投資Tips #4:信頼区間の下限をエクセルやスプレッドシートで計算する。
今回はGoogleスプレッドシートを使って月次リターンから信頼区間の下限を求める方法を解説します。
システムや銘柄のパフォーマンスを評価する際に、リターンの信頼区間を計算することは重要です。この記事ではGoogleスプレッドシートを使用して、月次リターンから信頼区間の下限を求める方法を解説します。
前提条件:10年分、120ヶ月の月次リターンがある前提で解説します。日次データを使うとn数が増えるのですがデータの前処理が必要となるため月次データとして進めます。
1行目(A1セルとB1セル)には、ファンド名を入力します。
A列(A2からA121)に日付を入力します。
**B列(B2からB121)**に対応する月次リターンを入力します。
ステップ1:データの入力
Googleスプレッドシートを開きます。
A1セルにファンド名を入力します(例:ファンド名)。
B1セルにも同じファンド名または「月次リターン」を入力します。
A2セルからA121セルに月次の日付を入力します(例:2022/01/31、2022/02/28など)。
B2セルからB121セルに対応する月次リターンをパーセンテージで入力します(例:2%、-1.5%、3%など)。
ステップ2:平均リターンの計算
データの下の空いているセル(例:B123セル)に移動します(B122セルはタイトルとして「平均リターン」と入力しておくと分かりやすいです)。
平均リターンを計算するために、以下の数式を入力します:
=AVERAGE(B2:B121)
Enterキーを押すと、平均リターンが表示されます。
ステップ3:標準偏差の計算
別の空いているセル(例:B125セル)に移動します(B124セルはタイトルとして「標準偏差」と入力)。
標準偏差を計算するために、以下の数式を入力します:
=STDEV(B2:B121)
Enterキーを押して、標準偏差を取得します。
ステップ4:サンプルサイズの取得
別のセル(例:B127セル)に移動します(B126セルはタイトルとして「サンプルサイズ」と入力)。
サンプルサイズ(データの件数)を計算するために、以下の数式を入力します:
=COUNT(B2:B121)
Enterキーを押して、サンプルサイズを表示します。
ステップ5:信頼係数の設定
信頼区間を計算するためには、信頼係数(Z値)が必要です。一般的な信頼水準と対応するZ値は以下の通りです:
90%信頼区間:Z = 1.645
95%信頼区間:Z = 1.96
99%信頼区間:Z = 2.576
ここでは、95%信頼区間(Z = 1.96)を使用します。
ステップ6:標準誤差の計算
別のセル(例:B129セル)に移動します(B128セルはタイトルとして「標準誤差」と入力)。
標準誤差を計算するために、以下の数式を入力します:
=B125 / SQRT(B127)
B125セルは標準偏差の値。
B127セルはサンプルサイズの値。
Enterキーを押して、標準誤差を取得します。
ステップ7:信頼区間の上限と下限の計算
上限の計算
別のセル(例:B131セル)に移動します(B130セルはタイトルとして「信頼区間の上限」と入力)。
信頼区間の上限を計算するために、以下の数式を入力します:
=B123 + 1.96 * B129
B123セルは平均リターンの値。
B129セルは標準誤差の値。
Enterキーを押して、上限を取得します。
下限の計算
別のセル(例:B133セル)に移動します(B132セルはタイトルとして「信頼区間の下限」と入力)。
信頼区間の下限を計算するために、以下の数式を入力します:
=B123 - 1.96 * B129
Enterキーを押して、下限を取得します。
ステップ8:結果の解釈
**信頼区間の上限(B131セル)と下限(B133セル)**は、指定した信頼水準で予測される月次リターンの範囲を示します。
これにより、投資ファンドのリターンが将来的にどの程度変動する可能性があるかを理解できます。
まとめ
以上の手順で、Googleスプレッドシートを使用して投資ファンドの月次リターンから信頼区間を計算する方法を解説しました。データ範囲をB2:B121と指定することで、10年間(120カ月)の月次リターンを正確に分析できます。信頼区間は、投資のリスク評価やポートフォリオの最適化に役立つ重要な統計指標です。ぜひ活用してみてください。