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アーティスト・KIMIKAの価値観や大事にしていること

KIMIKAは10代で音楽活動をスタートし、2018年には渋谷109主催の「109路上ライブ」で優勝。同年に開催されたLINE LIVE主催の「スターダムオーディション」でも優勝し、レディー・ガガと共演する機会を得たことで、ガガ本人からもその実力を高く評価された。本記事では、渋谷から世界へ羽ばたいたアーティスト・KIMIKA(キミカ)の価値観や音楽活動において大切にしていることについて紹介する。


秦基博の「鱗」を歌い続けた理由

KIMIKAは、ある日、路上ライブに向かう電車内で友人の訃報を耳にした。「もっと会いに行けばよかった」という後悔が、彼女の心に深く刻まれた。芸能の世界では、大切な人の最期に立ち会えないことが多く、ライブ中は携帯電話も確認できないため、訃報をすぐに知ることも難しい。それからKIMIKAは「大切な人にはできるだけ会いに行ってほしい」と強く願うようになった。

2年前には、半年間で親戚4人を亡くし、同期の友人の母親も癌で急逝した。芸能界でも自ら命を絶つ人は少なくなく、人の命の儚さを実感している。「未来が当たり前に来るとは限らない」と感じたKIMIKAは、歌を通じて何かを伝えたいと思うようになった。「SNSを通じて誰かの役に立ちたい」とライブで語ったシーンの動画は大きな反響を呼んだ。

KIMIKAが全国路上ライブツアーで歌い続けたのは、秦基博の『鱗』である。「ただ好きで歌っていたけど、歌詞がすごくて、こんなことを言える人って素敵だなと思った」と語る一方で、「好きな人に好きと言えていたかな?」と自問自答することもあるという。

人生応援ソングを通して大事な人を応援する

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)で歌う歌手・KIMIKA(キミカ)さん①
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

「いろんな苦労を経験し、多くの人々と出会ったことで物事を多角的に見られるようになりました。それが私の音楽の説得力につながっているんだと思います」とKIMIKAは語る。

彼女の目標は、年齢を重ねても聴き続けられる音楽をつくること。特にSMAPの音楽に感銘を受けているという。「SMAPさんの曲は世代を超えて聴かれている。恋愛だけでなく人生への愛情が込められていて、友達に置き換えて聴ける曲も多い。いい時も悪い時もあるけれど、それを乗り越えるというメッセージに共感します。たくさんの人に応援されるからこそ、国民的スターになったんだと思います」と彼女は言う。

KIMIKAも、そんな人生を歌う楽曲を作りたいと考えている。彼女が目指すところは、時代に左右されず、長く聴かれるような普遍的な音楽であり、そのための努力を惜しむことなく続けている。

人と会って話し、価値観の理解をする大切さ

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)でスペシャルゲストのacaneさんと肩を組んで歌う歌手・KIMIKA(キミカ)さん
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAは「人との経験こそが自分の人生を豊かにする」と強く感じている。誰かと話すことで、その人の価値観が見えてくるし、それを取り入れることで自身の価値観も深まるという。「断片的に見えていたものが、話を重ねることで全体が見えるようになり、その人の言葉の裏に隠された意味を考えられるようになる」と語る。それがアーティストとしての深みを増す一助となり、人と会うことの大切さに気づいたのだ。

また、KIMIKAは「優しさ」についても深く考えている。彼女はさまざまな経験を経て、優しさには多様な形があることに気づいた。「私の優しさと他の人の優しさは違う。でも、その人がどういう環境で育ったのかを考えれば、傷つけられても怒ることなく、その背景に思いを馳せることができる」と話す。そして、相容れない人に対しても愛を持って接し、その声に耳を傾ける姿勢を大切にしている。

KIMIKAが大事にしている価値観

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)で1,000人のファンに感謝を伝える歌手・KIMIKA(キミカ)さん
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

人は見た目だけではなく内面も大事

「見た目がギャルっぽくても、外見ですべてが決まるわけではない」とKIMIKAは語る。
彼女は、人の本質は外見では判断できないことを、音楽を通じて伝えたいと考えている。
「一見チャラそうに見えても真面目だったり、逆に真面目そうに見えてもそうではなかったり、人は誰しも二面性を持っている」と彼女は言う。表面的な印象で他人を判断することは危険であり、決めつけられた人はそのイメージに縛られて生きることを余儀なくされる。

心が強い人でなければ、その固定観念を打破するのは難しいが、「強い人ばかりではないこの世界で、そんな人たちの気持ちを音楽で代弁したい」という思いがKIMIKAにはある。

「見た目や表面的な部分に囚われず、誰もが自分らしく生きられる社会をつくりたい」と語る彼女の言葉には、深い共感を呼ぶ力がある。

「好きなことを好き」という素直さ

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)で歌う歌手・KIMIKA(キミカ)さん②
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAがMISHAのプロデューサーのもとにいた時、「君はなぜ音楽をやっているの?」と核心を突かれる質問を受けた。そのとき彼女は「家族のためです」と答えたが、「なぜ家族のために歌っているの?君自身はどう思っているの?」と、再度問われた。

音楽が好きであるはずなのに、その気持ちを素直に言えなかった自分に気づき、「どうして『好き』という気持ちだけではダメだと思うの?」というプロデューサーの問いにハッとさせられたという。彼女は「もっと自信を持って『好き』と言えばよかった」と振り返る。

この気づきは、音楽だけでなく人間関係にも通じるとKIMIKAは感じている。「何か理由がないといけないと思いがちだが、『好きだから一緒にいたい』という気持ちだけで十分だ」と気づいたのだ。彼女は、自分のライブが、そうした固定観念から解放される場となることを願っている。

また、KIMIKAは成長するにつれ、自分の「芯」が薄れていったと感じている。中学・高校時代に周囲に合わせることが習慣となり、その結果、自分の個性が次第に失われ、どのようなアーティストになりたいのかも言葉にできなくなってしまったという。しかし今では彼女は「自分らしさを再確認し、それを表現したい」という強い思いを持ち、その思いが現在の音楽活動の根底にある。

100点を目指すのではなく、その日の100%をやる

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)のライブ終了後に演者さんたちと一緒に挨拶をする歌手・KIMIKA(キミカ)さん
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAは幼少期を振り返り、「勉強もスポーツも音楽も何でもできる優等生のような子供だった」と語る。しかし彼女自身は、それを「できるまでやっていただけ」と感じていたという。強い知的好奇心と探究心を持ち、できない自分を許せなかったのだ。

この厳格な自己評価は、現在も続いている。「人が60点で満足するところを、私は90点以上でなければ許せない。プロなら毎回100点が当たり前だと思っていた」と語るKIMIKAは、常に自分に厳しい目を向けてきた。

しかし、最近はその考え方に変化が現れている。「人間だから良い時も悪い時もある。それでも、その日のベストを尽くせば、自分に花丸をあげようと思うようになった」と、ライブのMCでもその思いを共有するようになった。彼女にとって、100点を目指すのではなく、その日の100%を尽くすことこそが新たな自己成長につながると考えるようになった。

周りの人を豊かにするために幸福度を上げる

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)で歌う歌手・KIMIKA(キミカ)さん③
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAは幼少期から、人と比べることなく育てられた。彼女は「狭い部屋で家族と一緒に寝られるだけで幸せ」と感じるほど、ある意味で日常的な幸せで満たされていたという。このシンプルな幸福を与えてくれた親に感謝してその価値観を大事にしている一方で、音楽活動を通じて人々を幸せにしたいと考えたとき、彼女はこの「幸福度の基準」が課題となることに気づいた。

「普通に生活するにはそれで十分だけど、アーティストとして野望を持たなければ、自分自身も周りの人も豊かにすることはできない」と、彼女は自身の考え方を改めるようになった。

また、KIMIKAは人に対して厳しいことを言うのが苦手で、それが大きなストレスの原因となっていた。「厳しい言葉をかける自分は性格が悪いんじゃないかと思い、自分を嫌いになることがある」と彼女は打ち明ける。しかし最近は、「愛情のひとつとして、時には厳しい言葉も必要だ」と感じるようになり、葛藤を抱えながらもそれを仕事として受け入れ、前向きに向き合うようになった。

どん底で幸せな曲ができる理由

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)で歌う歌手・KIMIKA(キミカ)さん④
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAは、どん底にいる時こそ明るい曲が生まれると感じている。「幸せな時に幸せな曲をつくるのは意外と難しい」と彼女は話す。最も辛い状況にある時、音楽を通して希望を描き出すことで、頭に浮かぶのは幸せなことばかりだという。

「もう辞めたい」と思うほど追い詰められた時こそ、自分を奮い立たせるために、こんな希望があればいいなと願う。その過程で過去を振り返り、辛いことばかりだったと感じても、「それでも生きているし、愛されてきた」と気づくことで、自分が多くの幸せを受け取ってきたことを再認識する。

「だからこそ、辛い時に私は人の幸せや自分の幸せを願えるんです。そして、落ち込んだ時ほど、明るい曲を書くことができるのです」

ディズニープリンセスから学ぶ、幸せになるための力

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)のライブステージと歌手・KIMIKA(キミカ)さん
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAは、シンデレラの物語に込められたメッセージに共感しているという。「シンデレラがいじめられてもへこたれないからこそ、物語が成り立つんです」と彼女は語る。彼女が言う「悲劇のヒロイン」とは、単に苦しみの中にいる人物ではなく、その困難を乗り越えて成功を掴んだ者を指す。

「多くの人が『悲劇のヒロイン』という言葉を誤解していると思います。ただ悲劇にいるだけでは、それはただの悲しい女性に過ぎません」

彼女自身、悲劇にとどまるつもりはなく、必ず幸せになると信じている。「どうすれば本当の悲劇のヒロインになれるのか? それは、自分を信じて、どんな状況でも勇気と優しさを持ち続けることです」と彼女は言う。ディズニープリンセスたちが困難に直面しても最後に幸せを手に入れるのは、その姿勢にあると考えている。KIMIKAの楽曲は、そんな彼女の信念から生まれているのだ。

周りの人の支えによるポジティブ精神

初ワンマンライブKIMIKA Zepp LIVE『unusual.』(2024年8月1日・Zepp Shinjuku開催)で歌う歌手・KIMIKA(キミカ)さん⑤
KIMIKA Zepp LIVE『unusual.』より

KIMIKAは、自分自身をネガティブに捉えることもあるが、根拠のない自信を持っていると語る。その自信は、両親からの愛情と絶対的な信頼によって支えられている。「世界中に味方がいなくても、両親だけは絶対に味方でいてくれるというのは大きい」と、親からの支えが自信の源であることを強調する。

また、最近のライブや仕事においても、信頼できる人々に囲まれていることが、ポジティブな気持ちを保つ理由だと語る。「たとえば、今回のライブでは演出家や大親友がいて、私を支えてくれる存在でいてくれる」と話す。こうした絶対的な信頼関係が、彼女の自信を支えており、周囲の人々が彼女をサポートすることでポジティブな気持ちを持ち続けられるのだという。

KIMIKAがどのような人物なのか詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

2024年8月1日(木)に開催されたライブの様子は、こちらの記事をご覧ください。

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