【How to teach #2】クラシックピアノとポピュラーピアノのスタイルの違いを理解し指導していきましょう。
クラシックピアノとポピュラーピアノの主要な違いは以下2点。
1. 音楽の目的
クラシック音楽:
クラシック音楽は多くの場合、芸術的な表現や感情の深さを探求することを目的としています。数百年前に描かれた作品を楽譜に忠実に演奏することや歴史的背景や哲学的テーマに基づいて演奏することで、当時と同じ演奏が現代でも聴くことができるという時代を超えた音楽。ポピュラー音楽:
ポピュラー音楽はエンターテインメントや大衆性が重視され、リスナーとの共感や楽しさを重視することが多いです。商業的な要素も強く、リスナーに親しみやすいメロディーやリズムを提供し、多くの有名なアーティストやバンドを生み出す。
2. 楽譜の使用と解釈
クラシック音楽:
楽譜が詳細に記載されており、音符、テンポ、強弱、表現記号などが細かく指示されています。演奏者はこれに従って演奏することが期待されます。ポピュラー音楽:
楽譜はコード進行やメロディラインだけが書かれていることが多く、詳細な指示が少ない場合があります。コードシンボルやリードシートなどが使われ、演奏者が自由に解釈して演奏する部分が多くあります。
上記2点を指導するには?
クラシック音楽は
楽譜を忠実に再現することで数百年も前の音楽を当時のまま歴史を超えて現代でも同じ演奏を楽しめ、受け継がれていることが最大の魅力であり、それが全てでは決してないが、演奏家や指揮者、オペラ歌手、当時の世界観を追い求めて現代でどう活かすのかが問われる世界。
一方で、ポピュラー音楽は
その時代でアーティストが表現したい音作りが重視され、日本では特に歌詞が重要視される。そのため、譜面通りの演奏よりも、個々のプレイヤーがどんな音楽を聴いて育ち、それをどう音楽に音で反映するかが重要であり求められる。それらは「センス」という一言で片づけられることが多いが、それを磨く必要がある。
センスってどうやって磨くの?
知る→聴く→弾いてみるの繰り返し。
ピアノの場合、ピアノという音色一つでもたくさんの音色があります。
どれを選択するかは個々の判断により、好きか嫌いか、それが曲に合っているか。それぞれの個々やチームの判断に任せられます。
それらの音色は電子ピアノやキーボードであれば、ピアノと言っても無数の音色があり、まずは特定のスタイルや表現に基づいて名前が付けられた代表的なものを知る必要があるので紹介します。
1. ブライト (Bright)ピアノ
明るく、はっきりとした音色を指します。高音域が強調され、クリアでエッジの効いた音が特徴です。ポップスやロックでよく使われます。
2. ウォーム (Warm)ピアノ
柔らかく、丸みのある音色です。低音域が豊かで、優しい音の広がりがあります。クラシックやバラードに適しています。
3. ダーク (Dark)ピアノ
重厚で深みのある音色を指します。高音が抑えられ、低音が強調されることが多いです。悲しげな、あるいは重厚な雰囲気を作り出す際に使用されます。
4. メロー (Mellow)ピアノ
穏やかで滑らかな音色です。中音域が強調され、耳に優しい音が特徴です。ジャズやソウルなど、リラックスした曲調に合います。
6. ステージ (Stage)ピアノ
輝きがあり、シャープで明るい音色です。華やかでパワフルな演奏に適しており、コンサートや大きな会場での演奏に向いています。
7. Rock (Rock)ピアノ
鋭く、力強い打鍵音を強調する音色です。音の立ち上がりが速く、ロックなどでリズムを際立たせるために使われます。
指導者に求められるものとは?
幅広いジャンルとスタイル、使用されている楽器の名前、音色を理解し、現代の演奏に取り入れることが重要です。まずは以下の順番で、ピアノアーティストを中心に聴くことから始めましょう。
1. ビートルズ (The Beatles)
おすすめアルバム: Abbey Road, Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
理由: ポップスの基本を学ぶには、メロディー、ハーモニー、リズムのすべてがバランスよく含まれているビートルズが最適です。ポップスの歴史的な基盤となる音楽を理解できます。
2. エルトン・ジョン (Elton John)
おすすめアルバム: Goodbye Yellow Brick Road, Madman Across the Water
理由: ピアノを主体としたポップソングの構成を学ぶのに最適です。ピアノメロディーの作り方や歌とピアノのバランスを理解できます。
3. スティービー・ワンダー (Stevie Wonder)
おすすめアルバム: Songs in the Key of Life, Innervisions
理由: リズム感、コード進行の多様性、即興演奏のスキルを学べるアーティストです。特にファンクやソウルの要素が強く、演奏テクニックの幅が広がります。
4. ビル・エヴァンス (Bill Evans)
おすすめアルバム: Waltz for Debby, Sunday at the Village Vanguard
理由: ジャズの要素を取り入れるために必須のアーティストです。繊細で豊かなハーモニー感や、ジャズの即興技術を学べます。
5. ハービー・ハンコック (Herbie Hancock)
おすすめアルバム: Head Hunters, Maiden Voyage
理由: フュージョンやファンクジャズを代表するピアニストで、電子キーボードの使用にも長けています。複雑なリズムパターンやサウンドエフェクトの使い方を学べます。
6. チック・コリア (Chick Corea)
おすすめアルバム: Return to Forever, Light as a Feather
理由: ラテンやフュージョンの要素を強く持ち、テクニカルな演奏スタイルや複雑な和音の進行を学ぶことができます。
7. アリシア・キーズ (Alicia Keys)
おすすめアルバム: Songs in A Minor, The Diary of Alicia Keys
理由: 現代のポピュラー音楽において、ピアノを中心に据えたスタイルを学べます。ソウルフルで感情的な演奏に注目してください。
8. ジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius)
おすすめアルバム: Word of Mouth, Jaco Pastorius
理由: ベーシストですが、ポピュラー音楽のリズムセクションの理解を深めるために必聴。リズム感やグルーヴの構築を学ぶために役立ちます。
9. デヴィッド・フォスター (David Foster)
おすすめアルバム: プロデュースしたアルバム(シカゴ、セリーヌ・ディオンなど)
理由: ポップスの作曲・編曲の大家であり、サウンドの全体的な構成やプロダクションのアプローチを学べます。
10. ナイル・ロジャース (Nile Rodgers)
おすすめアルバム: プロデュースしたアルバム(シック、デヴィッド・ボウイ、マドンナなど)
理由: リズムギターが中心ですが、キーボードやシンセサイザーの役割が大きいファンク・ディスコのサウンド作りを学べます。
これらのアーティストを順番に聴き、可能であれば、コピーしてスタイルや技術を吸収しましょう。ポピュラー音楽のキーボーディストとしての基盤が固まるでしょう。全てを完コピする必要はなく、それぞれのアーティストから自分にとって、「かっこいい」と思える部分のみ、それがワンフレーズだけでも構いませんので、学べる要素や指導出来そうなフレーズを自分の技術や知識として取り入れていきましょう。