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Ceriatone CENTURA&Nature Sound VKC

元々高価なものでしたが、製作者の引退によってさらに高騰を続ける伝説的なオーバードライブペダル、KlonのCentaurというペダルがあります。

ギターを弾かない方にとっては何のことやら、という感じですが、
オーバードライブペダルとは過入力によってアンプの音が割れた状態を再現するペダルのことを指します。
エレキギター特有のギャーン!という音、といえば分かりやすいでしょうか。

基本的に過入力で割れたり潰れたりした音は、オーディオの世界やデジタル信号の場合は不快なもの、NGとして扱われるものですが、エレキギターに関してはそれが特徴的な『音色』として扱われているのが面白いところだと思います。

オーバードライブペダルは『歪みペダル』などとも呼ばれますが、文字通り音を電気的に歪ませ“ヒズませ”ているわけです。歪ませ方の回路やパーツによって実に様々な音のキャラクターを作ることが出来ます。まぁ、全部ギャーン!って言うだけなんですけど。笑 

そのギャーン!に沢山のロマンと神秘が詰まっているのです。

で、冒頭に書いたKLONのCentaur、ケンタウルスが描かれた大きなペダルで、
発売されていた20年以上前の頃でも6万円以上はしたと思います。当時としてもかなり高価なペダルでした。著名なギタリストが多数使用していたこともあり、高価にも関わらずかなり売れていたペダルだと思います。ボクも所有していました。


当時から既にオカルト的な評価もくっついてより古いものが高い、みたいな感じでしたが、ある日、これまでずっと一人で製作していたKLONのBill Finneganさんが「作れば作るだけ売れるけど、俺の人生、これを作り続けてる間に終わっちゃう」ってなっちゃって作るのを辞めたんですね。

その後、量産メーカーとコラボしてKTRというブランドで小型化した見た目で再生産を開始しましたが、『オリジナルが良い』『量産品はイヤ』というような人の世の常とも呼べる現象がおきまして、オリジナルのCentaurはプレミアが付いて30万円くらいになっちゃったんです。すごいことだと思います。良いアンプ買える値段なんだもの。


それによって何が起きたかというと『オリジナルの回路と同じように作りました!』と銘打って色んなメーカーからCentaurクローンともいえるペダルが発売されるようになったんですね。

個人的にはCentaurの再評価というよりは伝説的な評価にあやかって、というのが多かったと思います。中にはクローンって謳ってるけどオリジナルと全然似てない、というか作った人はオリジナルを持ってないんじゃないかな?と思うものもありました。

オリジナルのCentaurはいくつか特徴的な構造があって、例えば内部で電圧を昇圧していたり、歪みと原音が混ざる構造になっていたり、、色々あるのですが、
個人的に大きいと感じるのはバッファという信号を補正する機構の有無とそのキャラクターでしょうか。

そのバッファのおかげでオリジナルはonにしなくても繋ぐだけで音に独特のハリと太さが加わります。
Centaurの歪みのキャラクター自体は割とザラッとした質感があって中高域にアタッキーなピークがあるように感じます。歪みのキャラクター単体としては独特の荒さがあって、特段使いやすいものだとは思わないのですが、
その太く艶やかなバッファと相まって真空管アンプをプッシュするのにばっちりハマる作りになっていると思います。

バランスの妙ですね。製作者の哲学とか執念のようなものを感じる作りです。

そのバランスが崩れてるとちょっとピーキーで無駄に太さがあってブーミー、、悪くはないけど『こんなものなの??』ってなっちゃうんです。クローン、と呼ばれるものも沢山試しましたが、ズバリ!というのはあまりなかったかなぁ。

オリジナル(時期違い含む)、KTRと所有してきましたが、
最近試した中でもこれはとても良く出来ているなぁと驚いたのが
今話題のマレーシアのアンプメーカー、Ceriatone“セリアトーン”のCentura、
これは筐体までそっくりに作ってあってかなり頑張ってます。笑
逆にマズイんじゃないかな!

オーナー所有のオリジナルを徹底解析して作ったとのこと。
発売後ずっと人気でずっと予約商品扱いみたいになってますね。

もう一つは日本製のNature Sound VKC13、
シリアルナンバー#13という最初期のオリジナルを解析して回路だけでなく
音を出した時の波形までチェックしてチューニングした、
という気合いの入ったペダルです。

結論からいうと非常に良く出来てます。似てる、似てないでいうともちろん似ているんだけど、オリジナルの最大の魅力であるバランスの妙がちゃんとあります。
太くなるのにボワボワしないし、エッジが立ってるのに艶やか、というバランスの妙。音を聴いてみましょう↓

まずはCeriatoneのCENTURA。オリジナルも個体差がありますが、そのど真ん中的な部分の音がずばり、という感じです。オリジナルの方がローが出てる、と言う人もいるかもしれませんが、そのローってホントに要るところなの?ってなるとまた別の話で、、やめましょう、、こう言う話は。

倍音の感じとかエッジが立ってるのにクリーミィ、タッチに対してのレスポンスも良いです。←ギターを弾く人じゃないと意味不明な説明ですみません。

見かけたらぜひ試してみてください。オリジナル云々抜きにしても音がいいし弾いてて楽しいペダルだと思います。

続いてNature SoundのVKC13。

オリジナルのCentaurってどこかファズっぽい質感と反応があるのですが、
初期のものは更にファズっぽいエッジがあります。自分でも持っていましたし、
知人のを使わせてもらった時にも同じ印象がありましたが、

これも殆ど同じ印象です。ファズっぽいエッジとローミッドのナチュラルな太さの
バランスが良くて、『良い音』って言うよりは『カッコいい音』です。
後期のものや上のCeriatoneと比べるとちょいワル、といえばいいでしょうか。

二つとも完全に同じ設定、ギターで弾いているのですがバイパス音も若干変わります。上に書いたバッファの影響ですね。

このVKC13はそんなに作られていないようですが、見かけたら試してみてください。

オリジナルと比べられたら一番良かったんだけど、あいにく出払ってて残念。
機会があれば同じ設定で撮ってみようと思います。

使用ギターはPRS McCarty、AtomicのAmplifire12から直接ZoomのQ2nのラインインに入れて撮っています。

すごく長く書いちゃった!!最後までお付き合いくださりありがとうございます。
ちょこちょこギターのこと、機材のことも書いていこうと思います。

メタルシティより愛を込めて。


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