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2020年12月の記事一覧
第四話「怪人って言うけど、アレ田辺さんトコのお兄ちゃんじゃね?」
「ライオンは自分の事ライオンだなんて思っちゃいねぇよ!」
懐かしい映画が流れている。
何だったっけ?これ…。どれ位前のだっけ…?
まだ、「外にいた」時に観た記憶がある。
この部屋から出なくなって、もうどれ位の年月が経っただろうか。
何か「これ」と言う理由があった訳じゃない、でも僕はいつの間にか「部屋を出なくなった。」
正確には、家を出なくなった。時々は家族が寝静まってから、台所に行って
第五話「漢の料理はカレー味よ!」
刹那少年は男を見下ろしていた。
現在、朝の11:30。ギリギリ朝と呼べる時間。
父は既に会社に行っている。
「お父さんは夏休みなんて殆どないよ。刹那はいいなぁ。でもちょっと休み取ってどこか旅行でも行ける様にするから、それまでには宿題とか終わらせておきなね。」
優しい声で父が先週言っていた。
いつもは父が朝ご飯の支度をするが、せめて夏休み中は、という事で交代で準備する事にしていた。
刹那
第六話「たまたまを装った必然」
東京に真っ暗な夜はない。
都心程ではないが、住宅街でも街灯やら何処かの家の電気やらで、深夜でも道はそこそこ明るい。
小さい頃は夜道は怖い、危険というイメージが強かった。事実、当時同じ地区の女子高生が痴漢に合ったなんて事件を思い出した。
「そういや、昔はチカン注意なんて看板とかあったな。」
そう考えると、随分と治安は良くなった様な気がする。
「僕が何かをするまでは。」
夏の夜にトレーナー