【エッセイ】落ちない腰回りの脂肪から-人間の身体って機能的-
筆者は減量中真っ盛りである。減量中とは言っても自分のベスト体重から3kgほど少し増えたのを落とすだけ。さして大袈裟なコトはせずに、主食を豆腐に置き換えるくらいの軽い糖質制限をして、2ヶ月スパンで落としていこうと思う。3週間経過時点で、目標-3kgのトコを-1.8kgまできた。あと1.2kg、けっこーいい感じのペースである。
残ってくるのは腰回りの贅肉
はてさて、、ある程度まで贅肉を削いでくると残ってくるのは、腰回りの脂肪である。ここがなかなかどうして落ちにくいのだ。けっこー頑張ってもこびり付いて取れない。
最後まで粘りを見せる脂肪を触りつつ考えたのは「なぜココが毎回最後に残るのだろう」と言うコト。他の場所の脂肪だっていいはずなのに必ず腰回りが最後まで残るのだ。これって筆者だけでなくけっこーみんな一緒ではないかと思う。たぶん、これって人間の身体の仕組み上そうなるんだろう。
しばらく考えて思い至ったのが、筆者が勝手に提唱している「脂肪=予備燃料タンク論」である。人間=多機能ロボット、脂肪=予備燃料タンクって考えてみると、腰回り脂肪が最後まで落ちない理由もわかる気がするのだ。
人間を一つのロボットって考えたら、脂肪の役割って予備燃料タンクだと思うのだ。脂肪って何か動作や機能があるワケでもなく、いざと言う時のための燃料でしかないのだ。ただ、だからと言って予備燃料タンクをなくすワケにもいかないって言うのが悩み所。
脂肪=予備燃料タンクと考えると、余計な予備燃料タンクをどこに付属させるのが人間というロボットにとって機能的なのかを考えてみた結果、筆者的には「背中側の腰のやや上」と言う今まさに触れている脂肪の位置がいちばん収まりが良さそうだと思ったのだ。
今回はそんな脂肪の残る位置から、人間の身体って良く出来ているなって感じたってコトをひたすらと語ってみるお話です。
脂肪=予備燃料タンクの必要性
人間ってよく出来たロボットだ。思考能力は相当に高くて、こんなに自律思考するAIは未だに開発されていないし、身体能力にしてもこんなに器用に色んな動きをこなせるロボットも存在しないだろう。
「重いものを持ち上げる」とか「早く移動する」とか「チェスのことだけ考える」とか、一機能に特化したロボットは人間以上の能力を発揮しているのもいるが、総合値で見たら人間ってそうとうに機能的なロボットだと思うのだ。
人間のエネルギー源は食べ物で、電気で動くロボットには蓄電池を積む必要がある様に、車にはガソリンが必要である様に、人間は食べ物からエネルギーを摂取して動いてる。
人間と機械とで機械が優れている点は、エネルギーが完全に切れた時に、機械はエネルギーが切れている間だけ機能が停止するのに比べて、人間は一度機能が停止したらその後にエネルギー補給しても復活しないコト。
ロボットは動きが止まっても充電すればいいし、車はガソリン切れて止まっても再度補給したら動き出す。しかし、人間が一回死んでしまったら口から食べ物入れても復活はしないのだ。だから、いざと言う時の予備燃料タンクとして脂肪が必要になるワケだ。食べるものが手に入らない状況でも、脂肪を燃やせば多少の間は動ける。緊急事態用の予備電源みたいな存在なのだ。
そう考えると、いざと言う時のために予備燃料タンク=脂肪を0にはしたくないと言う身体の機能はよくわかる。
脂肪が多過ぎると動きにくい=動作機能の能力値が下がるので、太り過ぎも良くないが、脂肪がゼロ=予備燃料タンクがゼロも、ロボットとしては不安定過ぎる。
体脂肪率が一定値までいくと落ちにくくなる経験って、ダイエット経験者ならあると思うのだが、これって「これ以上は予備燃料タンクを軽量化すると、いざと言う時に不安が残る」っと言う人間のロボットとして設計の限界線なんだと思う。
予備燃料タンクをどこに備え付けるか
次にロボットの設計者なら考えるのが、その予備燃料タンク=脂肪をどこに備え付けるかって問題である。これって機械の設計上めちゃくちゃ重要なポイントだと思う。予備燃料タンク=脂肪って、「通常時は邪魔でしかない存在だがなくすわけにもいかなくて、体積も重量もそれなりにあるって存在」なワケで、これを通常時の機能が落ちない場所に備える必要があるワケだ。これって意外とやっかいな問題だと思う。
まず最初に足は候補から外れる。どう考えても、移動の際に動かす必要がある箇所に重い予備燃料タンクを積むのは不合理だ。タイヤに燃料タンクを積む自動車がないのと同じだと思う。足の動きを制限するのはどう考えても愚の骨頂。
同様の理由で手も候補から外れるだろう。人間をロボットとして見た時に多機能さや器用さ、利便性って手で担っている部分がめちゃくちゃ多いと思う。人間ロボットの拡張部品である「道具」にしても、ほとんどの場合は手で使用する場合が多いワケで、そこに予備燃料タンクをつけて動きを制限する必要はなかろう。
次に頭部も避けたい箇所ではある。究極の自立思考型AIである人間の脳みそと、その周辺は重要なパーツが集約されている。目・鼻・耳・口、、、人間をロボットとして考えれば外部センサーを集約しているロボットの中枢部分である。こんな重要ポイントに予備燃料タンクを備え付けておくコトとなかろう。また人間が二足歩行なのを考えると、機能もないただ重いだけのパーツを高いトコなら備えつけると、機械の動きそのものが不安定になる。車の屋根の上に重い荷物を括り付ければ、不安定な走り方になるのと同じコトだ。こう考えると頭部も予備燃料タンクを置いておきたくはない箇所である。
胴体部分でどこに備え付けるか
ここまで考えてくるともう、脂肪=予備燃料タンクは胴体部分の備え付けるしかないのではなかろうか。では、胴体の中でもどこに脂肪を備え付けるコトが機能的なのか。
胴体の内側は頭部同様に重要なパーツが揃い済みである。内蔵部分は脳みそと同様に、人間をロボットとして考えたときの生命線となるパーツが目白押しなのだ。内蔵部分は重要でありながら繊細でもあって、小石の大きさの結石ですら痛くなるような精密機械みたいなものである。こんな重要パーツが密集している部分を、余計なパーツでスペースを埋めたくはない。実際ダイエットしても体内脂肪から落ちていくのはそこら辺の事情を、身体がうまくデザインしてくれているからなのだろうと思う。なので、胴体のなかでも内臓脂肪よりも皮下脂肪に備えておくのがベストだろう。
胴体の外側の皮下脂肪の部分限定で考えると、まず避けたいのが股関節・腕周り・首周りあたりである。人間の身体は動くのが前提になるので、可動域周りに余計なタンクを置きたくない。時々おなかに脂肪がつき過ぎて腹筋できない人がいるが、せっかくある可動部分を動かなくするのは、ガンプラの接続部に接着剤を流し込むようなもので、これ以上ないくらいのアホの所業である。よく動く関節まわりは少しでも可動域を制限されたくはない。
こうなってくると、あとは背中側につけるか、お腹側につけるか位しか選択肢がないのだが、これは機動力確保の観点からみれば、背中側の方が良い選択肢だろう。荷物をお腹に抱えて走るのと、背中に背負うのとどっちが走りやすいか考えれば、そりゃまあ背中である。普通に荷物を持つ際も、おなかに抱えず背中に荷物を背負いがちっと言う観点から見ても、やはり予備燃料タンクは胴体背中側がベストな配置だと思うのだ。
あとは、肩甲骨の可動域を確保しつつ、多少の重さのある予備燃料タンクをつけても重心的に安定できる場所と考えるとやはり、腰回りが一番いいのではないかと言うコトに落ち着くのだ。
関節の可動域の邪魔もせず、重心的にも安定し、運動機能も阻害しない、腰回りの贅肉ってこんなにうまくデザインされた予備燃料タンクってすごくないだろうか。もはや腰回りの脂肪にグッドデザイン賞を与えたいくらいだ。
人間の身体ってよくデザインされている
こう考えると人間の身体って本当によくできているし、デザインされているなっと思う。脂肪がつく場所一つとっても、どれだけ無駄のない場所にデザインされているコトか。何気なくおこっている身体の現象も突き詰めて考えると、効率的なデザインになっていることが多い。
体毛だって大切なパーツの部分の周りに重点的に生えるようになっていて、大切なパーツを守る役割をまっとうしているし、目や耳がある顔が身体の上にあるのも、遠くまで視覚や聴覚を働かせるためにあるのであって、お城の高い部分に見張り番がいたって仕組みを人体レベルで再現している。
人間が進化の過程でだんだん身体を機能的にデザインしてきた結果と考えると、人体ってほんとにすごいなっと思う。現代の科学をもってしても、人間に匹敵するだけのロボットが発明できていないのだ。人間の総合的スペックってとんでもない位すごく高い。
イルカのデザインもすごい
ここで少し話は変わるがイルカの話をしたい。イルカは仲間同士が声をだしてコミュニケーションをとる事で有名だ。けっこう細かいコミュニケーションをしているようで、お互いに固有の名前を呼び合っていたりするって研究成果もある。人間以外で個体の名前を呼び合う動物は、現在イルカ以外は確認されていないらしい。人間の子供ほどの知能があると言われたりするのも納得である。
筆者的に注目したいのが、イルカ同士がコミュニケーションをとる際の声の発する場所である。イルカが声を発するのは、口ではなく、おでこ辺りにある呼吸孔なのだ。筆者的にはこれって人間のできない進化をしていると感じていて、これまた優れたデザインだと思っている。
ちなみに当たり前なんだが、イルカも人間と同様に食事は口からする。イルカショーとかで魚を食べている様子を見たことがある人も多いのだろうと思う。
食事する部位と声を発する部位が違う
これってつまり声を発する部位と、食事を摂取する場所が違うと言うコト。筆者は、人間も他の動物もこのデザインは採用すべきだったんじゃないかと思っている。人間も野生生物も、食事を摂取しながら同時にコミュニケーションをとる必要性にかられる時って多いんじゃないかと思うのだ。
人間でいえば、食事取りながらコミュニケーションをとる、しゃべる場面って毎日のように起きてる。会話の途中でモグモグなって話が聞き取りにくくなるとかよくあることだと思うし、よく子供の頃に「食べながら話さないの、はしたないでしょ」って叱られた経験って誰しもあるんではなかろうか。これってそもそも、声を発する部位と、食事を摂取する部位が同じだから起こる問題だろう。両方の機能が口に集約されているから問題なのだ。イルカみたいに声を発する部位を口と分ければよかったのである。
コミュニケーションの受信機である耳は口と分けたのに、なんで発信器は同じ口に設定したのか。神様って不合理だとこれについては考えてしまう。
ひとつ考えられるとしたら、イルカについては食事のタイミング=狩りのタイミングであるのに比べて、人間は食事のタイミングと狩りのタイミングが違うというコトだろう。狩りのタイミングってコミュニケーションに必要性が高まるタイミングではあるだろう、それは人間もイルカも同じ。ただイルカはその狩りの瞬間にそのまま捕食する必要があるから、捕食する口とコミュニケーションする部位を分ける必要があったのだろう。人間は狩りで得た獲物をその後に捕食する訳だから、狩りのタイミングでは口はコミュニケーションに集中するコトができる。イルカの立場を人間で考えると、チームでコミュニケーションをして獲物を追い詰めながら、同時にその獲物を食べなければならない訳だ。そう考えると、人間はイルカに比べると、声を発する部位と食事を摂取する部位をわける必要性が少ないのかも知れない。
最後に
ながながと書いてきたが、当たり前に「こういうものだ」として受け入れてきた人間の身体って、機能性を考えるとほんとに優れたデザインをしている。機能美とでも言おうか、こんなに完成されたものってない。
使いやすさの追求というか、生き残る為に必要な機能がこれでもかって位に詰め込まれているのだ。こんな便利で機能的なロボットを生まれながらにして与えられてるって、人間に生まれただけで生物の中では勝ち組だ。
そんなコトを腰回りの贅肉を揉みながら考えていた。