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安倍総理の星野源コラボはなぜ失敗したか


完全なる失敗でした。

日曜の朝、安倍総理の個人アカウントで唐突に投稿された、星野源との『勝手にコラボ』動画。たちまちネット民の怒りを買いました。

朝日新聞「賛否、次々」

デイリースポーツ「批判リプライが殺到 「何様のつもり?」」

J-CAST 「「総理アタマ大丈夫?」ネット民、怒りと失望の声」

辛辣です。

もちろん、もともと政治的スタンスとして総理を支持しない人たち、いわゆる反アベのアカウントがここぞとばかりに批判している部分もあります。

しかし、その立場にいない自分ですら、今回の動画にはセンスを感じませんでした。

政治的な内容批評は既にいろいろ言われているので、それ以外の視点をお話しします。

“土俵に乗る”覚悟と歩み寄り

今回、自分が強く感じたのは、総理(サイド)のやっつけ感でした。

本来、コラボ動画の楽しみ方は、元ネタ(星野源)を利用して素敵なハーモニーや疑似トークなどを繰り広げる点にあります。

たとえ政治家であろうと、コラボする側には、ただ合成すればいいわけではなく、その土俵(SNS)に合わせた発信の仕方が求められます。

2日前に投稿された「ヒカキン×小池知事」の動画。視聴回数は現時点で810万を超え、いいねは44万という、政治コンテンツでは異例の数字です。

小池都知事は、喋り方も雰囲気も普段の会見からは変えてきています。

定例会見よりも平易な言葉を使い、よりフランクな姿勢でヒカキンの質問に答えています。それは、小池知事がYouTubeという媒体、そして若者から高い支持を集める「ヒカキン動画」という土俵に歩み寄っている=いい意味でおもねっていると言えます。だからこそ、ヒカキンファンも「よく来たな」と歓迎し、好意的にコロナ問題の現状へ耳を傾けたのでしょう。

また、過去に星野源とコラボした好例としては、キャロライン・ケネディ元駐日大使の「恋ダンス」も挙げることができます。

あのアメリカ合衆国の駐日大使が、あのケネディ一族が、ちゃんと振り付けも覚えて、サンタの格好もして、大真面目にコラボしている。だからこそチャーミングなのです。エンタメコンテンツは、本気で身を投じてこそ楽しんでもらったり、笑ってもらえるのです。

“本気で参加していない感”が見透かされた

ところが、安倍総理のほうは星野源チャレンジの何が面白いのか、側近もよく分からないまま特段歩み寄ることもなくコラボした印象を受けました。

「おうちにいます」的な絵を何カットか撮ってアップすればいい。コラボ動画をそんなふうに思われたとしたら、元映像屋としては悲しくなります。ソファーに座って犬を抱いて、マグカップをすすって、読書して、という映像は、まるでレンタルハウスに行って30分で撮影した安っぽい演歌歌手のPVみたいでした。

総理も側近も、エンタメに乗る事を舐めていなかったでしょうか。

流行り物に乗る事自体は何も悪くありません。しかし、流行り物に乗っかることで若者へコロナへのメッセージを発信したいという信念が本当にあったのならば、大真面目にコラボの世界へ飛び込んでいただきたかったです。

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