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【NYY 番外#5】4/23/22 フィールドへのゴミ投げ入れ事件について

現地 4/23/2022のニューヨーク・ヤンキース(NYY)vs.クリーブランド・ガーディアンズ(CLE)戦で、一部観戦者がフィールドへゴミを投げ入れる事件がありました。
今回は事件の一連の流れの説明及び私個人の所見についてお話しできればと思います。

実際起きたこと

事の発端は9回の裏。
CLE 4-3 NYYの1点ビハインドで迎えたピッチャーはCLEのクローザーEmmanuel Clase。
先頭打者Josh Donaldsonが四球で出塁し、代走Tim Locastroが盗塁を決めたものの2アウト2塁まで迫られたNYYは打者Isiah Kiner-Falefaに命運を賭けます。

結果は以下の通り:

打球をレフトへ運び、フェンス直撃の同点二塁打。
それを追っていたCLEのLF Steven Kwanも帽子及びサングラスが取れるレベルの勢いでフェンスに直撃し、プレー終了後もよろける姿も見られます。
幸いにも大事には至らず、交代もせずに済みます。

問題はここから。
レフトスタンドにいた観戦者がKwanの怪我を喜ぶ野次を飛ばし始めます
それを聞いたCLEのRF Oscar MercadoとCF Myles Strawがレフトスタンドの観戦者と直接口論になり、Strawはレフトフェンスをよじ登るまでにヒートアップしてしまいます:

一旦は騒ぎも収まり、同点2アウト2塁で試合が再開され、代打にGleyber Torresが送られます。

結果:

Torresの決勝タイムリーでサヨナラ勝ちを決め、NYYの選手らがTorresのいる2塁付近に集まり祝福をし始めます。

しかしその一方、今度はライトスタンドの観戦者がMercadoを目掛けてゴミ(主にビール缶)を投げつけ始めます
これを見たNYYの選手陣も外野へ向かい、観戦者へ止めるよう直接訴えかけ始めます

また映像外でもKwanにも食べかけのアイスが当たったり、CLEのブルペンにもゴミが投げ込まれていた様です。

試合後、直接被害を受けたMercadoやStrawがインタビュー等で不満を表し、何れも「野次は良いが、怪我をした選手を喜ぶのは論外」との発言をしています。
またStrawはヤンキースファンに関して「品がない、地球で最も酷いファン」とも言及します

NYY側もBoone監督やKiner-Falefa、Rizzo等が揃って「あってはならない事」として非難します:

所見

これはあくまで私KZilla個人の所見ですので、私や私が住んでいた地域・属していたコミュニティ等の考えが反映されている点念頭に置いた上でお読みください。

まず第一に、今回の一連の騒動はヤンキース側の観戦者が100%悪いと思います

ただその理由を説明する前に、まず「アメリカのスポーツ観戦における文化や暗黙ルール」について説明をさせてください
というのも、「日本における同文化・ルール」を物差しにすると、アメリカの観戦のかなり大部分が日本的観点からはアウトになってしまうので、あくまでアメリカにおいてはどうかの観点でお話をしたいと思います(所謂apple to appleで比較をしたいです)
簡単に言うと以下の通りです:

  1. ブーイングはOK(相手チーム選手へ向けても、自チーム選手へ向けても)

  2. 野次も度を超える内容以外のものはOK

    • 今や人種差別等の侮辱、恫喝、怪我の煽りはアウトですが、2000年代くらいまではこれも割と許容されていた
      (「エンタメの一貫で言っているだけで、本気ではないからOK」という言いつけ)

  3. フィールド上への物の投げ入れは原則アウト

    • 当然、選手を目掛けて物を投げるのは言語道断で、一発退場・刑罰対象にもなり得る

    • 但し、「相手チームの選手が打ち込んだHRボール」のみフィールドへの投げ入れが許容
      (「敵のHRボールなんぞ要らない」という自チームへの忠誠心の表し方として伝統的に行われている)

    • 人によっては「人へ向かってでなければ抗議の表明としてOK」という考え方もある(個人的には賛成出来ない)

  4. 他観戦者、選手、職員、警察への暴力行為もアウト

※また、本記事執筆時点ではアメリカ・カナダにおけるウイルス感染対策のルールはほぼ撤廃されているので、現在NPB等日本国内におけるスポーツ観戦時に試行されているマスク着用義務・声出し応援自粛等は考慮していません

以上を基準とした場合、Kwanへ向けた怪我を煽る野次は2.に反し、Mercado等を目掛けたゴミ投げ入れは3.に反するので、アメリカ基準でも完全にアウトです。
CLE・NYY両サイドの選手やコーチ陣に加え、ヤンキースファンを含めた現地ファンがかなり強く非難をしている通りです。
そして今や放送用や防犯用のカメラの解析度は極めて高いので、当該行為に手を染めた観戦者は球団等に特定され、ヤンキーススタジアムからの出禁は勿論、刑罰の対象にもなり得ると思います。
特に人に向かって物を投げる行為は明らかな犯罪なので、然るべき罰を受けるべきだと思いますね。

「ヤンキースファン」ではなく「にわか観戦者」

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、本記事では今回の行為を起こした者を「ヤンキースファン」として表現せず、あえて「観戦者」としています。
こんなことをする人は真にヤンキースを応援するファンではありません。ただの「にわか」です。
綺麗事ですが、本当にヤンキースを愛しているファンであれば、注目はCLEの外野手ではなく、ここ数年苦しんできた中で漸く結果を残したTorresへ向くはずです

確かにヤンキースファンは他球団対比で辛辣ではあると思いますし、「Winning Culture(≒勝利へのこだわり)」が強い点もありますが、ヤンキースファンが他に比べて圧倒的に治安が悪いかと言われると少し違和感があります
なので少し弁明をさせてください。

ヤンキースは所謂「ライト層」はかなり多いです。
それは全く悪いことではなく、むしろヤンキースの圧倒的人気の最大の要因である強みです。
問題はそこに紛れ込んでただただ騒ぎたい・暴れたい・問題を起こしたい輩が相応数いて、それらが起こした問題のみ大々的に取り上げられてしまうことによってイメージダウンをしてしまいます。
そしてファンの母数が大きいだけに問題児も比較的多くなってしまいます

あとはMob Mentality(集団心理)の影響も大きいかと思います。
最初は1〜数人のみの行為が、次第に「他の人もやっているし」と釣られて便乗する人が増えて、気づいたらかなり大人数になっていることもしばしば。
特に自チームの選手へのブーイングは大体これです。
多くのファンは別に本気で非難をしたい訳ではなく、「ただブーって大きい声を出すのが楽しい」程度のノリだと思います。
これが「あまりよくわかっていないライト層」が比較的多い為、より顕著に出ていると思っています。

ただ悪意がないにせよ、そのブーイングや野次、が選手によっては傷つくことは是非考慮頂きたいところではありますね。

終わりに

どのスポーツのどのチームでも言えることですが、結局は一部のにわか観戦者が問題を起こすことによってファンベース全体のイメージが下がったり、最悪の場合は観戦を制約されたりしてしまいます。
誰もが楽しめる様、そして自身の贔屓が最大限活躍を出来る為にも最低限のルールは守り、(当たり前ですが)悪影響を与えない応援をして頂きたいところです。

あとは今日のヤンキースの活躍が注目されなくなってしまったのが大変残念なので、引き続きエース投球を魅せるNasty Nestor Cortes Jr.氏を載せて終わりにしたいと思います:

そしてゴールドグラブ級の守備も!!!

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同mlb30noteヤンキース担当の助手氏とPodcast「The Bronx Zoo ~ヤンキースラジオ~」をやっていますので、是非YouTubeにてご視聴頂き、面白ければチャンネル登録をお願いします!
ライブ配信はTwitter Spaceにて開催しております。
(本記事の内容も日本時間4/24 朝8:30頃に急遽開催したヤンキースラジオでのお話を元に記事化しています)


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