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海外建設プロジェクトマネジメントのお仕事(1) -民間事業- | 東京デザインピーエム

日系企業が海外進出するにあたり、当該国の建設事情にあったプロジェクトマネジメントを行うのが私たちのような会社ですが、民間での依頼は店舗系からコンドミニアム、リゾートに製造業などに至るまで多岐に渡ります。
非営利系だと途上国が多いため、当該国の社会課題に見合ったプロジェクト、私は東南アジアでの活動歴が長かったので、公共施設や医療施設など、補助金や寄付に頼ったプロジェクトが多いので、民間と非営利系ではプロセスが全く異なります。

民間プロジェクトで私たちが行う事業は…
① 事前調査
② 建築設計事務所の調査・サポート
③ 工事監理会社の調査・サポート
④ 建設会社の調査・サポート
⑤ ①〜④までをトータルでコーディネート
大体、以上の5つのプロセスに分かれます。

①事前調査
海外進出の検討段階に行うもので、候補地となりそうな敷地のインフラ環境、建築関係法規、建設コストなどの調査・報告を行います。
基本設計はこちらで行う場合もありますし、クライアント側の建築設計事務所で行う事もあります。
建設スケジュールも含めて事業計画書作成のための情報を提供するイメージです。

② 建築設計事務所の調査・サポート
設計作業を日本側の建築設計事務所が行うか、それとも進出先のローカル建築設計事務所で行うか、これはケースバイケースですが、日本同様に開発協議や建築確認申請のような許認可申請があるので、日本側で設計を行う場合はローカル建築設計事務所が実務的な作業をサポートできるようにジョイントすることがをお勧めします。
進出先のローカル建築設計事務所が設計を行う場合は、おそらく日系企業が現地法人をまだ設立していない、若しくは設立中のケースが多く、その場合は現地の駐在員の方がまだいないと思うので、言葉や時差、国民性の違いなどを遠隔でうまくコミュニケーションが取れるように配慮する必要があります。

③ 工事監理会社の調査・サポート
②で採用となったローカル建築設計事務所が工事監理を行うこともあると思いますが、工事監理は当該国の建設事情にかなり精通している事が必須ですので、とても重要なポジションです。
事業主となる日系企業が海外進出慣れしている場合は心配ありませんが、慣れていない場合は日本とローカルの工事手法の違いに戸惑うものです。
こちらも事業主とのコミュニケーションに配慮が必要です。
日本の建築設計事務所が設計は出来るけど、現地で工事監理ができない、不安だと言う場合にこの項目のみ発注されるケースがあります。
大きなプロジェクトであればスタッフを駐在させる経費を捻出できるかも知れませんが、単発のプロジェクトのためにそこまで出来ないと言う事も多いと思います。

④ 建設会社の調査・サポート
ローカルゼネコンを複数候補を挙げて、②で採用した建築設計事務所が作成する設計図を基に3社以上での入札とするのが一般的です。
事業主によっては安心を優先して日系ゼネコンへの依頼を希望されるケースも多いですが、ローカルゼネコンに比べてコストが2〜3割高くなる傾向にあるので、そのような意向がある場合は①の事業計画に事前に反映しておく必要があります。
途上国でもベトナムのように自国である程度、資材調達できる場合は良いですが、他国からの輸入に依存している国が多く、思っている以上にコスト高になる場合があります。
②の設計時に特に構造材料と設備のコスト感に配慮しておく必要があります。
意匠面も日本のように精度の高い施工が出来るかどうか、こんなはずじゃなかったとならないように、そのあたりの配慮したデザインが必要です。

⑤ ①〜③までをトータルでコーディネート
結局は全体を通してローカル情報の確保と円滑なコミュニケーションが重要になるので、ローカル建築設計事務所をうまく絡ませながら全体をコーディネートする事がプロジェクト成功の鍵となります。
似たようなポジションとして考えられるのは、当該国に進出している日系ゼネコンに設計施工で任せる方法ですが、プロジェクトよっては日系ゼネコンの設計施工もありだと思います。
ただ、設計と施工が分離している事のメリットもあるので、そのプロジェクトの特性に合わせて決めれば良いと考えています。

以上5つのプロセスを紹介しましたが、一番重要なのは①事前調査です。
私たちのこれまでの経験では、最初のコストとスケジュール設定を見誤っているケースが多く見受けられるので、特に注意が必要です。
海外進出に慣れていない事業主の方は、上記①〜⑤のいずれかを私たちのような海外に精通した建設プロジェクトマネジメント会社のサポートを得ながら進める方が安全ではないかと思います。

次の記事では非営利系の海外建設プロジェクトのプロセスを紹介したいと思います。

Tokyo Design PM Inc, フネイ リーチェン

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