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【サークル活動報告】美術鑑賞サークル:第21回SOMPO美術館「カナレット展」(11/4)|社会人勉強コミュニティ

皆様、こんにちは!

美術鑑賞サークルのちーです。

11/4(月)にサークル21回目の活動として、 新宿のSOMPO美術館「カナレットとヴェネツィアの輝き」展を鑑賞に行きました!


1.サークルの概要

月に一回程度、皆で都内の美術館の企画展を見に行くサークルです。

西洋絵画の展覧会が多めですが、日本美術、現代アート、映画鑑賞、まち歩きなどの活動もたまに行っています。

鑑賞後は、気に入った作品を発表したり、希望者でカフェで歓談を行っています。

普段美術館にはあまり行かないという方も多くいらっしゃいますので、勉強の息抜きにお気軽にご参加ください。

またサークル登録がないコミュニティーメンバー以上の方のご参加もいつでも大歓迎です!

2.イベントの様子

カナレットは18世紀に生きたイタリア人画家で、とても精緻なヴェネツィアの風景画を描きました。

当時は若いイギリス貴族が教養のためにイタリア旅行に行く事が流行しており、そのお土産として人気を博したカナレットの絵画は、特に景観画(ヴェドゥータ)と呼ばれるようになりました。

美術史上に必ず登場する著名な画家なのですが、一人の画家の回顧展としては日本初になるそうです。

会場ではまずヴェネツィアの歴史と全体図が解説され、名産品としてのヴェネツィアングラスが飾られていました。

また、カナレットと同時代に生きたヴェネツィア派最後の巨匠、ティエポロのコロロ調の明るい色彩の神話画や、カプリッチ(イタリア語で気まぐれ)と題したエッチングの連作(線描画)が展示されていました。

ちなみに、虚構を織り交ぜ非現実の風景を描いたカプリッチョ(奇想画)という同時代のジャンルにカナレットも分類されます。

カナレットの描いた風景はよりよく見えるように、建物や川の流れの配置を変えており、実景そのままではありません。

今で言うと、加工ありの風景写真という事になりますね。

18世紀は各地の貴族が豊かになり、思想的には人間の理性に焦点を当てた啓蒙主義の時代ですから、理想を追い求める意識は自然なものだったのでしょう。

3.感想

今回の展示で一番気に入ったのが《カナル・グランデのレガッタ》(1730-39、ボウズ美術館)です。

ヴェネツィアの一番大きい運河でのボートレースを描いた光景です。

お揃いの服を見にまとった船の漕ぎ手、バルコニーからそれを眺める人々が大勢描かれ、如何にも楽しげな雰囲気が伝わってきます。

小さすぎて表情までは描かれていないのに、一人一人の生き生きとした動きが見ていてとても面白いです。

これだけ大勢の人間をさらりとしたタッチで描き切るカナレットの画力には脱帽です。

カナレットは素描(単色を基本としたデッサン)作品も当時から人気があったと説明がありましたが、建物の精緻さに加えて群集の線の細かさや軽さは、見ていてとても楽しいものでした。

「ウォーリーをさがせ!」を思い出します。

続いてレガッタとよく似てはいますが、ヴェネツィアの「昇天祭」のお祭りが描かれた2枚の作品が並べて展示されていました。

キリストが復活後、再び昇天した日を記念するお祭りですが、ヴェネツィアではこの日に「海との結婚」が行われるそうです。

ヴェネツィア総督が船ブチントーロに乗って、海に指輪を投げ入れ、ヴェネツィアに繁栄を持たらすアドリア海との結婚を宣言するお祭りだそうです。

何ともロマンティックですね!

一枚は1738-42年ごろに描かれた《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチントーロ》(レスター伯爵略)、二枚目は約20年後の1760年に作成された《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》(ダリッジ美術館)です。(写真撮影可能)

解説の下には子供向けにクイズがあったのですが、これがどの作品も難しいと参加した皆の意見が一致しました笑

どんな違いがあるでしょう?というものなのですが、答えが明示されておらず…

回答するなら他作品の解説にあったように、「後年の作品は人物が光の粒として大気に溶けるように描かれている」というところでしょうか!

どことなく建物にピントが当たって、手前の人物がボヤけているようにも感じます。

当時まだ写真はありませんが、カメラオブスキュラというカメラの原型が絵画を描くのにも使われていました。

美術史の本を読むと使い方とともにその原理が説明されています。

が、いまいちよく分からず…だったのですが、今回の会場ではなんと実物を体験できるようになっていました!

これは箱の中に直接顔を入れて覗き込める大きなものです。

覗き込むと、心持ち薄ぼんやりとしていながらも会場を歩く人の姿が映し出されていて感激しました!カラーですが、まるで古い映画を見ているようなレトロ感がありました。

カナレットもカメラオブスキュラを使って作品を作成していたため、それが作品に反映されて光の粒のような表現やレトロな色彩に繋がったのかもしれません。

会場を先に進むと、その後はオーストリア継承戦争(マリーアントワネットの母ハプスブルク家のマリア・テレジアの即位を巡っての戦争ですね)でヴェネツィアへの観光客が激減したため、顧客の多いイギリスに渡って描いた作品が展示されていました。

例えば《ロンドン、ラネラーのロトンダ内部》(1751、コンプトン・ヴァーニー)は当時のロンドンのイベント会場で演奏する人々、ファミリーで訪れる人の姿もあります。

当時の人々の余暇の過ごし方やファッションを見て楽しむ事ができます。

最後にはカナレット以後、ヴェネツィアがどう描かれていったか様々な画家の作品が展示されていました。

その中でも参加者で語り合った時に評判が良かったのがモネの作品です。

《パラッツォ・ダーリオ、ヴェネツィア》(1908、ウェールズ国立美術館)は、影のようなゴンドラが意味ありげな抽象絵画のようで印象に残りました。

最後に、立ち話ではありましたが参加者の皆さんと今回の感想や仕事の話ができて良かったです。

滅多にないカナレット展、興味のある方は年内まで開催されておりますので、是非足を運んでみてください。

4.今後の活動予定

今後の活動は下記を予定しています。

・12月 三菱一号館美術館 再開館記念「不在」 ―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル (予定)

そろそろ2025年の展覧会情報が出てきましたので、プランを立てるのが楽しみです!

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