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建設プロジェクトマネジメントにおける建築設計事務所の選定(1) -国内編- | 東京デザインピーエム

皆さんは建築家と建築士は違いがあると思いますか?

建築物を設計するにあたって、規模や構造によって必要な資格は分かれていて、建築設計を生業とする場合は、都道府県の建築士事務所協会へ木造や一級・二級建築士事務所の登録をしなければなりません。

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上図を参照していただきますと、有資格者で無くても設計できる項目がありますね。
つまり、小規模な住宅などは資格が無くても設計する事が可能で、住宅を建てようとする個人の方が設計しても問題ないのです。
ただ、現実的には、建築確認申請や工事の中間・完了検査を受けねばならず、必要な図面を普通の個人の方が作成するのは難しいので、建築設計事務所や工務店の設計の方に依頼する事になるでしょう。

建築家は本来建築士の資格を有していて、法規制をクリアしながら、自らのデザインスキルを活かして良い空間デザインを行うものですが、規模が大きくなれば、意匠分野を担当する建築家、建築家が統括者となって、構造設計者や設備設計者とチームとしてプロジェクトを進めるのが一般的です。

建築家と建築士の違い、本来は建築家が建築士を兼ねるのですが、建築基準法や都市計画法に消防法などをクリアするためには高度な専門知識が必要で、規模が大きくなれば尚更なので、このような実務的な事に対応できない建築家は意外と多くいるものです。

建築家に依頼する場合は別の建築設計事務所がサポートに入るケースがあり、基本デザインとデザイン監修は建築家、その他の実施設計や工事監理は別の建築設計事務所となるわけです。
一方、組織建築設計事務所の場合は、建築デザインと実務的な実施設計や工事監理まで一貫して業務を行うのが一般的です。
デザインを優先するプロジェクトでは、建築家+実務的な建築設計事務所、総合力を優先する場合は組織建築設計事務所となる傾向にあります。

私も一級建築士ですが、デザインを考える時は感性を優先して仕事に取り組みますが、法的な部分に対応する時は実務脳に切り替えてやるので、一連の設計業務のはずですが、脳の使う部分、つまり左脳と右脳を切り替えながら取り組む感じになって本当に大変なので、デザインに特化した建築家(建築デザイナーと表現する方が正しいかも知れません)と実務的な建築設計事務所に分かれてしまうのは仕方ない部分かも知れません。

私たちがクライアントのパートナーとして建設プロジェクトマネジメントを行うにあたって、あえて建築家を入れる要素は、デザイン性がかなり高い、若しくは特別な地域性に配慮する必要がある場合などになるでしょう。

結論としては…
①特定の用途に強み、実績がある。
②エリア特性を熟知している。
③合理的な(若しくは特徴ある)設計が出来る。
④建築設備など引き渡し後のランニングコストを抑えた、将来改修が容易な設計が出来る。
大まかには以上の4点を総合的に判断する事になり、選定対象となる場合は経営状況も加味する事になります。
建築設備の要素が強い用途の場合は、建築設備設計事務所へ分離発注する事もあります。

以上、国内で建設プロジェクトマネジメントを行う際の建築設計事務所の選定基準について大まかに記しました。
私たちに限らず、事業主が直接発注する場合もいろいろ繋がりがあって設計を依頼するケースもあると思いますが、同様な判断されるのではないでしょうか。

建築家や組織建築設計事務所にとっては竣工するまでが仕事ですが、事業主にとっては竣工後も建物の維持管理で付き合っていかないといけないので、私たちは竣工後のメンテナンスも含めた視点で事業主の建設事業をサポートしています。

Tokyo Design PM Inc, フネイ リーチェン

※画像:公益財団法人建築技術普及センター(建築士の種類別の業務範囲)より

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