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『ダーティハリー4』/世文見聞録99【5部作映画談】
「世文見聞録」シーズン2。おなじみ川口世文と木暮林太郎が『午後のロードショー』での「ダーティハリー」シリーズ全作連続放送に気をよくして、1作ずつ語っていきます。
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○『ダーティハリー4』について(ネタバレ注意!)
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川口世文:“忘れたころの4作目”というのはちょっとインディ・ジョーンズに近いものがある。
木暮林太郎:レーガン大統領時代を迎えて、息を吹き返した感じがあるね。キャラクターとしてもコンテンツとしても強さを感じる。
川口:イーストウッド自ら監督しているしね。「やれよ、楽しみだぜ」のセリフとともに、1作目を彷彿とさせる。
木暮:とりあえず1作目の雰囲気を自分でもやってみたかったんだろうな?
川口:ソンドラ・ロックとパット・ヒングルという『ガントレット』の同窓会も兼ねていて、このシリーズには珍しく“文脈”の存在を感じる。
木暮:一時期イーストウッドといえば、もれなくソンドラ・ロックがついてきたからなぁ(笑)。
川口:『ガントレット』に比べれば、遥かに複雑な人物像を演じているけどね。
木暮:相手が女性で、しかも被害者が転じて加害者になった存在だとすると、どう決着させるのかまったく予想がつかなかったな?
川口:ハリー自身に「正義って何なの?」と疑問をぶつけられる相手というのは、ある意味で「2」よりも重い存在だったかもしれない。
木暮:そういう意味で、もうちょっと二人の関係が深まって、ハリーに葛藤させる展開でもよかったのかもな。
川口:いつの間にか“レイプ犯グループ”の粗暴さが際立ってしまって、観客も、犯人が捕まってほしいのか、そうではないのかわからなくなってくるからね。
木暮:どう読み取っても“犯人像”という意味ではこれまでのなかでいちばんショボい。市当局に500万ドル要求してきた時代が懐かしくもある。
川口:とはいえ、こっちのほうが大作感がある不思議。
木暮:前作で懲りたのかどうか知らないが、相棒を犬にしたのは傑作だ。見るからにオスなのに“ドブスくん”と呼ばれているし……。
川口:それから何といってもホレースだな。1作目の強盗にはじまって、2作目では“ピンク・キャデラック”に乗って殺されるポン引き、3作目ではムスタファ! 徐々に“いい役”になっていって、ついに“相棒”に!
木暮:ハリーがオートマグの試射をしているとき、いかにも怪しい演出で登場してきたのが笑えた。
川口:「おまえ、今度は警官かよ!」──ってね(笑)
木暮:自分は離れた場所にいて、ハリーに犬を贈るセンスも抜群だったのに──まさか殺されるとはねぇ(泣)
川口:前半もそうだけど、ハリーがいろんな奴に狙われていて、話が時々こんがらがってくる。
木暮:“白紙の手紙”を使って、マフィアのボスに心臓発作を起こさせる展開にも笑った。オードマグどころかM29も必要なくなったのかって……。
川口:今回は強引に休暇を取らされるけど、なかなか取らない。挙げ句にサンパウロ(吹替ではサンポーロ)に出張させられる。
木暮:お偉いさんの一人の名前がブリッグスだったときにはちょっと驚いたけど……。
川口:あの辺、キャスティングもネーミングも毎回適当すぎて混乱するよ。
木暮:そんな警察に対して、ハリーが出した結論が“あれ”だとすると、「どうせバレっこない」と高を括っているとしか思えないんだけどな。
川口:なるほど、最後の最後にハリーはアメリカの司法の弱点を逆手にとったってことか?
木暮:つくづくムーア刑事に出世してほしかったなぁ。
川口:……“泣けるぜ”(笑)
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