドラマCDはep01-04、ep05-08+1巻巻末の描き下ろしとなっていて、「囀る」のようにコミックス1巻=ドラマCD1巻ではないので、これから買われる方はぜひCDを二つセットで入手することをお勧めする。


キャラクターの声について


 声の印象としては、千紘(江口拓也さん)は私のイメージとは少し違った。

 私の想像の中の千紘は、もう少し高い可愛い声だった。

 でも、私の個人的なイメージなど正直どうでもよくて、ちょっとバカで優しくて可愛い千紘を江口さんが軽妙に演じて下さっているのですぐに慣れた。
(そういう意味では百目鬼の声も当初私の想像とは違ったのだが、ドラマCDを聞いている間にそんなことはすっかり忘れてしまった)

 立花慎之介さんが演じる浩然は、私が思っていたよりずっとクールでエロくて、最高だった!

 あの声で「セックスしよう」って言われた時は、中学生のようにドキドキしてしまった。
(そして思わず、スピーカーに向かって「はいっ!」と答えた…)

 おげれつ先生がマヤ(吉野裕行さん)はイメージ通りとおっしゃっていただけあって、確かに合っていた。

 でも、私はそれ以上に加治(松田健一郎)さんが想像通りで驚いた。
 まさしく、私の考える加治の声と話し方そのものだった。
 
 駿一の声が斉藤壮馬さんなのは、かっこよすぎて勿体ないくらいだった。駿一は千紘を弄んだ男だから…。

ドラマCDが教えてくれたこと


ドラマCD ep.01-04

ep.01
 
千紘がケイト(浩然)とバーで出会ってホテルに行く場面。

 原作ではキスをした後、千紘は洋服の下のケイトの肌に触れ、「ザリ」とした感覚を不思議に思っているのに、まだ読み込みが甘かった私はそのことに気づいていなかった。

 ドラマCDで千紘がはっきり、「ケイトの肌、なんかザラっとしてる」と言ってくれて、ようやくこのコマの意味を理解した。
 おげれつ先生は1巻から、浩然の体の秘密について布石を打ってくださっていたのだ。

ep.03
 ドラマCDではコンビニでコンドームを買ってからセックスする際に、

千紘「なあ、ケイト、服…」
ケイト「俺は脱がないって」

 というセリフが挿入されている。

 この会話があることで、ケイトがなぜ脱がないのか、何か理由があるのではないかと考えるきっかけになる。

 ドラマCDを聞く前の私は、愚かにも2巻ep.07で浩然が裸になるまで、浩然の体の秘密に気づきもしなかったけれど…。

ep.04
 新宿東口で駿一を待つ千紘は、昨夜、浩然が「泣くなよ、ズルいだろ」と言って自分を抱き絞めたことを思い出す。

 ここで千紘の足元(おげれつ先生はいつもブランドや品名がわかるくらい細かく靴を描かれる。千紘はずっとアディダスのオールターを履いている)で「ジャリ…」と音が立つのだが、私はドラマCDで千紘が、「やっぱり」と言うのを聞くまで、千紘がこの場面で駿一と会うことを躊躇い、思い直して帰ろうとしていたことに気づいていなかった。

私の解釈とのズレ


ドラマCD ep.05-08+1巻巻末描き下ろし

ep.07
 二人の新居を訪れた加治が、原作にある「ベッドの主張強すぎ」のセリフの後に、
「ダブル? 部屋のほとんどがベッドで埋まってんじゃん」
と言うのだが、私は男性二人がゆったりのびのびとセックスをするにはワイドダブル以上(ワイドダブル、クイーン、キング)が必要だと思っている。
 千紘と浩然にも、マヤとのことが解決して生活が落ち着いたら、ぜひキングサイズを買ってほしい。


 浩然は「好きです。付き合いましょう。これで満足?」と言って、驚くほど率直な交際宣言をした後、家に帰ってセックスする時に、初めて千紘と読者の前に裸の体を晒す。

 傷だらけの浩然を見て、千紘は一瞬驚いたような顔を見せるのだが、原作では何も言わず、次のコマでは微笑んでそっと浩然の胸に触れ、「あったか……」と満足そうにつぶやく。

 私が大好きなこの場面、ドラマCDでは絵がないので、

すげぇ傷…。火傷? 切り傷? 肉が抉れてるところも…。背中まで続いてんのかな。

 という千紘によるやや説明的なモノローグが入る。

 普通は浩然の傷を見たらドラマCDの千紘のように思うのだろうが、果たして原作の千紘はどう感じていたのだろうか。

 私はこの場面で、千紘にはまるで浩然の傷がないものであるかのように見えているのだと思った。
 浩然に傷があってもなくても同じように接していることに感動した。

 答えはおげれつ先生の中にあるが、作品をどう理解し解釈するかは読者に委ねられている部分もあるので、いつかおげれつ先生がこの場面について教えて下さるまでは、自分の考えをそのままにしておこうと思う。

BLドラマCDは素晴らしい


 1巻の描き下ろし「favorite of……」がドラマCDに収録されて、とても嬉しかった。

 私はこのお話が大好きだ。

「好きでしょ、俺の顔」と自信たっぷりに聞く浩然の美しい顔と、その後で千紘にチューしてさっと離れる可愛いヒット&アウェイがたまらない。

 次回のドラマCDには、ep.10の名場面「俺がいなきゃ、生きていけなくなってくれ」や二人で過ごすクリスマスとお正月が収録されるはずなので、今から発売を楽しみにしている。

 ドラマCDを聞くことで、作品の世界を何倍も楽しめるようになって本当によかった。

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