人とまちと商いと。VOL.002『ビオラル 新宿』
まちで見かけた新しいデザインや業態、面白い挑戦など東京オデッセイ代表が日々の暮らしの中で出会ったコトを読み解いていくビジュアルエッセイ。
新宿丸井にオーガニックLIFE
2016年から店舗展開をしているビオラル(ライフ)。
スーパー『ライフ』のオーガニック食品専門スーパーだ。
全国でまだ6店舗とあまり知られていない業態だ。
その中の1店舗、新宿丸井地下で展開している店舗を実際に見て、
感じたことをまとめてみました。
入り口にはお決まりのカフェ。
ストア前面には惣菜、スイーツが並ぶ。その奥に野菜、フルーツ、調味料、日販品。
奥に酒、有機離乳食など、多岐にわたる。
ビオラルの4つのコンセプトが並ぶ。
ちなみにビオラルとはドイツ語(BIOLOGISCH)と英語(NATURAL)の造語だそうだ。
店内デザインは木調、黒、白レンガとスタイリッシュなデザインで今の時代感が出ている。
しかしこの店名、ビオラルは送り手側の考えすぎ感、手前味噌感が強すぎて、化粧品かと勘違いするくらい分かりずらい。
ナチュラルローソン、無印良品、久世福商店など分かりやすく親しみやすい、しかも文化的側面も感じられるネーミングがなかったかと悔やまれる。
商品セレクトは面白い。
昆虫食(こおろぎ)、オーガニックペットフードなどもある。
精米所もあり、細かく指定できる仕掛け。
ライフ名物のだし巻き卵と焼き鳥重・弁当もあり、ご飯は玄米に変更してオーガニック感を出している。
さんま一本丸ごと弁当は迫力。
有機玄米使用。
そのほかにも鯵の開き丸ごとおにぎりや鯖や鱧などチャレンジングな惣菜メニューが際立っている。
実際に食べたが、骨は丸ごと柔らかく全て食べられる。カルシウムも取れるし骨を残さないのでSDGs的にも良い。
惣菜のライフと言われるだけのことはあると感心した。
しかしながら80坪ほどの狭いスペースにセレクトされた商品たち。
ドンキホーテやカルディのような圧縮陳列の楽しさや、久世福商店のような信頼の蔵感などはなく、スーパーの延長線上の店舗デザインはこれで良かったのかと店名同様考えさせられた。
もっとやりようがあったのではないか。
コンセプトやチャレンジ精神が良いだけに残念。
陳列什器の通路も中途半端に狭く、通路に人がいると目指す商品に行きつけない。
ハード的に無理をしたか。
しかし、商品の値段設定は他のオーガニック食品店よりも割安感があり、女子一人暮らし、中高年ご夫妻などにとっては、デイリーに楽しめるマーケティングと読み取れる。
そこはスーパーライフがやっているだけあって刺さる値段設定と感じられた。
しかしながらコンセプトをさらに磨き、この支持層を大切にしていけば新業態として信頼のブランドに成長していくのではないかと思われた。
2016年スタート、全国6店舗、今後の展開が興味深い。