嵐が止んだ日に〜転居と住居の選択
2019年10月14日、2019年が始まってから286日が経ちました。
この2019年、大きな変化とそれに伴ういろんなことがあり、一旦整理したく思いまして、久しぶりに筆を執りました。
●引っ越ししました
2019年9月、家族としては2回目、
僕本人としては実に生涯10回目の引っ越しを行いました。
今度の転居先は世田谷区です。(前日の10月13日時点では結構話題になっている世田谷区ですが…後述します)
今度の物件は
・スーパー・バス停徒歩2分
・駅・コンビニ・ドラッグストア徒歩3分
・某有名公園徒歩圏内
というびっくりするくらい恵まれた環境なのです!
とは言え、場所と物件が決まるまで要したのはおよそ1年ちょっと。
正直、ようやく決まったなと胸をなでおろしているところです。
●転居を決意した経緯
ここまで決まる経緯をお伝えしたいと思います。
それまで住んでいた目黒区の物件は大変狭く、足の踏み場もない状態で毎日を過ごしていました。
それもそのはず、わずか34㎡の1DKだったんですからね。。
元の物件は新築だったこともあり、あまり良く見極めずに決めたせいもあったのがそもそもの原因ですが・・・。
当初は子供が生まれる前だったこともあって、まぁなんとかなるかと思いましたが、その後が大変で(苦笑)。
長くなるので簡単に書くと
・子供は早く寝かせなくてはいけないため、1DKの1部屋は必然的に子供だけの部屋になる
・その1部屋はエアコン無しだったことが入居後発覚(驚)。そのため、DKにあるエアコンをフル稼働
・夜7時過ぎには部屋全体を真っ暗かつ静かにしなくてはならない
・子供だけの部屋に大人の道具は置けないためDKがぎゅうぎゅう
・子供はおもちゃなどを散らかすからさらに足の踏み場もなくなる
・DKにおいて大人は人一人が座るスペースがやっとだったので家に帰ってもくつろげない。
・夜は部屋全体を真っ暗にさせられるため仕事ができず、隣駅のファミレスや満喫に行かざるを得ない有様に→そのコストも掛かる・・・
…といったさんざんな状態でして。
家にいることに限界を感じていたため、夫婦で転居することに決めました。
(もっと他にもいろいろありますが、割愛します)
●転居する上で大切なこと
転居をする上で大切なのは
・賃貸にするか購入するか
・どの街に住むか
・物件の条件
の3つです。
一つずつ書いてまいります。
【賃貸にするか購入するか】
私たちは、「賃貸一択」です。
なぜ賃貸か、それは
「固定される生活をしない」
ことを基本信条とするからです。
固定される生活。
それは昭和の戦後〜平成では極めて当たり前でした。
大きくなったら、働いて、家を買って…って絵に書いたような生活。
僕の父親も、僕が10歳の時に福岡県内にある郊外のニュータウンに家を建てたのですから、その状況・背景とも理解できます。
ですが、時を経て30年。
平成も終わり、令和の時代に。
ニュータウンに注文住宅を購入した僕の実家周辺は、ご多分にもれず高齢化が進んでいます。
バスの本数も当時から減らされており、1時間に1本あるかないか(それでもマシな方)にまで減りました。家ばかりしかないニュータウンではちょっとした買い物も車が必須です。
(東京民になった僕は実家に帰省したときでも、歩いて1キロ先の店まで買い物に行きますけど、地方ではそうは行かない)
その実家は小高い丘の中腹にあります。
傾斜の大きい坂を登り、さらに駐車場から階段を使わないと家にたどり着けない構造。
今は両親とも70満たないので足腰も元気ですが、
あと10年経って80代になったらどうするのだろう…
階段登れるのだろうか?
階段登れなくなった両親はどうやって家に帰るのだろう。
高齢で免許を返納したら、日常生活はどうするのだろうか…。
そんな不安が頭をよぎります。
もし、これが固定される生活ではなかったら、
エレベーター付きマンションに移り住む方法だって取れるはず。
街や病院に近いところに住み変えることも選択できるはず。
なのに、固定される生活はそういった柔軟な対応ができない。
40代に突入した僕は、自分の40年後のことを考えると決して他人事ではありません。
あとは、子供のこと。
たとえば、子供が小学校に進学し、そこで深刻ないじめなどがあったとします。
もちろん、いじめは解決されるべき事案ですが、中には事なかれ主義のような学校であった場合、その学校に通い続けるのはリスクでしかありません。
都内なので、学校を変えるとかフリースクールにするという選択も可能です。ですが、賃貸であれば、隣の学校が良ければその学校の地域に転居するという方法だって取れるんです。
おそらく、数年後には学校制度も変わったり、高校で「N高校」「ゼロ高」がでてきたように中学以下でもこういった学校が現れてくるかと思います。
しかし制度が変わらなかった場合も考えなくてはいけないと思います。
制度に甘んじるのではなく、僕たち家族が柔軟に変えていくしか無いということかなと。
他人・他者はなかなか変えられないのですから、自分が変わるのがいちばんいいのです。
このように、固定されると
・生活様式も固定されて時代の変化についていけない
・考え方まで固定されてしまい柔軟性が乏しくなりかねない
・生活リスクも固定されるためリスクがある地域であっても動けない
といったリスクがあるため僕は固定されない生活を選びます。
そのための賃貸です。
もちろん、
・賃貸のほうが生涯支払う家賃が高いに決まっているじゃん?
・購入したほうが安定でいい
・購入も湾岸のタワマンにすればなぁ(うんぬん)…
というご意見があります。いずれも理解しています。
僕らはそういった意見を否定しません。
しかし、それ以上に「固定される生活」というのは、僕たち家族にとってもっとリスクがあると感じているから僕は賃貸を選択しています。
固定される生活とは、物を持つことに固執した考えだと思います。
物を持つことに固執することは、考え方の固定をも生んでしまう…
社会人20年目となった僕は、周囲を見ながらうすうすと感じているこの頃です。
それを言えば、ホテル暮らしをされている堀江貴文さんは固定されない生活の極致だと思います。
堀江さんは思考が大変柔軟で、物を持つことにこだわらない、非常に先鋭的な生活をされているなと感じる次第。
いわゆる(日常的に)固定されない生活をされていても、毎日生活に不自由なく生きて、楽しいことだけを突き詰めて生きる姿には非常に憧れますね。
ただ、僕には妻と子供がいることもあり、実家暮らしが長かった奥さんはどちらかというと安定志向にあるため、堀江さんと全く同じ生活を行うのは少々難しいのも実情。
実情は鑑みつつ、夫婦で折り合いを何度も着けながら、賃貸ですぐにでも動けるようにしています。
【どの街に住むか】
さて、居住する街の選定です。
これは2018年の7月くらいからはじめまして、候補がいろいろ挙がりました。
練馬、目黒、品川、町田・相模原、川崎、横浜・・・
いろいろ候補を挙げました。
と言っても僕だけ。奥さんは挙げない。
僕だけが提案するだけであまりにも他人事にするため、「あなたも提案してよ!」と私は奥さんをしかったこともあります。
奥さんが条件を出したのは
「私の実家(横浜市某区)からドアtoドアで1時間以内であること、これは絶対に譲れないわ」
という(割と厳しめな)条件を提示されたので、再考することに。
ということで練馬・町田・相模原が除外。
特に練馬は以前に6〜7年も住んでいたこともあり、もう一度住みたいとは思っていたのですが、却下に。
再度、夫婦間で居住地域をすり合わせし直すことになりました。
ちなみに奥さんは、一時期、大田区をプッシュしていた時期があり、東急多摩川線沿線あたりはどう?って進めたこともありました。
しかし、僕は断固拒否。理由は後述します。
9ヶ月ほどの話し合いの末、世田谷区東急大井町線沿線に決めました。
・この沿線であれば、奥さんの実家にドアtoドアで1時間以内でいける
・地盤が安定している・交通の便が良い
・子供がなぜか大井町線好き(笑)
が理由です。
僕も二子玉川あたりに買い物に行く時によく通っていたこともあり、
また沿線自体落ち着いた場所ということもあって、この沿線で物件を探すことに決めました。
【具体的な地域を決める】
では
・沿線でも具体的にどこの地区・区域に住むか
についてです。
僕が最重要視したことは
・災害リスクが低い地域である
ことでした。
大井町線沿線の世田谷区(いわゆる玉川地域)には、さまざまな地域があります。
特徴的としては
・大井町線が走っている
・並行するように環八通りが走っている
・沿線は全て優等列車が通過
・多摩川が近くに流れていること
・多摩川の支流が2〜3本ある
・国分寺崖線から東は小高い丘になっている
という地理的条件があります。
地域を決める上で絶対条件にしたのが
・川の直ぐそばの物件は絶対に選ばない
・川から離れていても「氾濫平野・後背湿地・旧河道・崖部」となるところには住まない
・海の直ぐ側は、津波・高潮のリスクがあるため選ばない
3つ目の津波・高潮のリスクは東日本大震災で経験済みですし、世田谷区は海がないので説明は割愛するとしまして。
「川から離れていても『氾濫平野・後背湿地・旧河道・崖部』となるところには住まない」ことについて。
記憶にも新しい台風19号の被害は本当に凄惨たるものでした。
(被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます)
ですが、今回の件は、被害に遭われた方には大変申し訳無いのですが、僕らには、ある程度予測できていたものでした。
ただ、さすがに転居後1ヶ月でそれがやって来ることは予測していませんでしたが…。
先日の台風19号では多摩川や支流が氾濫し、世田谷区の一部が冠水する被害にあいました。隣の川崎市も被害が甚大でしたね。
今回冠水してしまった地域を調べたところ、いずれも氾濫平野・旧河道であることがわかりました。
広範囲で浸水し、ゴムボートで救助活動まで出た世田谷区玉堤2丁目の多くは「旧河道」
水没してしまった東京都市大学世田谷キャンパスは「氾濫平野」。
水没の様子のまとめ→https://matome.naver.jp/odai/2157093510822452301
二子玉川駅周辺は言わずもがなで。しかも、野川との合流点。
(川の合流点はもっとも河川の氾濫に遭いやすいことは2018年7月に岡山県倉敷市真備町で甚大な被害をもたらした西日本豪雨でも証明されています)
ちなみに浸水被害で死者を出したお隣・川崎市高津区溝口6丁目も氾濫平野と旧河道が広範囲を占めています。
旧河道は文字通り、昔の川だったところの通り道。
氾濫平野とは洪水で運ばれた砂や泥が運ばれて堆積したところです。
どちらも河川からの標高差が低く、水はけも悪いため大雨時に水が溜まりやすい性質をもっています。
堤防がなければもともと川だったところですから、豪雨の際はこうなってしまうこともあり得るのです。
この地理的条件から、僕は氾濫平野や旧河道にあたるこれらの地域を選択肢から外しました。
大田区もこの氾濫平野・旧河道となるところが多いので、僕にとってはNGとしました。(もちろん大森など一部は高台はあるのは理解しているのですが)
僕らは地理院地図(https://maps.gsi.go.jp/)をじっくり見て、物件の位置を鑑みながら、居住地域を設定しました。
そのおかげもあって、今回の台風の被害を免れることができました。
【物件の条件】
最後に物件の条件です。
これまで住んでいたところは、1DK、34㎡の極狭物件だったことから
2〜3部屋確保できることを優先にしました。
・子供が寝ていても別の部屋で夫婦が作業できること
・夜でも部屋全体を真っ暗にする必要性はないこと
を条件にしました。
「子供がいても1LDKで十分」
なんて言っている不動産のコンサルみたいな人がいますが、
僕はこれについて「NO」といいます。
子供は早く寝ます。または寝かしつける事が必要です。
平均でも夜7時、遅くとも夜8時までに。
先述したように、子供が就寝した部屋では何もできませんので
1DK1LDKの場合、夜の1部屋は強制的に子供の就寝部屋になります。
そうすると、DKまたはLDKでしか、夫婦が過ごせないのです。
まぁ、夜に仕事しないとか、早寝主義とか
テレビとかは見ないとかであれば問題ないかもしれませんが、
子供が寝ている1部屋にエアコンが無い場合は最悪です。
DKにあるエアコンを開放するためにドアを開けなくてはいけなくなるため
DKですら真っ暗にしなくてはならないのです。
さらに夜はテレビは愚か、パソコンも見れません(光が明るすぎる)
皿洗いなどもできません(音で子供が起きるから)
子供が寝る部屋はエアコンがあるか、2部屋以上あることを条件にしないと、自分が行いたいライフスタイルが全くできなくなります。
「子供がいても1DKで十分」
と言っている不動産コンサルの人は、本当に自分自身で子育てを現場で行ってきたのか、それこそおむつを変えたり、風呂入れしたり、寝かしつけまでしてきた経験があってもそんな事を言っているのか、甚だ疑問です。
たしかに子供が小さいときは、いわゆる専用の子供部屋を用意する必要はないと思います。
しかし、就寝用の部屋(就寝自体は親と一緒ですが)を用意しないと生活もままならないということを痛感しました。
といった前物件における不便さで痛い目にあってきたことから
・2〜3部屋(就寝部屋+団らんの部屋+作業部屋)
の物件を探し、なんと3DKの物件を、駅チカで見つけました。
他も候補で探していたところ、当物件が家賃月額5000円値下げに入ったため
迷わず決めました。
物件自体は築40年を超える古い物件でしたが、
一部の梁と的枠だけが古い以外はリフォームが僕らとしては合格点であったのです。
また、耐震基準も合格であることも安心材料に。
立地・場所的には、浅い窪地に当たるところではありましたが、物件よりちょっと離れた先の下に小さい川があることから、水害リスクはないだろうと踏みました。
この読みどおり、今回の台風の被害もなく無事に過ごせました。
浸水したエリアに比べて家賃は月額で平均1〜2万円高いものの、今回の件で、家賃よりも命を守ることが大事だと改めて実感したのです。
●長くなりましたが、結論として…
ずらずらと長く書きました。
結論としてですが…
住宅を選ぶ際には
・物件を決めるときにはなぜ「賃貸・購入」なのか
・ライフスタイルをどうやっていくかで決める
・地理の知識
この3つは欠かせないと実感しました。
特筆したいのは地理の知識。
今後、防災教育において、地理の知識は必要不可欠だと感じています。
2020年から高校でも地理が必修になるのは、すばらしいこと。
ですが、小学校〜中学の地理の知識でも十分かとも思います。
特に水害リスクは地理の知識を持って、状況背景を鑑みたら、その地域は本当に安全なのか、想定を超える事が発生した場合、どうなるのかが予測できるのではないかと思います。
特に住む場所は感情でエイヤって決めるケースが多いので、エイヤする前に、冷静に判断してほしいと思います。
「先祖代々住むべきところはここしか無い」
と言って、水害リスクやがけ崩れのリスクあるところにいつまでしがみつつくのでしょう。
「水辺に望む…なんて素敵なところだね」
と言って、海や川のすぐそばに住んで今回のような台風が来たら…
こうなる前に。
参考になってもらえたら幸いです。