築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした101 鈴々舎八ゑ馬
東京駅八重洲口のタクシー乗り場でうなだれているのは八ゑ馬さん?!
実はここで師匠・馬風を一時間半待たせてしまったことがあるんですよ。地方での仕事の後、師匠の息子さんが車で迎えに来てくださってたんですが、新幹線の出口からここまでの間に師匠を見失ってしまって…師匠は疲れと怒りから震えた声で「てめ~、何度帰ろうと思ったか、バカヤロ~!!」って。ほんとしくじってばかりです。この格好(上写真)で待つ師匠を見つけた時は…驚きとホッとしたのと笑いそうになったのと感動が入り混じった変な気持ちでした。
お笑いをやるために関西から22歳のとき東京に出てきました。上方のしゃべくり漫才の早いテンポについていけず、東京のゆっくりした漫才が好きで東京に出て来ました。でも、(吉本)新喜劇のテンポも好きでした。寄席にはネタ作りの勉強で通ってたんですよ、そのうち笑いのいろんなパターンって落語からきてるんちゃうかと思いまして。先代小さん師匠の『長短』をDVDで見た時ほんまに感動しました。僕には一人で漫才してるように見えたんです。落語をやれば最終的に一人で漫才できるし、なんやったら一人で新喜劇みたいなこともできる、すごいなと思った。僕が前座の頃に末広亭で小さんの七回忌追善興行があったんです。小さんの弟子が10日間『長短』を演るって企画。もう釘付けですよ。師匠の『長短』が圧倒的でした。いろいろ考えたら気の長い方を小さんで、短いのを馬風で演ってるからおもろいはずなんですよ。今度「いとこの会」のネタで〝小さんネタに挑む〟ってのをやるんですけど、初めて『長短』を演ります。自分が好きになったネタだから、びびってます。(来年2月24日予定)
入門の時に師匠から「面白いから上方でやれよ」って言われて、古典は上方落語をやらしてもらってます。江戸落語も好きなんで上方弁に直したりしてでもやっていきたいですね。小さんの肚からの渋い声で、大きい間でやるのに憧れたから、最初は上方弁もそういう風にやったんです。けど、やっぱり変な感じなんですよ。だから試行錯誤です。今は新作は分かりやすいものを、古典は、ぶっ飛んでる噺もいっぱいあって、それが好きなんで、そういうものは古典でやりたいです。一番楽しいのは教わった通り演ってウケた時。僕の好きな人達と同じ笑いが! って嬉しさです。今、時事ネタポンポン放り込んでいくような新作落語も作ってて、それをまずは完成させたいです。
鈴々舎八ゑ馬 本名=大谷亮。1974年7月7日。大阪府枚方市出身。近畿大学卒業。2007年2月、十代目鈴々舎馬風に入門。8月に「やえ馬」で前座。11年11月二ツ目に昇進し「八ゑ馬」。出囃子=ラッパ 血液型=A型