築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした104 柳家ほたる
江戸時代に建てられた土蔵がアートスペースとして併設されているカフェ、浅草のギャラリーエフで猫と遊んでるのは…柳家ほたるさん!
動物写真家・岩合光昭さんの猫のテレビ番組を見て、「猫、かわいい♡」ってノックアウトされました。それで、看板猫がいるお店を検索してたらエフさんが出てきたんです。行ってみたら銀次親分っていう猫がいきなり僕の膝をすりすりしてお出迎えっていう最高のおもてなしをしてくれて、もうメロメロ。それから猫にぞっこんです。
二ツ目になって時間が出来て、前からカメラが好きだったので、「写真、撮ろうかな」って。最初のうちは師匠・権太楼にフォトコンテスト入賞のことは隠してたんです。でもお客さんが師匠に言っちゃって。怒られると思ったら、「なんで言わないんだ! 趣味は仕事になるから、ちゃんとやりなさい」って。エフさんも、お店の方に落語家だって言ったら、「ここで落語会をやりましょう」って言ってくれて。昨年は僕の描くイラストを見てくれた方から商品化のお話をいただいたり、好きなこと……ギター、妖怪もそうですし、猫もカメラもぜんぶ仕事に繋がっているのはありがたいです。
東京かわら版を読むジロリ(柳家ほたる・画)
入門のきっかけは、たまたま鈴本演芸場で「怪談噺」の会をやっていて、看板に引かれて入ったことなんです。稲川淳二的なイベントかと思ったら落語。そこからはまったんです。寄席に行くようになった時に師匠がいつも面白かった。それでこんな面白い人のそばにいられたらいいなあって思った。他の一門に比べたら厳しいかもしれない。でもそれよりも、自分が好きな師匠の家に勝手に入れて、一緒に御飯食べたり、着物に触れられたり、こんな素敵なことはないですよね。寄席の楽屋へ行けば高座を観ていたスターがいっぱいいる。その人達に名前を呼ばれちゃったりして、前座の頃は楽しくてしょうがなかったです。
師匠からは「マニュアル化はやめて臨機応変に動きなさい」って言われます。前座の間に師匠の家に毎日行って、師匠の動き、おかみさんとの動きをみて、そういうのを自然に学ぶんですよね。最近は真打が近くなってきたからいろいろと考えてしまいます。どうやったらより面白くなるんだろうって。一昨年『芝浜』をおろしました。「今はまだでもこの先10年、20年後に良くなるかもしれないから、人情噺、滑稽噺関係なくどんどん覚えろ」って言われています。でも、笑いの多い噺に行きがちです。それはやっぱり権太楼の弟子だからかな。
写真、手に持つスマホケースはほたるさん作。ほたるさんが頼むとカフェラテにはシナモンスティックが付くという常連ぶり!
●ほたるさん描きおろし「猫と落語」グッズはウェブストア「鹿鳴商店」他で絶賛発売中。今回ポストカードとカレンダーのセットを読者1名にプレゼント。応募方法は告知板頁をご覧ください。
ギャラリーエフのお店の前で。駅近!
柳家ほたる・やなぎやほたる
本名=木村茂樹。1976年10月5日生まれ。東京都渋谷区出身。2004年6月、柳家権太楼に入門して「ごん坊」。05年1月楽屋入り。08年二ツ目に昇進し「ほたる」。既婚。左利き。趣味の写真はフォトコンテストに入賞するほどの腕前。出囃子=石段 紋=丸にくくり猿 血液型=B