なぜ僕が広い工場を持てたのか?〜オリジナル防音室製作への道〜
どうもこんにちは。(株)東京サウンドボックスの佐藤です。
2025年1月現在、僕は長年の念願だった、オリジナル防音室の開発、製造、販売に向けて日々工場で木屑にまみれています。
この工場、全体で1000平米近くある、なかなか立派な工場なんですが、実は個人で所有している工場なんです。
防音室を作るために大型の機械を何台も入れていますし、資材置き場、作業スペース、積み込みスペースの他に、他社様の中古防音室在庫も置いています。
こんな立派な工場をどうやって手に入れたのか?今回はその経緯をお話ししていこうと思います。
1、熱海での下積み
2021年頃、僕は熱海にいました。
80平米くらいの作業場(元花屋やバイク屋さんの倉庫として使われていた)付きの一軒家を430万円で購入し、半年かけてフルリノベーション、快適な一人暮らしをしていたのです。
防音室の仕事は月に10日程度で、仕事がない日は作業場で防音室を修理したり、カスタムしたりしていました。
いろんな防音室に触れ、その構造を研究、理解していく中で、
”いつか自分で作った防音室を世に出したいな”
と思うようになりました。防音室のサービスマンとしてお客様からのご依頼をこなし、感謝いただけて、生活もできて十分幸せだったんですが、他社様の防音室を移設したり、買ったり売ったりと動かしているだけで、あまり本質的な価値を提供していないな、と感じていました。このままやっていても何も残らないな、と虚しくなりつつも、目の前の仕事をこなすことくらいしか出来ていなかったんです。
2、ふとした転機
ある日、突然転機が訪れました。
たまたま見ていたYoutubeの不動産投資系のチャンネルで、”競売”について特集されていたのです。”訳あり”の物件を安く買って、直して売って儲けている人がいたのです。
そこでふと、紹介されていた競売のサイトを開いて、熱海近郊はどんな物件があるんだろ?と興味本位で見てみました。
そこで、今所有する工場+一軒家の物件が出ていたのです。熱海の自宅から車で15分ほどの住所でした。
”かなり広そう、しかも安い!競売だから競り上がる可能性もあるけど、こんな田舎だし、安く買えるんじゃないか、、、”と考えました。
競売物件は住所が記載されていて、仲介業者が入ったりしないので、中は見られませんが、外観は勝手に見に行きます。次の日に早速見に行きました。
3、衝撃的な競売物件
そこには衝撃的な光景が広がっていました。
元々自動車の金属部品の加工をしていた工場で、油まみれの床、何千トンもの廃オイル、金属ゴミ、巨大な機械、その他ありとあらゆるモノが乱雑に放置され、ゲートは壊れ、シートは破れ、ツバメが巣を作っているし、油臭いし、暗いし、、、
それでも僕の心はウキウキして止まらなかったです。なんといっても広い!!ここだったら何台でも中古防音室を置けるし、将来オリジナル防音室製作の工場にすることもできる。そのくらいの圧倒的な広さ。
片付けにどれほどの手間とお金、時間がかかるかはあまり深く考えずに、競売で競り落とすために準備を始めました。
4、競売でまさかの事態に
書類を準備したり、裁判所に手続きに行ったり、細かい経緯は省略しますが、結果から言うと、入札した金額で競り落とすことができました。
後で分かったことなんですが、この物件、なんと入札したのが僕だけでした。
どうしても買いたかったので、当時のほぼ全財産と、親からも少しお金を借りて、自分が出せる限界と、地価や需要をなんとなくリサーチして、
”これならいける!”
という金額で入札したんですが、最低入札額でも買えたんです。
一瞬で数百万円損した気分になり、その日は流石に落ち込みましたが、無事買えたので今は良かったと思っています。
5、めでたしめでたし
こうした経緯で、無事巨大な工場を取得することができました。
オリジナル防音室を作るには大きな機械も入れないといけないし、賃貸で借りるとなると、常に工場を回さないと、と言うプレッシャーを感じながら、精神的にかなり追われてしまいます。
自社の物件であれば固定費は最低限だし、自分のペースでゆっくり始める、というのが自分の身の丈にあっていました。
取得から3〜4年経った今でもまだまだ発展途上の向上ですが、これからどんな風にブラッシュアップしていくか、ワクワクしながら日々工場にこもっています。もっと綺麗にして、お客さんに遊びにきてもらえるような場所にしたいと思っています。