『ダーティハリー2』/世文見聞録97【5部作映画談】
「世文見聞録」シーズン2。おなじみ川口世文と木暮林太郎が『午後のロードショー』での「ダーティハリー」シリーズ全作連続放送に気をよくして、1作ずつ語っていきます。
○『ダーティハリー2』について(ネタバレ注意!)
木暮林太郎:事件に遭遇するハリーの能力はすごいな。わざわざ空港までハンバーガーを食べに行って、そこでハイジャック事件を引き寄せるとは。
川口世文:すぐに解決しちゃうけど、ジョン・マクレーンだったら、あのまま映画1本かけていたかも(笑)。
木暮:今度の敵は前作の“ハリー自身”というか、さらに“あぶない”連中だ。
川口:いかに魅力的な敵と闘うかが、アクション映画の肝だからね。自分の“鏡像”と闘うのは、いい方法だ。
木暮:でも、ハリー自身は彼らを“鏡像”とはまったく考えていない気がするけどね。むしろ「あいつらとは全然違うぞ」と最後の最後まで訴えていた。
川口:ラストの“空母の墓場”みたいなところでも銃を奪われた状態で見事に撃退するしな。
木暮:おまえたちにはまだこれはできないだろうって。でも、仮に彼らが今後どんなに経験を積んだとしても、その延長線上にハリーはいない。
川口:交通課の若手4人組だけじゃなくて、ハリーの古い友人のチャーリーも一口噛んでいるのが面白い。彼の“妻”とのやりとりも多くて、ハリーの優しい一面というか、あれなら“モテる”なっていうのがよくわかる。
木暮:ハリーの奥さんらしい写真も出てくるけど、日系人の女の子サニーがやって来ても、特に“伏せたり”はしなかった。
川口:それにしても前回“さそり”が女の子を生き埋めにしたときもそうだったけど、あそこまでハリーが責任を取らされそうになるのは、ちょっとおかしい気がするんだけどな? 今回もそもそもが「出向中」だったり、査問にかけられそうになったり……。
木暮:ブリッグスが主犯だったとはいえ、単なるいやがらせ以上のものを感じるね。「司法検事局」の名前が出てくるけど、アメリカの司法全体が揺らいでいた時期だったのかもしれないね。
川口:当時の大統領はニクソンか……さすがにそこまで深く当時のアメリカの世情はわからない。
木暮:それがわからないと楽しめない話でもないしな。
川口:ブリッグスもなぜかハリーを法で裁くために彼を殺さないでおく。立場の違いはあったとしても、本当にそこまで隠す通せる自信があったのか? それともさらに黒幕がいたのか?
木暮:車中での二人の会話も面白かった。「法律通りにやる」と主張するハリーが「もう古い」といわれる。
川口:“リクルート”しに来た三人組にも「英雄は過去のもの」で、自分たちは「新しい世代」だといわれる。ワーナー映画がこのシリーズを手掛けているのが面白くてさ、未だにこの会社は『バットマン』で同じテーマを追いかけているんだよな。
木暮:そういう意味で「ダーティハリー」というキャラは実は“現役”なのかもな? 未だに何も解決していないテーマを描いていたのかも。
川口:その辺のヒリヒリする感じはさすがに読み取り切れない。いっそ1973年を舞台にしたまま、テレビシリーズでリメイクしたりしないかな? 脚本の内容的にもエピソードが盛りだくさんなんだけどなぁ……。
木暮:ハリーは誰が演じるんだよ?
川口:もちろん──“スコット・イーストウッド”。
木暮:うーん、それなら話題性もありそうだ。ワーナー映画といえば“真っ赤なロゴマーク”からはじまって、ラストはハリーの“青い車”の爆発で終わるけど、あれって前作と逆コースじゃないか?
川口:真っ赤なタイトルバックで、ずーっと“M29”を片手で構えつづけていたの──大変そうだったな?
木暮:え?──気になったのそこ?