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芥川龍之介オススメ作品3選

筆者が純文学を好きになったきっかけの一人は間違いないく芥川龍之介でした。両親の影響もあり、小学生の頃から小説には慣れ親しんでは来ましたが、やはりその頃は児童文学が中心。純文学にふれるようになったのは中学生で芥川龍之介作品にふれてからでした。中学生からすると、短編で読みやすいのもきっかけになっていたように思います。

芥川龍之介とは?

1892年東京に生まれ。1914年東京帝国大学(現在の東京大学)在学中に菊池寛らとともに同人誌『新思潮』を刊行しています。翌年に代表作『羅生門』を発表。1927年に35歳の若さで服毒自殺。実際の創作活動の期間は13年しかないのには驚きます。

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芥川龍之介の没後、菊池寛が1935年に芥川賞を創設。死後100年近くたつ今も、作品は広く読み継がれています。

作品は短編が多く、純文学を読み始めるきっかけになる場合も多いと思います。そんな芥川龍之介作品の中から筆者的オススメ作品紹介します。

・『地獄変』

筆者が芥川作品を推薦するとしたら、まずは『地獄変』を推したいと思います。『宇治拾遺物語』を参考に書かれた短編小説で芥川龍之介の「芸術至上主義」と絡めて話されることも多いですね。

平安時代の高名な絵仏師の良秀が主人公。良秀は天下一の腕前として有名な一方で、描かれると魂が抜かれる、描いた絵から恨み声が聞こえるなど、怪しいウワサもある人物でした。良秀は、有力者の堀川の大殿から「地獄を描いてくれ」と依頼をうけますが、「実際に見たものしか描けない」と悩みだし、、、

初めて読んだときの衝撃はなかなかすごいものがあります。芸術とは何かを考えるきっかけになります。

・『アグニの神』

タイトルの「アグニの神」とは、ヒンドゥー教の火の神「アグニ」のこと。芥川龍之介の純粋創作童話と言われています。

上海の占い師の老婆は、一人の少女にアグニの神を乗り移らせて声を聞いていた。遠藤という男は、その少女が連れ去られてきた日本領事の娘だと気付き、どうにか連れ戻そうとするが、、、

この作品の余韻の残る終わり方は秀逸。芥川作品の中でも読みやすさは抜群だと思うので、あまり芥川作品を読んだことのない方におすすめ。

・『羅生門』

『今昔物語集』を参考にかかれた芥川龍之介の代表作。『地獄変』もそうですが、芥川龍之介は古典作品を参考している場合も多いんです。

都が荒れ果てていた平安時代、羅生門の下で若い下人が、仕事を失い、いっそ盗賊になろうかと思いつめていた。どうしても「勇気」が出ない中、羅生門に人の気配を感じた彼は、羅生門の上へ昇ってみると、、、

『羅生門』で芥川龍之介が描いたエゴイズムの問題は、舞台となった平安時代も、芥川龍之介が生きた時代も、約100年たった現代でも変わらないテーマなんだと思います。

最後に

芥川龍之介の作品は短編で読みやすいけれども、考えさせられる作品ばかり。読み終わった後の独特の読後感は、芥川龍之介でしか感じられない様に思います。きっと後100年たっても200年たっても愛され続ける作品なんではないでしょうか。

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