【NYY #29】2023年ヤンキース戦力構想:野手編〜超有望株Volpeの出発〜
Anthony Volpe、始動
先日、ヤンキースの超有望株Anthony Volpe選手の開幕ロスター入りが決まり、ヤンキース界隈のみならず、MLB界全体をざわつかせました。
直近のMLBプロスペクトランキングでは堂々の5位で、前ヤンキースキャプテン・殿堂入りショートのDerek Jeter選手二世との呼び声もあるVolpe選手への期待が(正直過剰と言ってもいいほど)絶大です。
その中で、シーズン前はAAA開幕が基本路線とされていたVolpe選手がシーズン開幕からロスター入りを果たすことは正直僕自身もかなりびっくりしています。
スプリングトレーニングにて51打席で打率.314・OPS1.064・3本塁打・5盗塁、に加え守備もピカイチ、と無双をしていた、とはいえ、、、
昨季AAAではたった22試合のみの出場となっており、更にこれだけの有望株であるだけにチームが+1年の保有期間確保※に踏み出ると思われていました。
それでも開幕ロスター入りを果たしたVolpe選手。それだけヤンキースとしての期待の大きさ、そしてヤンキースの(今季こそ)勝利へのこだわりの表れではないのでしょうか。
オフに野手陣のテコ入れを殆どしていなかったヤンキースにとっては新鮮すぎる風。
また、Jeter二世とも呼ばれる理由はヤンキースの未来のショートである、ということのみではなく、
・Jeter選手と同じNew Jersey(New Yorkの隣州)出身
・Jeter選手と同じく幼少期からヤンキースファン
・Jeter選手と同じく年離れの人格(Maturity)
という点も挙げられます。
特に最後の点については新キャプテンのJudge選手をはじめとし、エースCole選手等も口揃えて称賛をしており、Jeter選手やJudge選手同様のリーダーシップ面も評価が高いとされています。
個人的な所見ですが、実際にはインタビューでは謙虚さが目立ち、とても純粋な印象を受けます。
将来のキャプテン候補、と言ったら時期尚早ではあるものの、Judge選手もルーキーイヤーから同様のことを言われて実際今季よりキャプテンを務めているので、何が起きてもおかしくないです。
さて、どれだけの成績を期待できるでしょうか。
良い比較としては、同様に有望株としてヤンキースでメジャーデビューを果たしたGleyber Torres選手を挙げられるでしょう。
上記の素晴らしい成績で新人王3位入賞(その年の新人王は大谷翔平選手)を果たしたTorres選手ですが、Volpe選手はそれ以上の期待を持たれていることを踏まえると、以下を「期待」したいと思います:
(「予想」ではないですので、ヤンカスが〜の批判はやめてくださいね。優しい世界でお願いします)
・OPS:.800台前半
総合打撃力は当時のTorres並〜それ以上と期待される中、1年間通してOPS.800超はむしろ求めすぎかもしれないでしょう。
・HR:20本前後
Torresより若干パワーが少ないとされている点や、当時の打者有利なボールからより飛ばないボールへ変更された点も踏まえると、20本弱を打てたら申し分ないでしょう。
・盗塁:40盗塁
昨季マイナーで50盗塁を達成し、走塁が高く評価されている為出塁をすれば盗塁数を稼げることは期待できるでしょう。更に近年のヤンキースでは積極的に盗塁を仕掛けており、お世辞にも俊足と言えないRizzo選手でさえ6盗塁を決めている点を踏まえると、昨シーズンは誰も達成していない40盗塁も夢ではないのでは!
・WAR:4.5程度
一般的に5.0WARがオールスターレベルとされている中、初シーズンに3~4程度を繰り出せばどんな傲慢なヤンキースファンでも不満ではないでしょう。
実際、Fangraphs社の予測では131試合でOPS.724・3.5WARを見込んでいマスが、上記の通りの成績を残せればそれ以上の4.5~5.0WARレンジに突入
将来的には1桁後半台のWARを叩き出せるようなMVP級の選手に成長頂きたいですね。
開幕スタメン予想
さて、1選手だけでこれだけ長く書いてしまいましたが、本題に入りましょう。
2023年ヤンキースは以下のスタメンで出発するでしょう:
ポイントとしては
・CFはBader選手怪我離脱で再びキャプテンJudge選手へ。控えCFは今季よりUT起用が見込まれるIKF選手とCabrera選手、そして守備難ながら従前は本職だったHicks選手。
・Judge選手移動によるRFの穴は主にDHを務めてきたStanton選手を起用。今季より週2-3回は外野起用が見込まれ、開幕戦では早速試運転。
・LFはスーパーユーティリティCabrera選手を起用。控えはHicks選手やIKF選手。
・DHは最年長野手のDonaldson選手を起用し、3BはLeMahieu選手を起用。
・SSは前述のVolpe選手を起用。昨季のスタメンSSのIKF選手はスプリングトレーニングでもしばらくSSでの起用をされておらず、ロスター入りを果たしたVolpe選手が基本スタメンを務めると見込まれます。
開幕スタメンにVolpeの名前を書き込めるだけでもウキウキしますね。
各選手紹介
ここからは各選手を以下のようなテロップで紹介をしていきます:
各選手の今期予想、というよりは個人的な希望/いわゆる「合格ライン」なので、お含み置きくださいませ。
1番 3B DJ LeMahieu
現代野球では唯一両リーグで首位打者を獲得している、安打製造機のLeMahieu選手。
2019-2020年はMVP級の活躍で無双をしたものの、21-22年は怪我で本調子から程遠い成績を残してしまいました。
それでも好守備を主因として比較的高いWARを叩き出せるのもまた強み。(昨年は史上初のUT枠でゴールドグラブを受賞)
ヤンキースの世界一達成には1番でLeMahieu選手が機能しなければなりません。
今季は怪我から完全回復をしている様で、再度打率3割・OPS.800は超えて欲しいところです。
2番 CF Aaron Judge
昨季アメリカンリーグのシーズンHR記録を塗り替え、ドーピング無しの「True Home Run King」の王冠を手に入れたJudge選手。
オフにはフリーエージェントとなったものの、ヤンキースと9年3億6,000万ドルの超大型契約を締結し残留。今季からはヤンキースの第16代キャプテンとしてチームをワールドシリーズへ率いてくれます(はず)。
昨季は62HR 10.6WARというとんでもない数字を残し、今季は流石に同様の数字は残せないにしても、50HR超え、8WARは期待したいですね。
3番 1B Anthony Rizzo
Judge選手の影に隠れて今オフにFAとなったRizzo選手ですが、オフシーズン早急にヤンキースと2年契約を締結し残留。
その中でヤンキースでの最大の功績といえる(と言ったら失礼ですが)のはJudge慰留策として(ワンちゃん親友同士とのことらしい)互いの犬のツーショットを添えて「お前、わかってるよな?」的なことをひたすら送りつけたとのこと。
そう、ヤンキースファンが褒め称えるべきなのは実はRizzoなのです。
本題から逸れましたが、昨季のRizzoは2017年ぶりに30HRを超え、OPSは平均より31%上の.817を記録し、地味にJudgeの次に打撃で貢献を出来た選手でした。
一方、左打者向けの極端な守備シフトの影響もあり打率が低迷したものの、今季より導入されるシフト規制が追い風となる可能性が挙げられており、打率の回復による数字全体の底上げが期待できるでしょう。
この現れとしてBABIP(Batting Average of Balls in Play、インプレーになった打球を分母とした打率)が.216、と.300程度とされている平均より極端に低い数値となっており、「ヒットとなるべき打球がアウトになってしまった」打球が平均対比でかなり多くなってしまったということになります。
これがまさしく極端なシフトが成功した証拠である一方、シフト規制によるRizzo選手の伸び代の現れにもなります。
理論上はシフト規制により、昨季はシフトによりアウトになるような打球が今季はヒットとなり、BABIPが平均に収束をすることによって打率が上がる、ということになります。
打率をキャリア平均の.265程度に戻し、再び30HR超えを果たせればOPS.800台後半、WAR3-4程度を計上出来るのではないでしょうか。
4番 RF Giancarlo Stanton
今までは「出場をすれば打てる、でも怪我で出場できない」の代名詞の様な選手だったものの、昨季はシーズンの1/3を欠場した上で成績も圧倒的キャリアワーストを記録してしまったStanton選手。
110試合で31HR、そして平均打球速度はリーグ3位(1位はJudge選手)とパワーは健在だったものの、打率が涙の.211。
しかしRizzo選手同様、前述のBABIPを見るとStanton選手も.227、と平均対比極端に低い数値となっており、これが平均へ収束をすればある程度成績の回復も見込めます。
しかも、Stanton選手は前述の通り、平均打球速度がかなり高く、つまり守備が処理しにくい打球を多く打つのに拘らず打球を平均以上アウトにされてしまったといえます。
基本的には年間を通して全打者は似たようなレベルの守備を相手にしていると考えた場合、Stanton選手の様なタイプはむしろBABIPが高いはず(実際キャリア平均は.314)。
それに拘らずBABIPが低くなってしまっているということは、強い打球を野手の正面へ打ってしまったり、相手守備がより多くのファインプレーを決めてしまったり、とただ純粋に不運に見舞わられてしまったと推測できます。
多少の運の収束、そしてそれ以上に最大の懸念の故障がなければ、140試合程度で40HR、OPS.850台も夢ではないはずです。
5番 2B Gleyber Torres
KZillaのイチオシ選手である、かわいいかわいいGleyberちゃん。
デビューからの2年が凄すぎた(18-19年の267試合で62HR OPS .849)だけに、その後の2年が振るわなかった(20-21年のOPS.703に加え、コンバート先SSでの酷な守備)際にはファンからの批判が辛辣すぎた、正直可哀想な存在となってしまいました。
しかも昨季途中にはトレード候補として各チームへ打診をされ、一度成立したものの何かの理由で白紙にされたトレードにも含まれていたとの話もあったくらい、従前の「欠かせない存在」からは順位を落としてしまっています。
しかし昨年はOPS.761(リーグ平均+14%)と若干の復調を見せ、守備も本職の2Bに戻った影響もあり、WARベースではキャリアハイの4.1WARを叩き出しました。
これにより、昨季途中と比べて逆にトレード価値が上がってしまい、今季もVolpe・LeMahieu・Cabrera・IKF・Donaldson・Peraza選手らでブタ混みしている内野陣から放出をされ、怪我で壊れかけている投手陣補強の為のトレードに充てる可能性も高いとされています。
2Bで4WAR程度を見込める選手は想像以上に貴重だと思うので、絶対やめてほしいが、、、こればかりは何とも言えないですね。
いずれにせよ、今季も昨季同様の成績、欲を言えばOPS .800超えを記録してほしいところです。
6番 LF Oswaldo Cabrera
昨季デビューを果たした、エネルギッシュでカリスマ性の高いルーキーCabrera選手。
たった44試合でLF、RF、1B、2B、3B、SSを全て守り、守備のみで1.3WARも稼いだ貴重なスーパーユーティリティ・スイスアーミーナイフ。
その上、今季はCFも守る見込みがあり、キャッチャー・ピッチャー以外は全て出来る、文字通り「万能」の最終形態をアプローチしつつあります。
(しかも「来オフはキャッチャーの練習を少ししてみる」とまでも言っているらしく、いっそと投手もやらせて九刀流を目指してほしいところ。)
昨季のMarwin Gonzalez(現オリックス)が担っていたロールにスタメンとして就くことが期待されています。
しかも打撃も平均以上の成績を期待でき、攻守ともに貴重な選手。
44試合で6HR、と162試合換算では22HRをも期待できちゃいます。(162試合フルで出るとは思いませんが)
昨季同様のOPS.750程度を通期で叩き出せれば全く申し分ないでしょう。
7番 DH Josh Donaldson
昨季、IKF選手と共に最もヤンキースファンの批判を集めてしまった男。
昨季オフにトレード加入をした際にはキャリアOPSが.872であったのに拘らず、昨季は絶望的なOPS.682。
好守備が唯一の救いとなり、WARはまずまずの2.3を計測したものの、年俸2,500万ドルには到底見合わない成績となってしまい、反感を買う主因でした。
裏の打撃指標も基本的に全て悪化をしており、今季も復調は期待されていなかった中、オフに打撃フォームを見直し、スプリングトレーニングでは4HR OPS.996とかなり良い成績を残しています。
昨季の救世主Matt Carpenterのようなキャリア晩年でのルネサンスはあるのでしょうか?
最低でもOPS.800を超えないと再度ヤンキースファンに吊し上げられてしまうでしょう。
8番 C Jose Trevino
今や不動の正捕手となった、フレーミングの神様ことTrevino選手。
昨季はリーグ全体で最も守備が長けていた選手として、ヤンキース史上初のプラチナグラブを受賞しています。
昨年は開幕直前の土壇場トレードで控え捕手として獲得をされたことを誰もが忘れているでしょう。
(対価として放出したAlbert Abreu選手は紆余曲折をしてヤンキースへ凱旋を果たしているのも面白すぎる)
打撃は前半戦はかなり好調も、後半戦はかなり調子を落としてしまい、結果的に平均以下のOPS.671に落ち着いたものの、真価は守備から来ている為打撃は全く気にしないで良いでしょう。
今季もピタピタの
9番 SS Anthony Volpe
最高。流石にメジャーデビューは打順9番でしょうけど、追々は上位に入ってほしいですね。
ベンチ
・C Kyle Higashioka
昨季はスタメンマスクを担っていたものの、Trevino選手の活躍で再び控えに回ってしまったHigashioka選手。
しかし定評の守備は変わらず価値が高く、打撃面でも9/10月はOPS.900弱と覚醒の兆しも見せたので、ベンチ要因の中では最も期待されるべき存在でしょう。
・UT Isiah Kiner-Falefa
昨季の大部分はショートのスタメンを張ったものの、ルーティーンプレーでの凡ミスが目立ったことでファンの批判を買い、プレイオフ時にはルーキーのPeraza選手にスタメンを奪われてしまったIKF選手。
そのまま今季はショートではなくユーティリティロールでの起用が想定され、スプリングトレーニングでのスタメンショート争いには加えてすらもらえず、外野起用もされていたりしました。
一方でユーティリティロールは既にCabrera選手、LeMahieu選手らの上位互換がいるので、トレード放出の可能性も高いとされています。
ベンチに置いておくのは勿体無い一方で、スタメンに使うのには物足りない、宙ぶらりんな存在になってしまっているのが現状。
・OF Aaron Hicks
2018年のピークから落ちに落ちぶれてしまったベテランのHicks選手。
従前は走攻守を兼ね揃えた5 Tool Playerと言われていたものの、今や走も攻も守も全て出来ない、5 Toolのアンチテーゼになってしまいました。
何故か18年オフに7年7,000万ドルの長期契約を締結してしまい、契約が3年も残っている為トレード放出も戦力外も出来ない不良債権化をしてしまい、遂に価値がゼロに限りなく近い存在なってしまいました。
個人的には控え外野手としては十分すぎる、とのスタンスだったものの、昨季後半からは守備での怠慢や凡ミスが目立つようになり、控えとしても使えなくなった今やどうしようもありません。
本当にどうするんだろう。
・OF Estevan Florial
控え外野手は2人もいらないものの、前述のHicks選手があまりにも壊滅的な為にもう一人を抱えざるを得ない、ということでベンチ入りを果たしそうなFlorial選手。
しかし彼はメジャーでの実績がなく、攻守共にアップサイドが見込めない選手。マイナー降格はDFAなしでは出来ない為、少なくともCF本命のBader選手が復帰するまではチームにいるでしょう。
その他(マイナー選手、怪我離脱中選手)
・OF Harrison Bader
CFスタメンの予定だったものの、怪我により5月まで離脱が確定的となってしまったBader選手。
リーグ最高レベルの守備を武器に貢献が期待されるものの、昨季はプレイオフで5HRも放ち、打撃でも覚醒の兆しを見せ、ラッキーボーイとしてヤンキースファンの心を掴みました。
キャリアを通して打撃は平均以下であるため、過度な期待は禁物ですが、復帰後に高い価値が見出せる選手であることは間違えないでしょう。
Judge選手が今季も永遠とCFを守っているのは理想的ではないので、その面を含めても早急な復帰を期待しています。
・SS Oswald Peraza
昨季終盤及びプレイオフではショートでの神守備とルーキーには十分すぎる打撃でブレイクの兆しを見せたものの、今年のスプリングトレーニングでは絶不調に陥り、最終的にはスタメンショートの座をVolpe選手に奪われてしまったPeraza選手。
ベンチに置いておくには勿体無いとの意味合いでマイナー降格が確定し、しばらくはAAAで修行を重ねることになりそうです。
しかしVolpe選手同様の超有望株とされており、守備ではVolpe選手はおろかメジャートップレベルの素質があるとされており、近い将来にニューヨークの舞台でショートを守っている可能性は高いでしょう。(その場合はVolpe選手は2Bへ移る想定)
逆に有望株としての価値も高い点を勘案し、大型トレードでのメインピースとして放出される可能性も相応にありますが、それも他の選手の好不調、怪我離脱状況、等々動くパーツが多すぎるので現時点ではなんとも言えないでしょう。
・OF Rafael Ortega
・OF Willie Calhoun
マイナースタートが濃厚とされているものの、メジャー実績が相応にある2選手。いずれ怪我人のやHicksの屍との代替要因として昇格するでしょう。
・INF Andres Chaparro
・C Austin Wells
Peraza以外では最もメジャーデビューが近い有望株ではないでしょうか。
いずれも打撃が定評にあるものの、守備に不安ありというタイプ。
(Wellsはキャッチャー守備が昨季かなり上達したとされていますが)
まとめ
色々書きましたが、何でもいいのでヤンキースさん世界一を達成してください。お願いします。(切実)
あ、あと4月のヤンキースvsエンゼルス戦@ヤンキーススタジアム行ってきます。noteか記事かラジオかどこかでまとめさせて頂くので、乞うご期待。
Let's Go Yanks!
ツイッターもフォローしてネ: