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AIは本当に素晴らしいのか?    Chatgptの沼にはまった話



最近はAIが話題です。巷ではAIが作った動画が凄いとか、仕事に使ったら効率が爆上げしたという話を聞きます。でも、AIと直接の関わりが無い人たちにとっては、それは単なるビジネスニュースの一つに過ぎません。私もそうでした。
サブスクリクション契約の解除ができなくなるまでは。
これはその時の体験談です。


気づいたのは昨年の夏


コロナが発生して半年が経った頃、私は英字新聞や科学雑誌などのオンライン記事の定期購読をするようになりました。日本の情報が周回遅れ過ぎて、海外の情報が欲しかったからです。
(偉そうに書きましたが、私、英語は苦手です。当時からGoogle翻訳やDeeple翻訳頼りです (;^_^)

その後、主要メディアはどこも同じだと判って、独立系ジャーナリストの記事を読むようになり、英字新聞や科学誌の購読は順次解約しました。
ところが、昨年の8月、クレジットカードの明細書にニューヨークタイムズ紙の購読料8㌦(約1200円)だけが残っていることに気が付いたのです。

↓ ニューヨークタイムズ紙

私が最初に思ったのは、
「あれ? 変だな。私、ニューヨークタイムズ紙の記事は読んでないのに・・・」
です。

サービスのサブスク契約をしていると、頻繁に宣伝メールが届きます。

「今週のニューヨークタイムズ紙の特集記事は○○についてです。契約をバージョンアップすれば過去に掲載した分も含めて全ての記事が読めますよ。さあ、今すぐに ☟ をクリックしましょう!」

な~んて感じのが毎日届くので、はっきり言ってウザいんですよ。けれど、最近はそんなメールを読んだ覚えがありません。

ニューヨークタイムズ紙のホームページにアクセスしましたが、やはり、読めるのは無料記事だけ。
メールボックスを調べてみると、ニューヨークタイムズ紙からのメールは去年の2月が最後で、それ以降は送られてきていません。おそらく、その頃から、無料記事しか読めなくなっていたのだと思います。


最初はチャットボット


「なにかのトラブルかなぁ。まずはこの状況を解決しなきゃ」
と思いました。
ニューヨークタイムズ紙のH.P.を開くと、「質問はチャッドポッドで承ります」とあります。で、素直に従うと、

「やあ、こんにちは! 私は Oliiです。今日はどんなお手伝が必要ですか?」

妙に馴れ馴れしい性別不明なキャラが登場
私が、記事が読めなくなったので解決してほしいと打ち込むますと、

「それは困った状況ですね。では、いくつか質問させてください。貴方のアカウント番号は正しいですか? 以前、他のメールアドレスでアクセスしたことはありませんか?」

と、逆に確認を求められました。 答えはもちろん「ありません」
その他の細々したOliiからの質問に答え、重ねて原因を調べてほしいと頼みました。返信はこんな感じ☟

「提案ですが、アカウント情報を別のメールアドレスか電話番号に変更するのはどうでしょうか? 上手くいくことがありますので、良かったら試してみてください。では、楽しい一日をお過ごしください! さようなら」

😒

絶対に解決しないだろうなと思いながらも、Oliiの指示に従ってみました。IDのメールメールアドレを変更して再度試したけれど、やっぱり無料記事しか読めません。

もう一度、Chat。

「は~い、こんにちは。私の名前はDonelです。なんでも質問してください」

最初のChatの記録が残っているはずだけど、交信番号を書き留めてなかったので、また最初から状況を説明。で、Donelと何度かやりとりした後、貰った返事は、

「こちらでは解決できません。メールをするか、電話をお使いください」


メールも電話もダメ


H.P.にあるアドレスにメールすると、
「メールを受け取りました。返信にはお時間がかかりますので、しばらくお待ちください。なお、こちらのアドレスは送信専用ですので、御返信いただけません。」
の確認メールが届きました。が、数日たっても何も言ってきません。

返信を催促すると、

こちらでは解決できかねます。更なる発展(?)をご希望なら、こちらにお電話ください。☟」

そこをクリックすると電話によるお問い合わせのページに飛び、米国の地域ごとに、東部と中部、西部の電話番号が現れました。
「外国にお住まいの方はこちらを ☟」
をクリックすると、ヨーロッパ圏、アジア圏、アフリカ圏などが表示され、アジアを開くと国ごとの番号が載っています。

おっ、日本の番号もあるやん! 

日本時間の午後8時からということで、その時間を待って電話してみました。
が、
おかけになっ電話番号は現在使われておりません
🤬


不安的中


『ああ、面倒くさい! もういい、解約しちゃえ!』

記事は読めないし修正もできないようなので契約を解約したいです、という
メールを送りましたが、
弊社ではメールでの解約要請を受け付けていません。御自分のアカウントから解約してください」
というそっけない返信が届いただけでした。


『こんなにトラブった状態で解約できるんだろうか・・』

そもそも、この手のサブスクリクション契約は、わざと解約し難く設定してあります。なので、事前に検索し、解約の手順を確認してから臨みました。

① ニューヨークタイムズ紙のH.P.からマイアカウントにログインし、
② マイ・サブスクリクションの一番下の欄にある「その他」をクリックすると、
③ 「解約」が表示される

OK、わかったわ。
ログインして、
マイ・サブスクリクションの・・・。
あれっ?? 「その他」なんて無いぞ! いや、そもそもマイ・サブスクリクション契約、そのものが無いんだけど・・。
なぜ? どうして? 

鈍い私は、ここでようやく理解しました。

私のアカウントでは、いつの間にかサブスクリクション契約が消えていたのです。だから、無料記事しか読めないし、宣伝メールも送られてこなかった。でも、解約したわけではないので、購読料の8㌦は毎月私のクレジットカードから支払われ続けている。
という状況なのです。

原因は不明。

IDやパスワードなどを変更したことはないですし、ネット環境も変わっていません。同時期にに契約した他の媒体はちゃんと読めていたし、その解約もスムーズにできました。ニューヨークタイムズ紙だけが、なぜか突然、勝手に変えられていたのです。

このままじゃ、8㌦づつ捨てることになっちゃう。どうにかしなきゃ!

😰


クレームが届かない!


ニューヨークタイムズ紙へは何度もメールを送りました。
解約できない状況を説明し、ホームページにある日本の電話番号は通じないことを伝え、別の電話番号を知らせるか、日本語が話せるスタッフに電話をよこすよう頼みました。
でも、その都度、
「メールを受け取りました。返信にはお時間がかかりますので、しばらくお待ちください。なお、こちらのアドレスは送信専用ですので、御返信いただけません」
というメールが届くだけ。

待てど暮らせどその後の返信は無く、催促すると、
「弊社はメールでの解約は受け付けておりません。ご自分のアカウントで解約するか、電話で要請ください。電話番号はこちら ☟ をご覧ください。」
という定例文が返ってくる・・・

こんなことを何度も繰り返し、8㌦が引き落とされる状態が続きました。
私が送った10通以上のメールは無視されたことから、おそらく、ニューヨークタイムズ紙はチャットポッドもメールもAIに任せているのだろうと推測しました。まるで無限ループをさ迷っているみたいです。

どうやったら、AIではなく人間に読んでもらえるのか? 

米国の番号へ電話をかけようかと思いましたが、私の英語力ではうまく伝えられそうにありません。それに、何より、高い電話料金を払うのはごめんです。だって、私は全く悪くないんですもん。


カード会社に聞いてみた


毎月の購読料は相変わらず引き落とされていきます。クレジットカード会社に事情を説明してみましたが、カード会社が支払いを止めることはできないと言われました。そして、
御希望なら、カードの番号を変更して再発行することはできます。その場合、ニューヨークタイムズ紙への支払いは止まりますが、ニューヨークタイムズ社様からお客様へ引き落とし不能による督促状が届くと思います」
と説明されました。

督促メールもニューヨークタイムズ社のAIが作るのでしょうから、そこから新たにメールをやり取りするとなると、余計に時間がかかりそうです。また、番号を変えられるのは一度きりで、しかも私の個人情報の記録として残ると聞くと依頼するのは躊躇われます。

『やっぱり、電話しかないかなぁ。気が重い・・・』

何か良い方法がないかと探しているうちに、ある記事が目に留まりました。


ある裁判


それは、一人の女性とウォール・ストリート・ジャーナル社の裁判の記事でした。
彼女は数年前にウォール・ストリート・ジャーナル社を購読していたのですが、解約した後も契約時に提供した自分の情報が社のデータに残っていることを知り、ウォール・ストリート・ジャーナル社へ自分の個人情報をアカウントごと削除するよう要求して裁判を起こしたのでした。
ウォール・ストリート・ジャーナル社は、契約を解除した後もアカウント情報を保存することで、次回の購読手続きが簡単になると主張。女性は、それは違法と主張。両者譲らず、裁判は連保最高裁まで進み、2023年秋に女性の勝訴が確定しました。

連保最高裁の判決ですので、米国内の他の新聞社や雑誌社はもちろん、サブスクリクション契約でサービスを提供している全ての企業が影響を受けました。つまり、企業は、提供された個人情報を解約後も保存すると契約者に告げねばならず、告知していない場合は全ての個人情報の削除に応じなければならなくなったのです。

『これ、使えるかも!』
🤩

そう確信した私は、「ニューヨークタイムズ紙でアカウント情報を削除する方法」を検索しました。すると、ニューヨークタイムズ紙のH..P.からは辿り着けない「アカウント情報の削除 or 購読契約の解除を要求する」サイトが表示されました。もちろん、すぐにメールを送りましたが、既に12月のクリスマスシーズンに入っており、返信がきたのは年明けでした。

「こんにちは。
残念ながら、お客様の身元を確認できなかったのでリクエストは拒否されました。この決定について議論したい場合、またはご質問や苦情がある場合は、下記のアドレスへメールしてください。なお、お客様には、お住まいの国または地域のデータ保護当局に苦情を申し立て、司法的救済を求める権利があります。
弊社のデータ処理方法についての詳細は、云々・・・」

ようやく人間が対応してくれそうな感じのメールが来た!
この機会は逃せない。


解決

指定されたアドレスに、これまでの経緯を書いたメールを送り、待つこと数日。Ashley K氏と名乗る人からメールが来ました。

「こんにちは。Ashley Kです。
この度はご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。しかし、ご入力いただいたメールアドレスのどちらでも、あなたの有効な購読を見つけることができませんでした。購読に関連する別のメールアドレスはありますか? 

お客様の購読を確認する方法は他にもいくつかあります。
例えば、Apple/iTunes経由で購入された場合 云々・・
Google Play経由で購読された場合、云々・・
PayPal経由で購読の場合、云々・・ 」

私の返信はこうです。

「なぜ私の購読情報が正しく反映されないかはわかりませんが、おそらく、そちらのシステムの問題だと思います。私がIDに使ったメールアドレスは上の二つだけで、今回は二つのアドレスから同じ文章を送りました。それで私のアカウントであると承認してもらえませんか?
私の希望は一日でも早いアカウント情報が削除、もしくは購読契約を解除です。
ちなみに、クレジットカードの下4桁の番号は○○○○で、直近の引き落とし日は1月4日、××ー××ー×××ー×××× という番号が振られています」

翌々日、私の住所とクレジットカードのフル番号と直近3回の引き落とし日を知らせてほしいというメールが届き、返信しました。そして、それから2日後の1月27日、待ちに待ったメールをようやく受け取りました。

「ご確認ありがとうございます。
リクエスト通り、ニュース購読をキャンセルしました。2024年2月2日(金)の請求で終了いたします。残念ながら、過去の期間については返金やクレジットの発行はできません。ご不明な点がございましたら、ご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
Ashley K.」

やれやれ・・。
ニューヨークタイムズ紙が読めなくなってから、一年が経っていました。
😓

どんなに素晴らしい技術であっても、使う人の側に立ってないとダメよね。

終わり

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