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海外建設プロジェクトマネジメントのお仕事(2) ー非営利系事業ー | 東京デザインピーエム
前記事では民間の海外建設プロジェクトのプロセスについて書きましたが、今回は非営利系のプロセスについてです。
最初に断っておきますが、弊社では非営利系プロジェクトに対応できないケースがあるので、あくまでも情報としての記事になります。
対応しづらいと言う事ではなく、事業の特性上、私たちが関わる事が出来ないケースが多々あるためです。
非営利系はおそらく途上国が対象になると思いますが、日本国政府系(JICA含む)のODA絡みの補助対象事業、国際機関の投融資事業、非営利組織の寄付金を活用した事業など、一言で非営利系と言ってもかなり多岐に渡ります。
日本国政府系では外務省や他省庁、JICAでは調査業務等と草の根事業では全く事業の特性が異なります。
私はカンボジアをはじめ、途上国での民間の建設プロジェクトに設計・工事監理者として多く携わってきましたが、途上国の特性から政府系補助金事業や草の根事業、非営利組織の寄付事業のプロジェクトにもいくつか携わってきました。
その際、途上国での建設プロジェクトを考えているが、どこの設計会社や工事会社が対応してくれるかわからないと言う問い合わせを多くいただきました。
特に非営利系組織は予算が少ない事が多く、補助金や寄付金で建設費用を何とか確保出来ても、建築設計・工事監理費まで捻出するのが難しいと言うところがほとんどなので、建設プロジェクトマネジメントと言う、私たちの建設コンサルタントにまで声がかかる事はほとんどありません。
建設はするけど、建築の空間や機能についてそんなにこだわっていない、若しくは、専門的知識が乏しいために、とりあえず箱を作っておけば良いと考えている団体の方々も多いように思います。
これは私たち専門家からすると本当にもったいない事で、途上国だからこそ持続可能な建築が必要なのではないかと、私の経験からそのように思えます。
建物のデザインは人の感性に大きな影響を与えるものなので、せっかく建物を建てるのであれば、単なる箱ではなく、低予算でも工夫しながら良い建物も計画したいものです。
ちなみにカンボジアでは、イタリア系の非営利系建築設計事務所があったので、そのようなところに相談してみるのも良いかも知れません。
非営利系とは言え、ローコストでとても良いデザインをされている組織です。
さて、政府系の補助金事業に話を絞っていきますが、日本国政府だけでなく途上国側とも申請・調整業務が多く発生するのがこの事業の特徴で、その作業に莫大な時間を要するものです。
プロジェクト進行中や完了後も報告業務が絶えずあるので、建設コンサルタントを活用すると事業はスムーズに進むでしょう。
ただ、一般の建設プロジェクトマネジメントを行う会社では、このような特殊なノウハウをあまり待ち合わせていないと思うので、海外で多く建設コンサルタントを行った実績のある会社を選定しないといけません。
何故なら、どこの会社が建設コンサルティングするのかで政府の審査に大きく影響するからです。
民間プロジェクトで私たちが行う事業は…
① 事前調査
② 建築設計事務所の調査・サポート
③ 工事監理会社の調査・サポート
④ 建設会社の調査・サポート
⑤ ①〜④までをトータルでコーディネート
大体、以上の5つのプロセスに分かれると記しましたが、非営利系では…
⓪補助金申請のための調査・サポート
①〜⑤は民間プロジェクトと同じ
⑥活動報告業務 等
となり、⓪と⑥の政府絡みが増えますが、基本的には民間プロジェクトとやる事はあまり変わりません。
①〜⑤の内容は前記事をご確認ください。
最後に私がカンボジアの地方で携わった医療施設のプロジェクトで感じた事を記したいと思います。
皆さんは途上国に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
途上国なので建設技術もIT化も遅れているイメージがあるでしょう。
実際、そう言う部分も多くあるのが現実ですが、実は途上国での社会貢献と言う名の各国の陣取り合戦が行われている部分もあり、カンボジアの地方の医療施設では、敷地内に複数棟の病院などが建っていて、それぞれ支援した国が異なります。
そこでは6カ国程の支援が入っているのですが、病院を建てれば医療機器もその国のものが大体入るわけですが、ひとつの医療施設にバラバラのシステムが入っていると非効率で、使う人たちにとっても不便極まりないですよね。
まあ、最新の医療機器の展示会のようになってしまうのですが、ある意味、日本よりも進んだ環境がいきなり整備される事も多くあるわけです。
日本だけが社会貢献しているのではなく、支援する途上国側の事情や他国の動向にも配慮しながら非営利系の施設整備を考えないといけないところが複雑で難しい部分だと言えます。
このような事はよくあるので、政府系の建設プロジェクトに実績のある建設コンサルタントに依頼すべきなのです。
私たちは民間の海外建設プロジェクトマネジメントがメイン事業で、政府系にとりわけ強いわけではありませんが、これから途上国で社会貢献のために建設プロジェクトを考える人のために、ひとつの情報として今回の記事を掲載しておきます。
途上国での建設プロジェクトについては、多くの方が情報がなくてお困りだと思うので、私たちで情報提供できる事があるかも知れませんので、お問い合わせくだされば、何か役立つ情報を提供する事が出来るかも知れません。
社会に役立つ事であれば、快く対応させていただきますので、下記弊社メールアドレス先へ相談内容をお送りください。
info アットマーク tokyodesignpm.com (アットマークを@に置き換えてください)
せっかくなら、途上国にとって役に立つ、贅沢で無くても、さすが日本の支援だと言われる施設整備が出来ると良いですね。
Tokyo Design PM Inc, フネイ リーチェン