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人とまちと商いと。VOL.010 BABY&KIDS遊び場は宝の山?!

まちで見かけた新しいデザインや業態、面白い挑戦など東京オデッセイ代表が日々の暮らしの中で出会ったコトを読み解いていくビジュアルエッセイ。

出生率低下と1世帯所得金額が比例しない。つまり子供1人にかける金額は以前よりも多く見込め、その市場は企画開発の仕方によって、今後黄金市場へと変化する可能性がある。

※厚生労働省HP 1世帯当たり平均総所得金額の年次推移より参照
※内閣府HP 出生数と合計特殊出生率の推移より参照

出生率はご存知のように1947年の第一次ベビーブームからだだ下がりを続けており、1970年は第二次ベビーブームの200万人/年だったが、現在はその半分近くまで低下している。
しかしながら、世帯あたりの平均所得金額は増加している。つまり、子供一人に使える金額は上昇し続けている、ということになる。

しかも児童のいる世帯とその親世代である高齢者世帯を合計すると、約1250万/年・世帯となり、子育てにかけることのできる金額は、上昇の一途であることが分かる。
このターゲットを総合的に取り込む商業施設は日本にはなぜか皆無である。

このクラスターをターゲットにした商業施設の開発が待たれる。
その予兆として最近さまざまな場所で導入されている『子供の遊び場』に着目してみた。

さまざまな企業が取り組んでいる『子供の遊び場』事業があるが、その多くはプレーパークから発生しているものであり、公園の中で子供の育成を念頭にどう遊ばせるかという観点から作られているものが多く、公共性がベースとなっている。

近年遊び場を商業として事業化する動きも多いが、ファンタジーキッズリゾートやプレビなどが屋内子供遊び場事業へ進出する企業として事業展開をしているようである。
まだまだ商業化という観点からは立ち遅れている施設も多い中、その独特のブランディングで展開しているボーネルンドが突出して面白い状況なのでその現場へ行ってみた。


高い事業性の香りがぷんぷん。『遊び場』を核に新たなSC展開の可能性は高いのではないか。

アソボーノはボーネルンドの直営店舗ではなく、後楽園の事業をボーネルンドがコンサルしている座組みでスタートしている事業。

通常のボーネルンドの施設(キドキドやプレイヴィル、トット・ガーデン)にみられるような高品質運営(手間がかかるイベントや丁寧な催事など)ではなく、商業施設らしい子供と親が基本セルフで楽しく過ごせる要素で構成している施設であり、ここに子供の遊び場の事業性が潜んでいると思われる。

(ボーネルンドはもともと玩具メーカー。子供にとって安心安全な商品を提供してきた子ども用生活道具の輸入総代理店、純粋な日本の会社)

帆船をイメージしたボールパーク、キッザニアのプチ社会体験、プラレールの巨大空間、レゴなどいろんな玩具で遊べるさまざまなエリアを楽しむ屋内子供の遊び場。飲食は隣棟にフードコート
があり、そこで待ち合わせをして入場し、ランチの際などは再入場パスで出入り自由となっている。

料金
1 ) 6ヶ月〜小学生60分:950円 ,延長30分毎:450円
  1日フリーパスが1,800円
2 ) 大人中学生以上:時間制は同料金

つまり親子2人で子供1人の場合、子供は1日フリーパス1,800円 両親は入館料950円×2=1,900円
合計3,700円が休日祝祭日の平均的単価

平日は子供+ママ=2,750円が平均単価となる

休日2000組、平日1000組で計算してみると
休日:7,400,000/ 日
平日:2,750,000/ 日

という数字を即弾くようです。

子供の遊び場は基本的に装置産業ですので、修繕や改修以外のコストは基本かからない。セキュリティの人員配置などはあるものの原価率は低い事業です。

後楽園というネームバリューはありますが、けっして利便性の良い場所では無いし、当該施設の入口も辺鄙な場所にあり、本当に目的客しかこないような状況です。が、入場者は多いようです。

一方、ベビー&キッズの業態を総合的に集積させた施設は日本にはありません。ほとんどの親は子供に良いとされる遊び場や習い事、体に良い食べ物、オーガニックなどにこだわった衣類やファッション、子供に安心安全な雑貨や玩具などを集積させた場所がないため、さまざまな個店にその都度行くという、いまどきその非合理な悪循環にさらされています。

またネットの情報でeコマースで買うにしても、子供のことだからなおさらリアルに確かめたい、という心理が働きます。

アソボーノのチェックインはアナログ映画館方式でした。
いまどきのママはデジタル世代ど真ん中なので、この入場システムを事前課金、事前予約などデジタルでシステム化することにより合理的でスリムな運営体制が構築できるはず。

またスーべニールなどの開発も進んでなく、魅力的な商品がない点も事業にとってはマイナス。
まだまだ進化していく予感を感じたアソボーノでした。

子育て世代の魅力的なSCが必要です。デベロッパーのみなさま、ぜひ取り組んで損のない課題だと思います!


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株式会社 東京オデッセイ(一級建築士事務所)
ありがとうございます。これからもたくさんの記事を更新いたします。