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アムステルダムサーキュラーエコノミー勉強会 -前編-

6月のコペンハーゲンのデザインイベント3daysofdesignが無事に終了し、代表の児玉と聖栄(波佐見の焼き物メーカー)の木下くんと一緒に、安居昭博さんが主催する「アムステルダムサーキュラーエコノミー勉強会」に参加してきました。波佐見焼をルーツに持つ東京西海がどうしてこの勉強会に参加したのかは、頭で考えるより実践していることを見る・人に会うが一番であるし、児玉の久しぶりの海外を充実した滞在にするためでしたが、それ以上に得られるものがありました。

以前の投稿にも書きましたが、オランダの首都であるアムステルダム市は"Amsterdam Circular Strategy 2020-2025"という戦略を立て、2050年までに完全な循環型都市を実現することを目標に掲げています。講師の安居さん、様々な業界で活躍される方達と一緒に、サーキュラーエコノミーを実践している場所や企業を3日間、みっちりコースで回ってきました。私は、去年の7月からオランダに赴任していますが、今まで知らなかったアムステルダムの景色をサーキュラーエコノミーの眼鏡をかけて(安居くんのいう好きな言葉)見ることができ、素敵な参加者の方々との交流も含め、楽しい学びの時間を得ることができました。

1. アムステルダムの北エリア
2. サーキュラーエコノミー建築(増築の仕方、フローティングハウス)
3. 教育(ユトレヒトの小学校訪問)
4. サーキュラーエコノミーを実践している企業「MUD JEANS」
5. プレゼンの時間
6. 懇親会(Instock/廃棄食品レストラン一夜復活)

1. アムステルダムの北エリア
アムステルダムの北エリアは今でも「治安が悪いエリア」という位置付けが市民の中ではあります。造船所が多く存在していた労働者の居住エリアで、この場所を未来に向けた実験的建築プロジェクトを進めるエリアとして再活用を進めています。人の流れを作るため、アムステルダムの中央駅からはフェリーは無料となっているそうです。こんなところを歩いて、見学してきました。気がつけば、1日の総歩数は15,000歩!

De Ceuvel サーキュラーエコノミーの実験エリア *オフィスやレストランがある
Schoonship  フローティングコミュニティハウス 
NDSM 欧州最大のアーティストレジデンス 

De Ceuvel内のオフィスで働く人。
造船所時代に汚染された地質を植生を良くすることで改善しようという試みがあるとのこと。
De Ceuvel内の水の循環を説明した図

2. サーキュラーエコノミー建築(増築の仕方、フローティングハウス)
造船所の跡地に増築する形で大きなアパートが建てられていました。
増築部分は木造になっており、どのパーツも解体可能な設計。サーキュラーエコノミー建築では全てが解体でき、解体したパーツもまた資源として再利用できるという。地震の多い日本の建築基準ではできないことも多いそうで、オランダならではのリノベーションや増築の方法もあるようです。Space & Matterという建築事務所の設計。De Ceuvel, Schoonshipも手がける。

また、フローティングコミュニティハウスのSchoonshipは、水上に浮かせることで海面上昇に対してもコミュニティ機能を崩壊させないことだという。また、ソーラーパネルを活用したオフグリット発電、飲料水以外は、濾過・循環されて水を循環使用しているとのこと。オランダにいる間、電気・水がエリア循環がされている家に住んでみたいです。探せば結構あるものだと最近になり気がつきました。

Space & Matterが設計した、造船所の躯体をを利用した上に木造建築のアパート
下は、Space & Matterの事務所
Schoonshipの水に浮かぶコミュニティ フロート基礎と上物で2億円くらいだそう!

3. 教育(ユトレヒトの小学校訪問)
講師の安居さんがユトレヒトの現地の小学校を案内してくれた。そこには日本人で体育教師をする安井さんがいました。日本人に日本語を教えている日本人は多く出会う中、現地の小学校で教師をしている人に初めて会いました。とても生き生きと働かれていました。
参加者の人たちとグループに分かれて、高学年の生徒が各クラスを案内してくれました。質問をしてみると、テストはオンラインで受けているとのことで、「先生にとっても採点が楽だし、いいと思う」という発言が衝撃でした。私が小学生の時、先生に対して「負担が減る方法」など、考えたことはありませんでした。
オランダの先生には「休み時間」が子どもと同じようにあります。スナックタイムや、ランチタイムは、その時間だけ子どものケアをする人が来たり、親が担当制で見に来たりする学校もあります。また、クラスの担任でも週休3日の先生もいて、オランダで主流のワークシェアリングがベースになっていることを垣間見られます。私の娘も「グループ〇〇の先生は小さな子どもがいるから、〇〇曜日は来ないよ。子どもがいると大変なんだよ。」とさらっと言っていたことがありました。生徒たちからも、先生が一人の人として、尊重されていると感じる発言でした。

また、安井さんの体育の授業を見学させてもらい、グループでショックを受けた安井さんの回答がありました。我々は、オランダには体操着がない理由は、個性や自由の尊重かと思っていたのですが、全く異なる理由でした。ありのままの生徒の生活状況を把握するためだそうです。ボロボロの服の子も中にはいたりする中で、先生が新しい服を与えることはできないが、こういう状況が把握できる場であることで、教師・学校が貧困の状況等を行政に伝える役目を担っているとのことでした。衝撃でした。

ユトレヒトの小学校の見学での集合写真
真ん中の右の男性が主催者の安居さん、左のナイキTを着ている方が体育教師の安井さん。

長くなりそうなので、前編後編で分けることにしました。
目次の4.5.6は後半へ続く→

引用:「サーキュラーエコノミー実践 オランダにさぐるビジネスモデル」安居昭博著

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