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虎ノ門で、カレーうどん。 | 東京ソロ活男子 vol.8

大人になったら、自由に何でもできる。子どもの頃、そんな未来を夢見ていた。今、その「自由」を噛みしめながら、僕は虎ノ門の街を歩いている。
東京の中のさらに東京――そんな表現がぴったりのこの場所。雑多な新橋の喧騒から一歩抜け出すと、目の前には洗練された空間が広がっていた。虎ノ門ヒルズをはじめとした高層ビル群が、まるで「ようこそ、都会へ」と言っているかのようだ。これが大人の街なのか。今日はその階段を一歩、上がってみよう。

目的地は「あんぶく 虎ノ門ヒルズ店」。ずっと行きたかった場所だ。きっかけは昔観たテレビ番組『嵐にしやがれ』。あの日特集されていたこの店が、胸の奥にずっと引っかかっていた。
時間はお昼時。虎ノ門ヒルズの煌びやかなショップを通り抜け、エスカレーターで4階へ駆け上がる。目印は店の入り口にあるカウンター。ここだ。
店内はこじんまりとしていて、まるで隠れ家のようだ。ガラス越しに広がるビル群と対照的な、静かな空間に足を踏み入れる。華美な派手さはないが、むしろ今の自分にはこのサイズ感がちょうどいい。

席に案内され、渡されたメニューを開くと驚きが待っていた。卵とじ、あんかけ、カルボナーラ、さらにはバジル仕立てまで。うどん一つで、これほどまでに多彩な選択肢があるのか。

「いけないいけない、誘惑に負けるところだった」。
そうだ、僕は昔からずっと心に決めていたものがある。今日はカレーうどん一択。紙エプロンももちろんセットだ。

注文から数分後、ついにその瞬間が訪れる。目の前に現れたカレーうどん。ふわりと漂うスパイスの香りに、心が一気に弾む。
まずはスープを一口。いわゆる野菜がごろごろ入ったカレーのイメージをしていたが、それは少し違った。口の中に広がるのは、デミグラスのような深みと、どこか品のあるコク。
「これが、虎ノ門のカレーうどんか」と心の中で呟く。

うどんを絡めてもう一口。これもまた面白い。カレーうどんでありながら、どこかスープパスタのような感覚。日本のうどんと洋風のスープが見事に融合している。
時折、ネギの風味がアクセントを加え、味が単調になることを防いでくれる。箸は止まらない。一口、また一口と、夢中で口に運ぶ。

夢中になりすぎて、カレーの一滴が飛んでしまった。でも、これもまた一興だ。こうして料理に没頭できる時間があるというのは、贅沢なことだと思う。
気づけば器の底が見えていた。名残惜しいが、満足感がじんわりと広がっている。都会的な虎ノ門で、どこか懐かしさを感じるカレーうどん。このアンバランスさが、なんだか心地いい。

時計を見ると、まだ午後は始まったばかりだ。食欲を満たした今、次は街への好奇心が湧いてきた。虎ノ門という街、もっと知りたくなった。
今日は、自由に歩こう。大人になった僕の、自由な冒険がまだまだ続く。

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【今回の体験ができる場所】


ヒント :入口近くのバーカウンター
営業時間:ランチ 11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
     ディナー 17:00~23:00(土日祝は~22:00/ラストオーダーは終了1時間前)
席数  :約30~40席
価格帯 :¥1,000~¥2,000
滞在時間:1時間を推奨

※店舗情報はHPとGoogleマップを参照


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