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トプカプ宮殿と、ここにしかないもの
美術展と言ったら、シャガール、ピカソ、クリムト、マティス、スーラ、ゴッホ...etc!??
祖父の家は、今思えば、東洋古美術だらけだったが、
生まれ育った実家は、家のインテリアも、庭も、流れている音楽も、朝ごはんも、
全体的に、なぜかヨーロッパ文化スタイルだったのと(教育方針と家父長制は超日本式だったがw)、
この人生、これまで何となく、芸術の都と言えば、ヨーロッパだろうと、ヨーロッパの芸術作品ばかり、沢山眺めてきたのだけれども....、
ここにきて、、
あまり身近に感じてこなかった
"東洋古美術"の魅力に気がついてしまった!!
まさに、「灯台下暗し」である
あいにく漢字テストが昔から苦手だったのと、普段、本を読む時も何となく想像して読むのが当たり前になっている身としては、残念ながら、
東洋古美術の作品の説明は、漢字だらけで、殆ど理解不能!
...なのだが、
作品自体の、ユニークさ、物語性、地味でもなぜか綺麗で緻密な技術...
すっかり魅了されてしまった!!笑
こんなに長く日本に住んでいたのに、なぜ、もっと早く気づかなかったのだろうとも思うが、
今からでも遅くない
というわけで、作品の説明書きどころか、美術館の名称からして難しい漢字が多い、都内の東洋古美術系の美術館を、最近、ポツポツ訪れている
それらの美術館は、欧米〜現代アートを展示しているようなギャラリー・大型美術館とは異なり、
客層がなぜか年配の方が多い
平日に行っても、まぁまぁ混んでいる
ゆっくり観る人が多い
館内にベンチが多い(素晴らしい!)
受付〜美術館の人たちが丁寧(ホテルのコンシェルジェみたい!と思った)
この5つの共通点が多いことがわかった
今回訪れたのは、東京都千代田区丸の内にある出光美術館(有楽町〜日比谷駅より徒歩5分くらい)
2025年1月よりビル建て直しのため、しばらく休館するとのこと。
休館前の最後の展覧会である「日本・トルコ外交関係樹立100周年記念 トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵 名宝の競演」に友人と行ってみた。(まるで昔の日本の会社の役職名みたいに長い展覧会の名前が、また愛嬌がある!w)
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こちらの美術館は、前回、絵巻展が開催されていた時に、知人が連れて行ってくださり、大変良かったので再訪。
江戸の絵巻展も面白かったのだけれども、何より、常設の展示室5「陶片室」が素晴らしい!
「陶片室(とうへんしつ)」は、1966年の開館時に、古陶磁を学ぶための展示室として開設されたそうで、名前の通り、陶器の破片が展示されている。
正確には、展示されているというよりも、
”みたかったら、自分で引き出しを開けて、みてください”というスタイルで、
横長の引き出しを開けると、日本だけでなく、朝鮮、中国、ベトナム、タイ、イラン、エジプト…様々なエリアから発見された陶片を、鑑賞することができるのだ!
誰かの机の引き出しを勝手に開けているような、
いいのかな、いいのかな、みたいな気分でワクワクしながら、
一段一段開けて、
これは日本っぽいな、これは韓国っぽいとか、エリアの当てっこをしながら観るのが実に楽しい。(一緒に行った人を相当、待たせてしまったのは申し訳なかったが…)
出光美術館は、ロビー以外は、写真撮影NGなので、こちらの公式ホームページに「陶片室」の詳細が書かれているので、ご覧あそばせ。
肝心の展覧会は、前半がトルコのトプカプ宮殿の名品が並んでいて、中盤あたりから、中国〜日本という割合に見受けられた。
数が、ごそっとあるわけではないけれども、
一点一点、細かい装飾がされたものが多く、模様をじっくり見て、あれこれ想像するのは、この上なく幸せな時間であった
トルコ(オスマン帝国時代)のタイルや陶器は、1年前ぐらいに、飛行機の諸事情で、突如、カタールのイスラーム美術館で、たっぷり観たので、
”あ、どうも、ご無沙汰しています”って感じだった
一緒にきた友人は、いつの間にか、同じ展示室にはおらず、
この美術館は初めてだと言っていたため、
「陶片室」をじっくり楽しんでいるだろうと想像した
じっくり堪能して、何ならスケッチまでして、展示室を出て友人を探した
ロビーのソファーに、ちょこんと座っている友人を発見した
今、座ったというより、ずっとそこに座っていた雰囲気だった…
その時、気がついた
友人が、陶器の王国・ポルトガル出身であることを...
しまった!と思った
私としたことが、、、
BORDALLO PINHEIRO(ボルダロ・ピニェイロ)、
Vista Alegre(ヴィスタ・アレグレ)といった、
上品で色も柄も可愛らしい、有名ポルトガル高級磁器に比べたら…
陶片室にあったのは、茶色か、白か、薄緑か…なんか地味だっただろうなと。。。
しかも、イギリスの美大で出会った彼女からしたら、企画展も、
大英博物館あたりで同様のものを見尽くしたものだったのではないだろうか(彼女の方が長くイギリスにいたため)…
頭の中で、大反省会を開き始めて、
凍りつきつつ、友人に声をかけると...
友人が、言った
「This view is amazing!(この景色は、なんて素敵なんでしょう!)」
と、ロビーのガラス張りの大きな窓からみえる景色を指差している
緑いっぱいの皇居、
小粒のようなバスや車が無音で通っている
9階から一望できる、
その東京ど真ん中の景色は、確かにamazing
ここでしか観られない景色
「Yes! It's very beautiful, isn't?(そうだよね、とっても、きれいだよね)」
そうそう、美術館は、
展示されているものだけを楽しむ場所じゃないから
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vol.6 2024.12.18
後日談:
その後、友人に展示の感想も聞いたら、I thought it was good and interestingだったらしい。ありがとう、友よ!笑
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