【会社のビジョンをアートに】 KDDI総合研究所
本日は、これまでVision Art ワークショップを一緒に行った「クライアント × アーティスト」の対談をお届けします。
今回は、「KDDI総合研究所(KDDI research atelier)」の矢崎さんと、壁画アーティストWHOLE9のお二人です!
自分ごととして捉えられるオフィスにしたい
ー 早速ですが、なぜVision Art ワークショップを行いたい思ったのか、という所から教えていただけますか。
【矢崎(KDDI総合研究所)】
はい、この「KDDI research atelier(以下、アトリエ)」は2020年12月にオープンしましたが、一部のメンバーが立ち上げに携わっていたので、ほとんどの人が「急に場所や組織が変わって、ここは一体何なんだろう」と置いてけぼりになっていました。そこで、このアトリエをみんなに「自分の場所や組織として捉えて欲しい」と思い、「私たちはどうあるべきか」について話すワークショップをやりたいと思いました。
ウォールアートを入れたかった理由も、何か物を生み出すアトリエは、アートとの親和性が高いと思ったからです。「ビジョンをアートにしてオフィスに描く」ということをTokyoDexさんがやっているとお聞きし、ご依頼させていただきました。
ー ありがとうございます。ワークショップでは、「今後アトリエにはどのような人に来てもらいたいか」を話し、最後に「ここで楽しい時間を過ごしてもらえるには、どうしたら良いか」について考えましたね。ワークショップをやって、いかがでしたか?
【矢崎(KDDI総合研究所)】
感想としては「凄く楽しかった」です。参加したメンバーもほぼ全員同じ感想でした。今まで様々なワークショップをやってきたのですが、このようなものはなかったです。
ー 嬉しいです。WHOLE9のお二人は大阪からオンラインでワークショップに参加して頂きましたが、どうでしたか?
【hitch(WHOLE9)】
僕も楽しかったです!こういうワークショップは不自然になることも心配していましたが、自分の中にある物とワークショップの内容を無理なく繋げられました。とても珍しいと思います。
【simo(WHOLE9)】
最初に絵を使ったゲームをして頭ほぐしていくやり方など、みんなの想像の刺激の仕方も面白かったです。
【矢崎(KDDI総合研究所)】
それは私も思いました。ワークショップの導入の仕方など、設計が凄く良かったです。
具象と抽象を表現できるWHOLE9
ー 様々なアーティストを提案させて頂きましたが、なぜWHOLE9を選ばれたのか、改めて教えてください。
【矢崎(KDDI総合研究所)】
お二人の絵は、「これはなんだろう?」と思わせるようなインパクトがありました。人の顔や動物の顔などの具体的な物と抽象的な物がうまく融合されていて、色や線がダイナミックなのも印象的でした。
他にもアーティストの候補を見せて頂きましたが、「WHOLE9で是非お願いします!」となりました。
【Ayako(ToyoDex)】
そうですね。ここのアトリエ自体が様々な物が融合する場所だと思うので、WHOLE9のアートも「抽象的と具体的なものの、両方の表現があるのがいいね」となり、お二人をおすすめをさせて頂きました。
【hitch(WHOLE9)】
ありがとうございます!バッチリだと思います(笑)!
アイデンティティとなるような場所になった
ー ワークショップをやった前と後で、何か変化はありましたか?
【矢崎(KDDI総合研究所)】
社員の中で「どういう人に来てもらいたいか」といった共通認識が高まったと思います。元々色んな方に来て頂きたい場所なのですが、「皆さん、どうぞ来て下さい」とお迎えできる姿勢も段々と定着してきたのではないかなと思います。また、多くの社員が一度に集まる機会がなかったのですが、みんなでコミュニケーションを取る良いきっかけにもなりました。
ー 完成した絵に対して、何か感想はありましたか?
【矢崎(KDDI総合研究所)】
ワークショップを行って、ここで働く社員のアイディアをアートに反映して頂いたおかげで、アイデンティティになれる場所ができたと思います。すごく雰囲気が変わって、締まった感じがあると思います。
ワークショップに参加した他の社員も「こういうアートになったのか」と感心して見ていました。また、「このモチーフはどういう意味ですか?」と興味を持って聞いてもらえることもあります。
コロナで来客者の感想を聞く機会はまだないですが、来客者ともこの壁を見ながら話ができる場所を作りたくて、アートの前にテーブルを置きました。
ワークショップでの様々な意見をアートに
ー WHOLE9は、ワークショップで出た様々なアイディアを一つの作品としてまとめるのは難しいのではないかと思いますが、葛藤はありましたか?
【simo(WHOLE9)】
たしかに、皆さん色んなことを言っていて、アトリエに来て欲しい人もバラバラでした。なので、普段僕らは大きいモチーフを描くことが多いですが、今回は色々なアイディアを取り入れるためにモチーフを分散させたり、色や流れが交差する形にしたりしました。描き方のバリュエーションが増えて、僕たちにとっても新鮮でしたね。
【hitch(WHOLE9)】
ワークショップからは、沢山のインスピレーションをもらいました。例えば、「自分と全然違う人との意見が混ざり合って、高いレベルのアイディアを生み出せる」という意見が印象的でしたが、今回はこれをまさに表現できたと思います。自分たちにはないワークショップからのアイディアと、自分たちに元々あったアイディアを混ぜ合わせて、僕たちも一緒にビジョンに参加できたという感覚があります。
【Ayako(ToyoDex)】
お二人のやり方とワークショップのやり方が、ちょうどフィットしたのですね。
【simo(WHOLE9)】
そうですね。僕たちもワークショップに参加できて良かったです。
対立するものを、グラデーションで表現
ー 描いたモチーフについて、説明していただけますか?
【hitch(WHOLE9)】
ワークショップで「性質が違う物が合わさる」という意見があったのですが、「性質が違う物」を二項対立にして「危険・安全」や、「過去・未来」を描きました。危険な物としては「ジャガー・ヘビ」、対して平和は「ハト」。原始なものとしては「ワラビ・ソテツ」、対して人が手を入れた物として「イネ」などを描きました。
【simo(WHOLE9)】
参加者のスケッチの中にワイナリーがあり、「発酵する」というキーワードもあったので、グツグツした感じを描きました。また、「境界がない」というのワードが印象的だったので、描いた後にボヤかしたり、色が溶け合っている所があったりと、面白く描けました。
【矢崎(KDDI総合研究所)】
描いた方に説明していただくと想いが伝わり、より理解が深まりますね。他の作品と比べて、描き方での違いはありましたか?
【hitch(WHOLE9)】
「境界がない」という言葉がとてもインスピレーションになったので、境界を意図的に作らないということを徹底しました。僕が描いたモチーフの上から柔らかいグレデーションをかけたり、モチーフ自体がグラデーションしていったりするのは、普段あまりやらないです。
ー simoさんは普段自然の物から色のインスピレーションを受けるとおっしゃっていましたが、色で工夫した点はありますか?
【simo(WHOLE9)】
空間に馴染む絵を描きたいので、青やオレンジ、緑もこの椅子と馴染むようにしました。また、白い壁は奥まで続いているので、空間と合わせるように、余白を残したりしました。
【Ayako(ToyoDex)】
ワークショップのアイディアをもとにアートを作ると、「自分が貢献した」という気持ちが強くなるので、愛着が湧きやすいというのはよく聞きます。KDDI総合研究所の他の皆さんの感想も気になりますね!
WHOLE9から、KDDI総合研究所へメッセージ
ー KDDI総合研究所の社員の方々へ、一言お願いします!
【simo(WHOLE9)】
今回はドーンと大きなモチーフがある絵ではないので、見るその時々の気分で視点も変わって、「ここはこういう風に描いているんだ」と長く楽しんでもらえたらと思います。
【hitch(WHOLE9)】
アート作品を通して「自分のオフィスだ!」と思ってもらえることが今回の僕たちの使命だったと思うので、それが果たせていたら凄くいいなと思います。「ここは私が言ったアレだ」とか「ここは君が言ったアレだよね」といった話が生まれると嬉しいです。また、「そういえばアーティストたちもワークショップにいたよね」と思い返してもらえたら、それも嬉しいです。
僕たちは描いた後にまたオフィスを訪れることはほぼないので、こういった機会は本当に貴重でした。ありがとうございました!
KDDI総合研究所の矢崎さん、WHOLE9のhitchさんとsimoさん、本当にありがとうございました!
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